セルロースは、INCI名 Cellulose、CAS番号9004-34-6、グルコースがβ-1,4結合で連なった植物由来の多糖で、紙も木綿も主成分はこれにあたる(出典: 化粧品成分オンライン / 国立医薬品食品衛生研究所 JP18名称データベース)。化粧品では水に溶けない粉体として配合され、洗顔料やピーリング製品ではスクラブ・研磨剤、その他の製品では感触改良・賦形(増量)を担う(出典: 化粧品成分オンライン)。この記事の中心は2つある。1つは、セルロースが担うのが 硬さと粒子径で角栓・角質を物理的に削り取る という原理で、溶けて液性を変える炭酸水素Na、タンパク質を酵素で切るプロテアーゼ・パパイン、表面に取り込むタナクラクレイとは働きかける対象も手段も違うという点。もう1つは、名前のよく似た セルロース誘導体 ─ ヒドロキシエチルセルロース・ヒドロキシプロピルメチルセルロース等 ─ が水に溶ける増粘剤であるのに対し、母体のセルロースは溶けない粒子で、働く方向がほぼ逆にあたるという点になる。加えて本記事は、化粧品表示名称の「セルロース」と「結晶セルロース」を同一物質のグレード違いとして1本にまとめて扱う。
1. セルロースの基本
1.1 何の成分か
セルロースは、グルコースがβ-1,4結合で連なった鎖状の多糖で、植物の細胞壁をつくる骨格材料にあたる。化粧品に配合されるものは、植物繊維から得られる多糖か、酢酸セルロースを加水分解して得られるものと整理されている(出典: 化粧品成分オンライン)。別名は繊維素、INCI名は Cellulose になる。
性質を決めているのは水素結合になる。セルロースの鎖はヒドロキシ基を多数持ち、それらが鎖の内側と鎖同士で強固な水素結合をつくるため、分子と分子の間に水が入り込む余地がない。結果として水にも一般的な有機溶媒にも溶けない(出典: 化粧品成分オンライン)。この一点が本記事の全体を貫く。溶けないから、肌に乗るのは溶液ではなく粒子になる。角層を通過して働く成分ではなく、表面で物理的に接触する成分にあたる。
「セルロース」と「結晶セルロース」の関係
化粧品の成分表には「セルロース」と「結晶セルロース」の2つの表示名が登場するが、この2つは別物質ではなく同じセルロースのグレード違いにあたる。根拠は日本薬局方の定義になる。第十八改正日本薬局方(JP18)の名称データベースに収載されているのは、総称のセルロースではなく次の2つになる(出典: 国立医薬品食品衛生研究所 JP18名称データベース)。
| 日局収載名 | 英名 | 本品の定義 |
|---|---|---|
| 結晶セルロース | Microcrystalline Cellulose | α-セルロースを酸で部分的に解重合し,精製したもの |
| 粉末セルロース | Powdered Cellulose | α-セルロースを,必要に応じて,部分的加水分解などの処理を行った後,精製し,機械的に粉砕したもの |
(出典: 国立医薬品食品衛生研究所 第十八改正日本薬局方 名称データベース)
読み取れることは3つある。1つ目は、どちらも出発物質がα-セルロースで共通している 点。2つ目は、結晶セルロースが「酸で部分的に解重合し,精製したもの」と定義される点で、セルロースの鎖には結晶が整列した領域と乱れた領域(非晶領域)が混在しており、酸は乱れた側を優先的に切るため、結晶領域が残った微結晶の集まりになる。3つ目は、粉末セルロースの定義に「機械的に粉砕したもの」が入る点で、こちらは化学的に非晶領域を落とすのではなく物理的に砕いたグレードにあたる。結晶セルロースのCAS番号9004-34-6は、セルロース一般に使われる番号と同じになる。
つまり結晶セルロースは「セルロースの一種」であって「別の成分」ではない。本記事が2つを1本にまとめて扱うのはこの理由になる。ただし グレードが違えば粒子径も違い、使用感は変わる(§2.1)。同一物質だから同じ使い心地になる、という意味ではない。
3つの制度で名前の刻み方が違う
セルロースは化粧品・医薬部外品・日本薬局方のいずれにも名前を持つが、3つの制度がそれぞれ違う刻み方をしている。
| 制度 | 収載されている名前 | 刻み方の軸 |
