ツバキ種子エキスは、ツバキ(Camellia japonica)の種子から得られる植物エキスで、化粧品の配合目的は皮膚コンディショニング剤である(出典: Cosmetic-Info.jp)。有効成分ではない。同じ種子から搾る油が椿油(ツバキ種子油)で、原料メーカーには油を搾った後の粕からエキスを取るところがある。

名前には注意がいる。医薬部外品ではこの種子のエキスが「ツバキエキス」と表示されるが、化粧品にも同じ文字列の「ツバキエキス」が全草のエキスとして別に登録されている。本記事はこの割れ方を軸に、椿油との関係、配合商品3品の並びを、表示から読めることと読めないことに分けて整理する。

1. ツバキ種子エキスの基本

1.1 何の成分か

ツバキは日本などに自生するツバキ科の常緑樹で、ヤブツバキとも呼ばれる。ツバキ種子エキスは、日本化粧品工業連合会の化粧品表示名称で成分番号558904、「化粧品の成分表示名称リスト」No.15(2005年2月10日発行)で収載された。定義は「本品は、ツバキ Camellia japonica の種子のエキスである。」、INCI名は Camellia Japonica Seed Extract である(出典: Cosmetic-Info.jp)。CAS番号には 223748-13-8(generic)が示されているが、同じ番号はツバキ種子油・ツバキ葉エキス・全草のツバキエキスなどにも表示されており、部位を区別する番号ではない。

定義は「種子のエキス」とだけ書かれ、抽出の溶媒や、油を除いた後の種子かどうかは決めていない。一方、医薬部外品の添加物「ツバキエキス」の本質は「種子の脱脂物から水にて抽出して得られるエキス」と、脱脂物と水抽出まで定めている(出典: Cosmetic-Info.jp 部外品添加物)。実際の原料でも、次の2社は椿油を搾った後の粕を使うと説明している。

  • 日油「ツバキ種子エキスBG」: 長崎県五島列島のツバキの種子から水で抽出し、BGを加えたエキス。椿油を搾った「搾りかす」に残る成分を使い、外原規(医薬部外品原料規格)の「ツバキエキス」に準拠するとしている(出典: 日油 製品頁)
  • 三省製薬「長崎ツバキ種子エキス」: 五島産のツバキ油粕を原料とし、医薬部外品にも配合できるとしている(出典: 三省製薬 美容成分ラボ)

種子に含まれる成分としては、サポニンの研究が多い。

  • Yoshikawa ら(1996): 種子から、アシル基を持つトリテルペンのオリゴ配糖体であるカメリアサポニンA1・A2・B1・B2・C1・C2を単離し、構造を決めた(出典: Chem Pharm Bull 1996)
  • Rho ら(2019): オレアナン型サポニンを種子の特徴的な成分と位置づけ、サポニンを濃縮した抽出物から新しいサポニン(カモレオシドA〜I)9種と既知の6種を単離した(出典: Phytochem Anal 2019)
  • Ko ら(2020): 種子の油粕から、ケンフェロール(フラボノール)にオリゴ糖が結合した配糖体8種を単離した(出典: Carbohydr Res 2020)

日油も原料の含有成分に「カメリアサポニン」を挙げ、製品規格の確認試験に「持続性の微細な泡を生じる」という項目を置いている(出典: 日油 技術資料)。ただし、これらは種子や原料の分析であって、商品に入っているサポニンの量は成分表からは分からない。

規制上は、有効成分ではない添加成分に分類される。

1.2 どんな製品に配合されるか

Cosmetic-Info.jpで本成分に関連づけられた原料は、含有原料4件・単一成分原料1件で、市販化粧品の登録は342件ある(2026年9月17日閲覧・出典: Cosmetic-Info.jp)。日油の「ツバキ種子エキスBG」は、表示成分の含有率をツバキ種子エキス0.8%・BG50.0%・水49.2%と示しており、原料液のほとんどは溶媒である(出典: 日油 製品頁)。

