美顔器の専用ジェルの代わりを探すとき、最初に候補に挙がるのがオールインワンジェルです。容量が多く、1回あたりの単価が安く、名前からして「ジェル」。条件は揃って見えます。

ただし、ここには落とし穴があります。「オールインワン」は処方の名前ではなく、役割の名前です。化粧水・美容液・乳液・クリームの役割を1本で担うという意味なので、乳液やクリームの側に寄せた処方も、同じ「オールインワンジェル」として売られています

当サイトが公式の全成分表示から調べたオールインワン製品9品のうち、3品は油剤が配合量の上位6番目までに入っていました。パッケージが透明なジェルでも、中身が乳液寄りということが実際に起きます。

この記事では、その9品の実測をもとに「使えるオールインワン」と「そうでないもの」を全成分で分ける方法を整理します。ジェル全般の代用可否とメーカー公式の見解は美顔器ジェルの代用はどこまでできる?にまとめています。

1. オールインワンが第一候補になる理由

代用品に求められる条件は2つです。電流や高周波が伝わること(伝達)と、数分間乾かずに留まること(持ち)。オールインワンジェルは、後者に強いカテゴリです。

調査した9品のうち、8品がポリマー系の増粘剤を配合していましたカルボマー、カルボキシビニルポリマー、〜クロスポリマー、〜コポリマーなど)。1本で保湿の仕上げまで担う設計上、肌の上に留まる膜を作ることが前提になっているためです。

項目オールインワン9品の実測
ポリマー系増粘剤あり8品
油剤が上位6位以内3品
エタノールが上位5位以内2品

(当サイト調べ。各ブランド公式サイト等の全成分表示より。医薬部外品は有効成分の表示ブロックを除いた「その他の成分」の並びで判定)

比較として、同じ方法で調べた化粧水8品では、ポリマー系増粘剤を持つのは4品でした(詳細は美顔器に化粧水だけで使えるか)。持ちの面ではオールインワンのほうが明確に有利です。

容量の面でも分があります。オールインワンは100g〜200g程度で売られることが多く、専用ジェルより1回あたりの単価が下がります。「途中で足す」運用が前提の美顔器では、この差は無視できません。

つまり、オールインワンの弱点は持ちではなく伝達側に集中します。そこだけを全成分で潰せばいい、というのがこのカテゴリの考え方です。

2. 実測:オールインワン9品の処方を分解する

蓋を開けたジェル容器とすくい取り用のスパチュラ

9品を、油剤が全成分のどこに現れるかで並べ直すと、3つの型に分かれました。

2.1 型A:水性ジェル型(油剤が下位・6品)

全成分の並びが「水 → 多価アルコール(グリセリンBGなど) → 保湿成分・エキス類 → 増粘剤」で進み、油剤が出てくるのは13番目以降。伝達・持ちの両方を満たす、代用に向く型です。

実例として、ある製品は「水/BG/グリセリン/エリスリトール/エタノール…」と並び、最初の油剤(スクワラン)が現れるのは26番目でした。この位置では、処方全体に対する油分の寄与はごく小さい。

2.2 型B:乳液寄り型(油剤が上位・3品)

上位3〜4番目に油剤が来る型です。実測ではこの3品が該当しました。

上位に来ていた油剤表示上の位置
スクワラン3番目
スクワラン4番目
トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル4番目

いずれも「ジェル」「セラム」という名前で売られている製品です。名前とテクスチャーからは判別できません。この位置に油剤があるということは、水中に油を分散させた乳化物=実質的に乳液に近い構造になっているということです。

パナソニックはFAQで乳液を可としています(「日ごろお使いのジェルや美容液、乳液も使えます」)。したがって型Bが直ちに不可というわけではありません。ただし、同じFAQで「油分の多い化粧水」はNGとされていることから、油分量が増えるほど伝達側で不利になるのは確かです。型Aが選べる状況で、あえて型Bを選ぶ理由はありません。

2.3 型C:UV兼用型(別カテゴリ・後述)

紫外線防御を兼ねるタイプは、処方の設計思想がそもそも違います。5章で分けて扱います。

2.4 分かれ目は「油分」だけに集約される

3つの型を通して見ると、オールインワンで判断すべきなのは油剤の位置ひとつです。持ちは9品中8品が確保している。エタノールが上位5位以内なのは2品だけで、化粧水(8品中3品)ほど多くありません。