|---|---|---|
| 化粧品の成分表示名称 | セルロース / 結晶セルロース | グレード別(総称と微結晶) |
| 医薬部外品の成分表示名称 | 結晶セルロース(連番771) / セルロース末(連番1295) | グレード+製法別 |
| 日本薬局方(JP18) | 結晶セルロース / 粉末セルロース | 製法別(酸で解重合 / 機械粉砕) |
(出典: 日本化粧品工業連合会 医薬部外品の成分表示名称リスト / 国立医薬品食品衛生研究所 JP18名称データベース / 化粧品成分オンライン)
医薬部外品の側では、日本化粧品工業連合会の『医薬部外品の成分表示名称リスト』(平成20年3月25日版)に 総称の「セルロース」が単独では収載されていない。代わりに載っているのが「結晶セルロース」(連番771・成分コード002235)と「セルロース末」(連番1295)の2つになる(出典: 日本化粧品工業連合会)。3つの制度に共通して同じ綴りで載っているのは「結晶セルロース」だけで、総称に対応する部外品名は「セルロース末」、日局名は「粉末セルロース」と、それぞれ別の名前にあたる。
⚠️ これは 「セルロースは医薬部外品に使えない」という意味ではない。成分表示名称リストは表示名のリストであって配合実態のリストではなく、名前が一字一句一致しないことをもって非収載と読むのは誤りになる。割れ方の意味は §2.2 で扱う。
規制上の位置づけはシンプルで、セルロースは医薬部外品の有効成分ではなく、感触改良・賦形・研磨を担う添加成分にあたる。日本薬局方・医薬部外品原料規格2021・食品添加物のリストにも収載され、化粧品での使用実績はセルロースで20年以上、結晶セルロースで40年以上とされる(出典: 化粧品成分オンライン)。
1.2 どんな製品に配合されるか
化粧品成分オンラインは、セルロースの配合目的を感触改良・賦形(増量剤)・乳化安定化・研磨/スクラブの4つ、適用製品をメイクアップ製品・化粧下地製品・ボディケア製品・ピーリング製品・洗顔料・スキンケア製品と整理している。結晶セルロースはこれに結合(バインダー)が加わり、適用製品にヘアカラー製品が入る(出典: 化粧品成分オンライン)。
ただし、DappNotes が扱うメンズ寄りの切り口では分布がかなり狭い。自社の商品マスター132製品を機械集計すると、セルロースまたは結晶セルロースを含むのは3製品で、そのすべてがスクラブ系の洗顔料だった(出典: DappNotes 商品マスター集計)。化粧水・乳液・美容液・日焼け止め・シャンプーには1件も入らない。感触改良や賦形という汎用の用途は粉体主体の剤型でこそ生きるもので、メンズ向けのラインナップではスクラブ用途に集中する、という読み方になる。
3製品の位置づけを並べると次のようになる(製品名は伏せ、処方の性格で示す)。
| 製品タイプ | 成分表の実表記 | 順位 | 全成分数 | 位置 | 参考価格/内容量 |
|---|---|---|---|---|---|
| 洗顔料A(石けんベースのスクラブ洗顔) | セルロース | 13位 | 18 | 72% | 210円/130g |
| 洗顔料B(石けんベースのマイクロスクラブ洗顔) | 結晶セルロース | 18位 | 24 | 75% | 2,497円/120g |
| 洗顔料C(高グリセリン処方のクレイ+スクラブ洗顔) | セルロース | 14位 | 21 | 67% | 3,080円/130g |
(出典: DappNotes 商品マスター集計)
読み取れることは4つある。
1つ目は、3製品とも成分表の後半(67〜75%)に位置している 点になる。スクラブ粒子は洗浄の基剤ではなく、基剤の後ろに少量足される層にある。本クラスタの毛穴訴求成分12ペアもすべて成分表の38〜99%に集まっていた(出典: DappNotes 商品マスター集計)。
2つ目は、内容量がほぼ同じなのに参考価格が約15倍開く 点にあたる。洗顔料Aは130gで210円、洗顔料Cは130gで3,080円になる。洗顔料Cは水よりグリセリンが先に来る高グリセリン処方で、クレイ・シルク・ヒアルロン酸Na・植物油を併配合する21成分の構成。洗顔料Aは18成分の石けんベースにあたる。価格差はスクラブ粒子ではなく、それ以外の処方全体の違いから来ている。