DappNotesの商品マスター(132製品)で「ツバキ種子エキス」の表記を確認できたのは3品で、いずれも化粧品である。

商品区分剤形表示位置/全成分数
いち髪 なめらかスムースケア シャンプー化粧品シャンプー16/30
SHISEIDO メン ハイドレーティング ローション C化粧品化粧水11/23
SHISEIDO メン フェイス クレンザー化粧品洗顔料18/22

(出典: 資生堂公式の全成分表示。いち髪はメーカー公式頁に全成分の掲載がなく、シャンプー解析ドットコムの転記による)

3品のうち2品はシャンプーと洗顔料で、洗い流す製品が多い。表示位置から配合量は読めない。理由は§3.5で扱う。

1.3 メンズ視点での見方

配合例には、メンズ向けの化粧水と洗顔料、男女兼用のシャンプーが入る。どれも植物エキスが数種類並ぶ層の1つとして入っている。

読み方の要点は2つある。1つは、「椿」の名前から連想される「髪にいい油」は椿油の話で、ツバキ種子エキスは油分として働く成分ではないこと。原料によっては油を搾った後の種子から取られる。もう1つは、「ツバキエキス」という表示を見たとき、それが医薬部外品の種子のエキスなのか、化粧品の全草のエキスなのかは、名前だけでは決まらないことである(§3.3)。

2. 期待される働き・効果

2.1 原料の機能性として報告されていること

化粧品の配合目的として登録されているのは、皮膚コンディショニング剤(未分類)だけである(出典: Cosmetic-Info.jp)。化粧品の中での役割は「肌の状態を整える」範囲で読むのが基本になる。

そのうえで、原料や種子の成分について次のような報告がある。いずれも配合商品の効果を示すものではない。

  • 原料メーカーの試験: 日油は「ツバキ種子エキスBG」の機能性として、試験管内でのSOD様活性(活性酸素を除く働きの指標)を載せている(出典: 日油 技術資料)。三省製薬は自社データとして、ケラチノサイト増殖促進・線維芽細胞増殖促進・フリーラジカル消去・AGEs産生抑制を挙げている(出典: 三省製薬 美容成分ラボ)
  • 化粧品会社の研究者が加わった論文: Ko ら(2020)は、油粕から単離したケンフェロール配糖体のうち1種が、培養したヒト真皮線維芽細胞でMMP-1(コラーゲンを分解する酵素)の分泌を抑えたと報告し、化粧品素材としての可能性に触れている(出典: Carbohydr Res 2020)
  • サポニンの性質: 2026年の総説は、ツバキ由来のサポニンを穏やかな天然の界面活性剤として紹介している(出典: Int J Mol Sci 2026)。ただし総説はツバキ全体を扱っており、本成分の配合目的に洗浄は登録されていない

これらは「原料や単離した成分にこういう性質が報告されている」という情報である。メーカーの試験は自社原料の訴求のために行われ、濃度や条件も商品とは違い、肌の上で同じことが起きることを示すものではない。

2.2 一般的な効能範囲

ツバキ種子エキスを配合した化粧品で表現できるのは、化粧品の効能範囲のうち「肌を整える」「肌のキメを整える」「皮膚をすこやかに保つ」「皮膚にうるおいを与える」といった範囲である。シャンプーに配合される場合は「頭皮、毛髪をすこやかに保つ」などの範囲になる。

逆に、次のような表現を本成分の効能として書くことはできない。

  • シワを改善する・老化を防ぐ
  • シミを防ぐ・肌を白くする
  • 汚れを落とす(洗浄成分として働く)

医薬部外品に「ツバキエキス」として配合される場合も、効能を担うのは有効成分で、本成分は「その他の成分」として入る。

2.3 限界・誤解されやすい点

誤解されやすい点は3つある。

1. 椿油の評判をエキスに持ち込む誤解 椿油は髪や肌のオイルとして長く使われてきた。しかし椿油は種子から搾った脂肪油で、ツバキ種子エキスは水などで抽出したエキスである。原料によっては、油を搾った後の粕からエキスを取る(§1.1)。「椿の種子だから髪がしっとりする」という連想は、油の性質の話で、エキスには当てはまらない。