裏面を見る時間が10秒しかないなら、上位6成分に油の名前があるかどうかだけを確認してください。

3. 「ジェル」なのに油分が入る理由

オールインワンが担う役割には、クリームの役割=油分で膜を作って水分の蒸発を抑えることが含まれます。水と保湿剤だけでは、この役割は果たせません。だからオールインワンには、程度の差はあれ油剤が入ります。

問題は、この「油分で蓋をする」機能が、美顔器を当てている数分間に限っては逆向きに働くことです。

  • スキンケアとして:油分の膜は水分の蒸発を抑える(望ましい)
  • 美顔器の併用として:油分の膜は電流・高周波の通り道を塞ぐ(望ましくない)

この2つは矛盾しません。役割の順序を分ければいいだけです。美顔器を当てるあいだは水性の膜を使い、終わってから油分で仕上げる。オールインワンを1本で完結させる使い方をやめて、工程を2つに割るという発想です。

なお「油分=肌に悪い」ではありません。油分は肌の保護に必要な要素で、ミネラルオイルのような閉塞性の高い油剤にも役割があります。ここで問題にしているのは、電流を流す数分間に何を挟むかという一点だけです。

4. シリコーンは油分とは別枠で効いてくる

全成分にジメチコン、〜メチコン、〜シロキサンといった名前があれば、それはシリコーン類です。「油」という字が付かないため見落としやすいのですが、伝達の観点では油剤と同じ扱いになります。

シリコーンには次の性質があります。

  • 水に溶けず、水性の膜と混ざらない
  • 電気を通さない(絶縁性が高い)
  • 肌の上に均一な膜を作り、その膜が残りやすい

つまり、電極やヘッドと肌のあいだにシリコーンの膜があると、水性ジェルを重ねてもその下に絶縁層が残る形になります。実測では、保湿ジェルとして売られていた製品でジメチコンが5番目に入っている例がありました。

「さらさらした感触のジェル」はシリコーンで作られていることが多いというのが実務上の目安です。ぬるつかない、すべりが良い、という感触が売りの製品では、裏面のシリコーン類を確認してください。

5. UV兼用タイプは別カテゴリとして扱う

2本のジェル容器の裏面の全成分表示を見比べる人

「オールインワンジェル UV」「UVジェル」といった、紫外線防御を兼ねる製品があります。同じ棚に並んでいて名前も似ていますが、美顔器の併用という文脈では別カテゴリです。

同じ方法で調べたUV兼用ジェル3品の実測はこうでした。

項目UV兼用ジェル3品
油剤が上位6位以内2品
エタノールが上位5位以内2品
全品に共通紫外線吸収剤が上位(2〜3番目)に配置

3品すべてで、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルなどの紫外線吸収剤が2〜3番目という高い位置にありました。紫外線吸収剤は油に溶ける性質のものが多く、それを安定に保つために油剤とシリコーンが組み合わされます。実測でもコハク酸ジエチルヘキシル(4番目)、カプリリルメチコン(5番目)が上位に来ていました。

加えて、UV製品は落とすことを前提に作られています。肌に留まる膜を作るのが目的なので、美顔器のヘッドで擦って動かす使い方とは設計思想が合いません。

UV兼用タイプは、美顔器を使い終わって仕上げた後、外出前に塗るものとして扱ってください。

6. 全成分での判定手順

裏面を見るときの順序です。上から順に見て、途中で「×」が付いたらそこで終了できます。

手順①:1番目が「水」か

「水」または「精製水」が筆頭なら水性ベースです。医薬部外品の場合、先頭に有効成分のブロック(グリチルリチン酸2K、ナイアシンアミドなど)が来て、その後に「その他の成分」として水から始まります。この場合は水の位置を1番目と読み替えてください

手順②:上位6成分に油の名前がないか

見つけたら要注意な名前見分け方
〜油、〜脂字面で分かる(ホホバ種子油、シア脂 など)
スクワラン、トリエチルヘキサノイン油という字が付かない代表格
〜酸〜(トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、パルミチン酸イソプロピル など)「酸」を挟む2語構成はエステル油の可能性が高い
ジメチコン、〜メチコン、〜シロキサンシリコーン類(4章)