3つ目は、同じ処方の中に母体と誘導体が同居している例がある 点になる。洗顔料Cは14位にセルロース(不溶の粒子)、18位にエチルセルロース(皮膜形成の誘導体)を持つ。役割は粒子と皮膜で別物にあたる(§4.3)。
4つ目は、粉体の組み立て方が製品ごとに違う 点になる。洗顔料Bは結晶セルロース単独、洗顔料Aはセルロース・シリカ・ベントナイトの3種を並べ、洗顔料Cは吸着系クレイの上にセルロースを重ねる(§4.1)。
⚠️ 全成分表示は原則として配合量の多い順に並ぶが、1%以下の成分は順不同で記載してよい。後半に並んでいるからといって配合量の順位がそのまま読めるわけではなく、順位が低い=効果がない、とは読めない。
1.3 メンズ視点での見方
男性は皮脂分泌量が女性の約2倍とされるオイリー寄りで、皮脂・汗・整髪料をすっきり落としたいというニーズが強い(出典: メンズスキンケア専門メディア各種)。毛穴の角栓が目立ちやすいのもこの延長にあり、スクラブ洗顔がメンズ向けに提案されやすい理由になる。自社集計でセルロース配合3製品がすべてスクラブ系洗顔料だったのも、その反映と読める(出典: DappNotes 商品マスター集計)。
ただしメンズには固有の事情がある。毎日の髭剃り自体が、物理的に角質を削る行為にあたる 点になる。男性の肌は皮脂が多い一方で肌内部の水分量は女性の約半分とされ、髭剃りで角質と皮脂膜が削られてバリア機能が低下しやすい(出典: メンズスキンケア専門メディア各種)。ここにスクラブを重ねると、同じ面を2つの手段で削ることになる。
だからスクラブが不適、という話ではない。切り分けるべきは順序と頻度で、髭剃り直後を避けること、毎日ではなく週1〜2回といった上限を先に決めること(製品に頻度の指定があればそちらが優先)、力を入れず泡のすべりを利用して粒子を転がす程度にとどめること、の3点になる。
もう1つ有効なのが セルロースは削る側であって、皮脂の量そのものを変える成分ではない という切り分けになる。同じ毛穴ケアの棚に並んでいても、炭酸水素Naは弱アルカリ性で皮脂・角質タンパクを軟化させる化学的な下ごしらえ、プロテアーゼ・パパインは酵素反応による化学分解、タナクラクレイやカオリンは物理吸着にあたる。テカりを抑えたいのか、詰まりを取りたいのかで選ぶ成分は変わる(関連: メンズスキンケア入門|何から始めるか)。
2. 期待される働き・効果
2.1 メカニズム
セルロースの働きは化学反応ではなく、粒子としての物理的な性質で説明できる。役割は3つある。
役割A:研磨・スクラブ。洗顔料やピーリング製品では、粒子が肌の表面を擦ることで、浮いた角質や毛穴に詰まった角栓に物理的に働きかける(出典: 化粧品成分オンライン)。重要なのは、研磨の強さを決めるのが成分名ではないという点にあたる。効くのは粒子の硬さ・粒子径・形状に加えて、使う側の力加減・時間・頻度と、その日の肌の状態になる。
役割B:感触改良。粉体を配合すると、のび・すべり・さらさら感といった使用感が変わる。セルロースは有機の粒子で、鉱物系の粉体とは触感が違う方向に働く。
役割C:賦形(増量)・乳化安定化。それ自体は強い機能を持たないが、処方のかさを作り、粉体の分散や乳化の安定を助ける。結晶セルロースの配合目的には結合も挙がる(出典: 化粧品成分オンライン)。
粒子径が桁で2つ違う
3つの役割のうち、A(研磨)とB(感触改良)は同じ成分名のまま粒子径のグレードで切り替えられている。結晶セルロースの粒子径は感触改良用が約10μm、研磨・スクラブ用が200〜700μmとされる(出典: 化粧品成分オンライン)。同じ表示名で、粒子径が桁2つ違う ことになる。指でざらつきが分かる粒が入っている製品と、ほとんど感じない微粉が入っている製品が、成分表の上ではまったく同じ4文字で並ぶ。スクラブを売りにする製品は商品説明側で粒の性格(粗さ・マイクロ・崩壊性など)を説明していることが多く、粒の情報は成分表ではなく商品説明の側にある と割り切るのが実際的になる。成分表から読めるのは「削る系の粒子が入っている」までで、「どのくらい削るか」は読めない。