2. サポニンを含むから洗浄成分、という誤解 種子にはサポニンが多く、原料規格にも泡の確認試験がある。ただし化粧品の配合目的は皮膚コンディショニング剤だけで、シャンプーや洗顔料に入っていても、洗浄を担うのは別の洗浄成分である。配合商品でも、いち髪はアミノ酸系の洗浄成分、フェイス クレンザーは石けん系の脂肪酸が上位に並ぶ。

3. 生薬や民間利用の話を持ち込む誤解 第十九改正日本薬局方に収載されているのは「ツバキ油」で、ツバキのエキスは載っていない(出典: 第十九改正日本薬局方)。種子のサポニンをラットに与えた研究(Yoshikawa ら 1996)もあるが、飲む・投与する話で、塗る化粧品とは経路が違う。どちらも本成分の化粧品での効果の根拠にはならない。

3. 安全性・注意点

3.1 既知の刺激性・アレルギー報告

ツバキ種子エキスの安全性について、公開されている情報は多くない。確認できた範囲を、分かっていることと分かっていないことに分けて並べる。

  • 原料メーカーの試験項目: 日油は「ツバキ種子エキスBG」の安全性試験として、経口急性毒性・眼粘膜刺激性・皮膚感作性・ヒトパッチテストを挙げている。ただし公開されている製品頁と技術資料には、試験の結果や条件は載っていない(出典: 日油 製品頁・技術資料)
  • 症例報告: PubMedで Camellia japonica と皮膚炎・アレルギー・感作・パッチテストを組み合わせて検索した範囲(2026年9月17日)では、ツバキ種子エキスによる接触皮膚炎の症例報告は見当たらなかった
  • 米国CIR: Cosmetic Ingredient Review のサイトにはツバキ種子油の成分ページがあるが、ツバキ種子エキスの個別の評価は本調査の範囲では確認できなかった
  • 総説の指摘: 2026年のツバキ由来成分の総説は、今後の課題の1つとしてヒトでの安全性データの不足を挙げている(出典: Int J Mol Sci 2026)

CIRの枠組みで個別に評価されていないことは、それだけで危ないという意味ではない。一方で、症例報告が見当たらないことも、安全性が十分に検証されたことと同じではない。言えるのは「重い反応の報告は見当たらないが、公開された試験データも少ない」というところまでである。

実用上は、処方全体を見るのが現実的である。配合例の化粧水は変性アルコールとエタノール、香料を含み、シャンプーと洗顔料は洗浄成分と香料を含む。赤み・かゆみが出たら使用を中止し、敏感肌の人は腕の内側などで試してから使うと安心できる。

3.2 配合量の目安と表示から読めないこと

Cosmetic-Info.jpの化粧品表示名称ページでは、本成分の規制分類欄に記載はない(出典: Cosmetic-Info.jp)。配合量は各メーカーが処方ごとに決める。

原料の例として、日油の「ツバキ種子エキスBG」はツバキ種子エキスの含有率を0.8%と示し、残りはBGと水である(出典: 日油 製品頁)。商品の成分表に「ツバキ種子エキス」と書かれていても、どの原料を何%使ったのかは分からない。

成分表示から読めないことは、次の3つである。

  • 配合量: 表示位置から量の多い少ないは読めない(§3.5)
  • エキスの中身: 原料ごとに種子か油粕か、抽出溶媒、エキス分の濃度が違い、サポニンやケンフェロール配糖体の量は表示されない
  • 原料の銘柄と産地: 五島列島産をうたう原料はあるが、商品にどの原料が使われているかは表示から分からない