上位6番目までにこれらがあれば型B(乳液寄り)です。使えないわけではありませんが、他に選択肢があるなら優先度は下がります。

手順③:紫外線吸収剤が上位にないか

メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンなど。これらが上位にあればUV兼用型なので、5章のとおり別カテゴリとして扱います。

手順④:増粘剤があるか(念のため)

カルボマーキサンタンガム、〜クロスポリマー、〜コポリマーなど。オールインワンでは9品中8品が持っていたため、ここで落ちることは多くありません。

判定早見表

全成分の状態判断
水が筆頭・上位6位に油剤なし・増粘剤あり型A代用の第一候補
水が筆頭・上位3〜4位に油剤型B乳液として扱う。他に選択肢があるなら優先度は下
紫外線吸収剤が上位型C美顔器の併用には使わない
シリコーンが上位絶縁層が残るため向かない

7. 使ったあと、洗い流すべきか

オールインワンジェルは洗い流さない前提で作られているため、美顔器を使い終わったらそのまま残して構いません。

ただし、専用ジェルには2種類あることを知っておくと迷いません。パナソニックは役割別に2つを用意しています。

製品タイプメーカーの説明
ウォータークリアジェル洗い流す「RFや超音波をより効果的に肌へ伝えるための専用ジェルです」
スムースリフトジェル洗い流さない「EMSをより効率的に肌に伝え、リフトケアをスムーズにします」

(出典: Panasonic FAQ「美顔器の専用ジェルの使い方と購入方法は」

オールインワンで代用する場合は、後者(洗い流さないタイプ)の位置づけになります。使用後に化粧水や乳液を重ねる必要は、基本的にありません。1本で仕上げまで担う設計なので、そのまま終われるのがこのカテゴリの利点です。

なお「洗い流すタイプの専用ジェルの代わりに使ったから、洗い流さなければいけない」ということはありません。使ったアイテム本来の使い方に従ってください。

8. よくある質問

Q. 敏感肌用のオールインワンジェルなら安心ですか。

肌への刺激と、美顔器との相性は別の話です。敏感肌用でも上位に油剤が入っていれば伝達では不利になります。判定は全成分の並びで行ってください。

Q. 「美顔器にも使える」と書いてあるオールインワンは信用できますか。

その表示自体は手がかりになりますが、お使いの機種が専用品以外を認めているかが優先します。化粧品側の表示と機器側の取扱説明書が食い違う場合は、機器側に従ってください。

Q. 医薬部外品のオールインワンでも使えますか。

表示の読み方が変わるだけで、判断の軸は同じです。有効成分のブロックを飛ばして「その他の成分」の並びを見てください。実測した9品にも医薬部外品が含まれており、うち1品は油剤が4番目(型B)でした。

Q. オールインワンジェルを美顔器用と普段用で分けるべきですか。

分ける必要はありません。型Aに該当するものを1つ選べば、美顔器の併用にも普段のスキンケアにも使えます。むしろ容量の大きい1本を回すほうが、途中で足す運用と相性が良い。

Q. 手作りのジェルで代用するのはどうですか。

推奨しません。理由は効果ではなく衛生設計です(美顔器ジェルの手作りをすすめない理由)。

まとめ

  • 「オールインワン」は役割の名前であって処方の名前ではない。乳液寄りの処方も同じ名前で売られている
  • 調査した9品のうち、3品は油剤が上位6位以内(スクワラン3位・4位、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル4位)
  • 一方で9品中8品がポリマー系増粘剤を配合。持ちの面では化粧水より明確に有利
  • 弱点は伝達側だけなので、上位6成分に油の名前があるかを見れば判定できる
  • ジメチコンなどシリコーン類は「油」の字が付かないが、絶縁性が高く同じ扱いになる
  • UV兼用タイプは紫外線吸収剤が上位に来る別カテゴリ。美顔器の併用には使わない
  • 最終判断はお使いの機種の取扱説明書。専用品以外を認めていない機種もある

※ 本記事は公開されているメーカー情報および化粧品処方の一般的性質に基づく情報提供であり、特定の機器・化粧品の効果を保証するものではありません。全成分の集計は当サイトが各ブランドの公式表示を調査した範囲のもので、処方は改良により変わることがあります。使用可否は必ずお使いの機種の取扱説明書をご確認ください。肌に異常を感じた場合は使用を中止してください。

本記事のイメージ画像にはAI生成画像を使用しています。