3.3 名前の割れ方|化粧品の「ツバキ種子エキス」と2つの「ツバキエキス」

ツバキは、同じ植物から作られる表示名称がとても多い。化粧品表示名称DBで「ツバキ」を部分一致で検索すると59件あり、発酵液や多数の植物を混ぜたエキスも含まれる(出典: Cosmetic-Info.jp)。本成分と関係の深いものを並べる。

表示名称区分部位・作り方(定義・本質の要旨)状態
ツバキ種子エキス(本成分)化粧品種子のエキスリストNo.15(2005年)で収載・現行
(削)ツバキエキス化粧品種子のエキス平成28年3月31日に削除・改正名はツバキ種子エキス
ツバキエキス化粧品全草のエキスリストNo.26(2013年)で収載・現行
ツバキ葉エキス化粧品葉のエキスリストNo.20(2008年)・旧INCIは Camellia Japonica Extract
ツバキ種子油化粧品種子から得られる脂肪油同じ定義の「ツバキ油」の改正名(2026年)
ツバキ種子化粧品種子そのものリストNo.32(2017年)
ツバキエキス医薬部外品(添加物)種子の脱脂物から水で抽出したエキス規格コード51・簡略名 椿エキス

(出典: Cosmetic-Info.jp 化粧品表示名称・部外品添加物)

化粧品側の事実を並べると、次のようになる。化粧品には、種子のエキスを指す「ツバキエキス」(成分番号551786)と、種子であることを名前に含む「ツバキ種子エキス」(2005年収載)が、同じ定義で登録されていた。2013年には、全草のエキスとして別の「ツバキエキス」(成分番号563046)が収載された。種子を指す旧「ツバキエキス」については、Cosmetic-Info.jpに「同名異義の表示名称との混同を避けるために粧工会の表示名称リストから削除されます」と記され、平成28年3月31日をもってリストから削除、改正名はツバキ種子エキスとされている(出典: Cosmetic-Info.jp)。

医薬部外品の側では、「ツバキエキス」の名前が種子のエキスとして残っている。2008年版の『医薬部外品の成分表示名称リスト』でも、連番1392「ツバキエキス」(別名 椿エキス)の本質は種子の脱脂物の水抽出エキスである(出典: 医薬部外品の成分表示名称リスト 平成20年版)。

つまり、今の成分表で「ツバキエキス」を見たとき、次の3通りがありうる。

  • 医薬部外品の商品で、種子の脱脂物から取ったエキス
  • 化粧品の商品で、全草のエキス(現行名)
  • 切り替え前の化粧品の商品で、種子のエキス(削除された旧名)

どれに当たるかは、名前だけでは決まらない。商品が医薬部外品かどうかを見て、はじめて範囲が絞れる。

では原料の側はどうか。Cosmetic-Info.jpでは、日油の2グレードと三省製薬の原料が、化粧品の「ツバキ種子エキス」と部外品添加物の「ツバキエキス」の両方に関連原料として登録されている(出典: Cosmetic-Info.jp)。日油も自社の原料を、化粧品表示名称はツバキ種子エキス、部外品は外原規「ツバキエキス」に準拠と説明している(出典: 日油 製品頁)。1つの原料が、化粧品と医薬部外品で別の名前で表示される例はあることになる。ただし、ある部外品の商品の「ツバキエキス」がどの原料なのかは、成分表からは確かめられない。

DappNotesでは、この事情から「ツバキエキス」を本成分の別名として扱っていない。別名にすると、化粧品の全草の「ツバキエキス」を含む商品まで本成分と結びついてしまうためである。

3.4 同じ種子から取る2つの成分|ツバキ種子エキスとツバキ種子油

ツバキの種子からは、性格の違う2つの成分が取られる。

項目ツバキ種子エキス(本成分)ツバキ種子油(ツバキ油)
化粧品表示名称の定義種子のエキス種子から得られる脂肪油
化粧品の配合目的皮膚コンディショニング剤(未分類)抗アクネ剤・閉塞剤
医薬部外品の名前と本質ツバキエキス(種子の脱脂物から水で抽出)ツバキ油(種皮を除いた種子から得た脂肪油)
日本薬局方収載なしツバキ油として収載
研究でよく扱われる成分サポニン、ケンフェロール配糖体油を構成する脂肪酸

(出典: Cosmetic-Info.jp / 医薬部外品の成分表示名称リスト 平成20年版 / 第十九改正日本薬局方)

部外品の規格が「脱脂物」と定め、原料メーカーが「搾りかす」「油粕」と説明していることから、油とエキスは同じ種子を分け合う関係にあると読める。油を搾った側が椿油、残った側から水で抽出したものがエキス、という分担である。ただし化粧品表示名称の定義は「種子のエキス」で、脱脂物に限っていない。化粧品のツバキ種子エキスがすべて油粕由来だとは言えない。

この違いは、成分表を読むときにそのまま効いてくる。椿油は油分として肌や髪の表面を覆う側の成分で、ツバキ種子エキスは水に溶けるエキスとして、植物エキスの層に入る。同じ「椿」の名前でも、処方の中の役割は別である。

同じツバキ属のチャ葉エキスは、チャ(Camellia sinensis)という別の種の葉のエキスで、INCI名の「Camellia」が共通するだけの別成分である。

3.5 配合商品の並び

商品マスター(132製品)の全成分表示で、ツバキ種子エキスの位置と、同じ商品に現れる本クラスタ(名前の割れ方を扱う植物エキス5本)の成分を並べる。

商品ツバキ種子エキスの位置前後の並び同じ商品に現れる本クラスタの成分(位置)
いち髪 なめらかスムースケア シャンプー16/30…アシタバ葉/茎エキス→ムクロジ果皮エキス→ヒオウギエキス→ツバキ種子エキス→クエン酸…ムクロジ果皮エキス(14)
SHISEIDO メン ハイドレーティング ローション C11/23…グリチルリチン酸2K→ゴレンシ葉エキス→ツバキ種子エキス→シソ葉エキス→…シソ葉エキス(12)
SHISEIDO メン フェイス クレンザー18/22…セイヨウハッカ葉エキス→クララ根エキス→ツバキ種子エキス→EDTA-3Na→…なし

(出典: 各社の全成分表示。いち髪は二次ソースの転記)

表示位置から量は読まない 化粧品の全成分表示は、配合量1%を超える成分を多い順に書き、1%以下は順不同で書ける。どこからが1%以下かは表示されないため、11位・16位・18位の違いから配合量の多い少ないは判断できない。3品とも植物エキスが続けて並ぶ位置にあり、その並びの中の順番も量の比較には使わない。

近くに並ぶことも根拠にしない 化粧水ではシソ葉エキスがすぐ後ろに、シャンプーではムクロジ果皮エキスが2つ前にある。ここから言えるのは「同じ商品に一緒に現れる」という出現の事実までで、1つの原料にまとめて入っているとか、同じ供給元だとかは成分表からは言えない。

同じブランドの化粧水と洗顔料の両方に本成分が入っている点も、ブランドが同じ植物エキスを使い回していることを示すとは限らない。どの原料を使っているかは公表されていない。

4. 相性の良い・悪い成分

4.1 併用される成分

ツバキ種子エキスは単独で主役になる成分ではなく、配合例では保湿の骨格やほかの植物エキスと一緒に入っている。

化粧水(SHISEIDO メン ハイドレーティング ローション C): グリセリンが2位に置かれ、糖アルコールなどの保湿成分が続く。グリチルリチン酸2Kも入っているが、この商品は化粧品で、有効成分としての表示ではない。植物エキスはゴレンシ葉エキス・本成分・シソ葉エキス・カシア樹皮エキスが並ぶ。

洗顔料(SHISEIDO メン フェイス クレンザー): ミリスチン酸・ステアリン酸などの脂肪酸と水酸化Kからなる石けん系の骨格に、BGなどの保湿成分と、セイヨウハッカ葉エキス・クララ根エキス・本成分の植物エキスが重ねられている。

シャンプー(いち髪 なめらかスムースケア シャンプー): アミノ酸系の洗浄成分を上位に置き、コメヌカ油などの植物油と、ムクロジ果皮エキスを含む植物エキス群の1つとして本成分が入る。

4.2 注意したい組合せ

ツバキ種子エキスについて、化粧品処方で避けるべき組み合わせは、本稿で確認した資料では報告されていない。

実用上の注意は、成分どうしの相性よりも処方全体にある。

  • アルコール・香料を含む処方: 配合例の化粧水は変性アルコールとエタノールを含む。ひげ剃り直後などにしみる場合、原因は植物エキス以外の成分であることも多い
  • 椿油と同じものとして重ねること: 「椿」の名前でそろえても、エキスは油分を補う成分ではない。乾燥が気になるなら、油分や保湿の骨格で商品を選ぶ

4.3 類似成分

名前の割れ方が似ている成分と、名前が近い成分を並べる。

成分似ている点・違う点
ツバキ種子油同じ種子から取る脂肪油。エキスとは配合目的も部外品での名前も別(§3.4)
シャクヤク根エキス部外品名「シャクヤクエキス」と同じ文字列の化粧品名が、化粧品側に2件ある
ハトムギ種子エキス部外品名「ヨクイニンエキス」が、化粧品側にも別の定義で登録されている
シソ葉エキス部外品側が番号付きの2つの名前に分かれ、学名の書き方も違う
ムクロジ果皮エキス化粧品の旧名が部外品名と同じで、部位もそろう
エーデルワイス花/葉エキス部外品名「エーデルワイスエキス」と同じ文字列の化粧品名が別成分として存在する
チャ葉エキス同じツバキ属だが別の種(チャ)の葉のエキス

本成分は、この中でも「化粧品に、種子を指す旧名と全草を指す名前が同じ文字列の『ツバキエキス』で並んで登録され、種子の側が削除されて全草の側が残った」点が特徴である。部外品では、同じ文字列が今も種子のエキスを指している。

5. 使い方

5.1 推奨される使用シーン

ツバキ種子エキスの有無で商品を選ぶ場面は、実際にはあまりない。配合例は化粧水・洗顔料・シャンプーで、本成分はどれにも処方の一部として入っている。

化粧水: 肌に残す製品で、使い心地を決めるのは保湿の骨格とアルコールの有無、テクスチャーである。本成分は、その上に重ねられた整肌目的の植物エキスの1つとして見ればよい。美顔器の前後に化粧水を使う人も、見るべき点は同じである。

洗顔料・シャンプー: 洗い流す製品なので、肌や頭皮に残る量は限られる。泡立ちや洗い上がりを決めるのは洗浄成分の系統で、本成分のサポニンの話から洗浄力を推し量ることはできない。

使い方は各商品の標準的な使い方に従えばよく、本成分のために特別な使い方をする必要はない。

5.2 期待できないこと・避けるべき使い方

ツバキ種子エキスに期待できないことは、次のとおり。

  • 椿油のようなしっとり感やツヤ: 油分の働きは椿油(ツバキ種子油)の話で、エキスには当てはまらない
  • シワ・シミ・老化への効果: 原料メーカーの試験での訴求はあるが、化粧品に配合された本成分の効能としては期待できない
  • 洗浄力の上乗せ: 種子にサポニンが含まれても、本成分の化粧品での配合目的は皮膚コンディショニング剤である

避けたいのは、「椿」「国産」「五島列島」といった名前やイメージだけで商品を選ぶことである。肌に合うかどうかは処方全体で決まるため、合わないと感じたら使用を中止する。

6. メンズ実用視点まとめ

メンズの成分表示でツバキ種子エキスを見かけたら、次の3点で読むと整理しやすい。

  1. 油ではなくエキス: 椿油(ツバキ種子油)は同じ種子から搾る油で、本成分は水などで抽出したエキス。油を搾った後の粕から取る原料もある。「髪や肌がしっとりする」という椿油のイメージは持ち込まない
  2. 「ツバキエキス」は区分を見て読む: 医薬部外品では種子のエキス、化粧品の現行名では全草のエキス。名前だけでは範囲が決まらない
  3. 働きは「肌を整える」範囲: サポニンを含むことや原料メーカーの試験から、洗浄力やエイジングケアの効果は導けない

皮脂が多い肌でも乾燥が気になる肌でも、本成分は油分として働く成分ではない。商品を選ぶときに効いてくるのは、化粧水なら保湿の骨格とアルコールの有無、洗顔料やシャンプーなら洗浄成分の系統と使い心地のほうである。

7. よくある質問(FAQ)

Q1. ツバキ種子エキスはどんな成分ですか?

ツバキ(Camellia japonica)の種子から得られる植物エキスで、化粧品の配合目的は皮膚コンディショニング剤です(出典: Cosmetic-Info.jp)。種子にはカメリアサポニンなどのトリテルペンサポニンが含まれることが報告されています(出典: Chem Pharm Bull 1996 / Phytochem Anal 2019)。有効成分ではなく、肌を整える目的で配合されます。

Q2. 椿油(ツバキ油)と同じものですか?

別の成分です。椿油は種子から得られる脂肪油で、ツバキ種子エキスは種子のエキスです。医薬部外品の規格では、エキスは「種子の脱脂物から水にて抽出」と定められ、原料メーカーも椿油を搾った後の粕を使うと説明しています(出典: Cosmetic-Info.jp 部外品添加物 / 日油 製品頁)。同じ種子を、油とエキスで分け合う関係と考えると分かりやすいでしょう。油分としての働きはエキスには期待できません。

Q3. 成分表の「ツバキエキス」は、ツバキ種子エキスのことですか?

商品の区分によります。医薬部外品の「ツバキエキス」は、種子の脱脂物から取ったエキスです。一方、化粧品の現行の「ツバキエキス」は全草のエキスで、本成分とは別の成分です。以前は化粧品にも種子のエキスを指す「ツバキエキス」がありましたが、同名異義の混同を避けるため2016年3月31日にリストから削除され、ツバキ種子エキスに改められました(出典: Cosmetic-Info.jp)。名前だけでなく、商品が医薬部外品かどうかを確認してください。

Q4. ツバキ種子エキスは肌に安全ですか?

PubMedで検索した範囲では本成分による接触皮膚炎の症例報告は見当たりませんが、原料メーカーの安全性試験の結果は公開されておらず、米国CIRの個別評価も本調査では確認できませんでした。報告が見当たらないことと、十分に検証されていることは同じではありません。商品には香料やアルコール、洗浄成分も入るため、合わないと感じたら使用を中止してください。

8. まとめ

ツバキ種子エキスは、ツバキ(Camellia japonica)の種子から得られる植物エキスで、化粧品では肌を整える目的で配合される。種子の成分としてはカメリアサポニンなどのトリテルペンサポニンや、油粕のケンフェロール配糖体が報告されているが、商品中の量は表示から読めない(出典: Chem Pharm Bull 1996 / Carbohydr Res 2020)。

同じ種子から搾る椿油とは別の成分で、医薬部外品の規格では油を除いた脱脂物から水で抽出するエキスと定められている。油とエキスが同じ種子を分け合う関係であり、椿油の「しっとり」のイメージはエキスに持ち込めない。

名前の出方では、化粧品の「ツバキ種子エキス」に対して、医薬部外品では「ツバキエキス」になる。ところが化粧品にも、全草のエキスとして同じ文字列の「ツバキエキス」が残っている。種子を指していた化粧品の旧名は、同名異義の混同を避けるために削除された。成分表の「ツバキエキス」は、商品の区分を見ないと範囲が決まらない。

本成分は有効成分ではなく、働きの大きさも表示から読めない。名前のイメージより、保湿の骨格や洗浄成分、剤形で商品を選び、その中の植物エキスの1つとして読むのが実用的な理解になる。

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