4系統の中での位置
毛穴に働きかける成分は、原理で4つの系統に分かれる。
| 系統 | 働きかける対象 | 原理 | 成分 |
|---|---|---|---|
| 炭酸塩(アルカリ剤) | 皮脂・角質タンパク | 水に溶けて弱アルカリ性を示し、軟化させる化学的な下ごしらえ | 炭酸水素Na |
| 酵素(タンパク分解) | 角質・角栓のタンパク質 | 酵素反応でペプチド結合を切る化学分解 | プロテアーゼ / パパイン |
| 粉体研磨 | 角栓・角質そのもの | 硬さと粒子径で物理的に削り取る | セルロース(本成分) |
| クレイ吸着 | 皮脂・汚れ | 粒子表面・層間に取り込む物理吸着 | タナクラクレイ |
(出典: 各成分の配合目的・自社商品マスターの role 表記に基づく整理)
この4系統を並べると、セルロースの独自性がはっきりする。他の3系統はいずれも「水の中で何かが起きる」のに対し、粉体研磨だけは水の中で何も起きない。炭酸水素Naは溶けて液性を変え、酵素は水中で基質と出会って反応し、クレイは水と一緒に汚れを表面へ引き寄せる。セルロースは溶けず、反応せず、吸着を主目的ともしない。ただ硬い粒として存在し、肌に擦りつけられたときだけ仕事をする。化学的に働く3系統は放置時間や温度・pHで効き方が変わりうるが、物理的に働くセルロースの変数は「どれだけ擦ったか」に集約される。効きすぎのコントロールが使う側の手に委ねられている のが、この系統の特徴にあたる。
なお、系統が違っても製品が単独系統で完結しているわけではない。自社集計では、炭酸塩(10位)と酵素(11位)を隣り合わせで配合する洗顔料や、酵素(44位)とクレイ(43位)を隣り合わせで配合する洗顔料があった(出典: DappNotes 商品マスター集計)。セルロース側でも、洗顔料Cはクレイ吸着(5位)と粉体研磨(14位)を組み合わせている。
2.2 一般的な効能範囲
日本において、セルロースは医薬部外品の有効成分ではなく、感触改良・賦形・研磨を担う添加成分にあたる(出典: 化粧品成分オンライン)。したがって承認効能はなく、配合製品が標榜できるのは化粧品の効能の範囲、ないしは併配合された医薬部外品有効成分の承認効能の範囲にとどまる。
明確にNGなのは、セルロースやスクラブ洗顔に「毛穴の黒ずみを除去して毛穴を消す」「ニキビを治す」「皮脂分泌を抑制する」といった効果を結びつける表現にあたる。これらは医薬部外品有効成分の承認効能や医薬品の枠組みであって、研磨剤・感触改良剤としての基剤の効能ではない。
部外品の名前が割れていることの意味
§1.1 で見たとおり、医薬部外品の成分表示名称リストには総称の「セルロース」がなく、「結晶セルロース」と「セルロース末」に分かれている。この割れ方は、本クラスタの他成分と比べると位置づけがはっきりする。
| 成分 | 医薬部外品表示名称リストでの扱い |
|---|---|
| 炭酸水素Na | 収載あり。「炭酸水素ナトリウム」が連番1348/1349/1350の3行。別名「重炭酸ナトリウム」「重曹」 |
| パパイン | 収載あり。連番1626・単独名で1行のみ |
| プロテアーゼ | 総称の単独収載なし。由来菌別に「プロテアーゼ(1)」連番1838と「プロテアーゼ(2)」連番1839に分割 |
| セルロース(本成分) | 総称の単独収載なし。「結晶セルロース」連番771と「セルロース末」連番1295にグレード・製法別で分割 |
| タナクラクレイ | 産地名「タナクラクレイ」での収載はなし。組成名「含硫ケイ酸アルミニウム」連番623 で収載 |
(出典: 日本化粧品工業連合会 医薬部外品の成分表示名称リスト 平成20年3月25日版)
化粧品表示名での4系統の分かれ方と、部外品リストでの刻み方は一致しない。炭酸水素Naとパパインはそのままの名前で載り、プロテアーゼは由来菌で割れ、セルロースはグレードと製法で割れ、タナクラクレイは載っていない。収載は、2008年時点でその名前が医薬部外品の表示名称として登録されていた、という以上の意味を持たない。
割れ方の中身を見るとさらに事情が分かる。「セルロース末」の本質は「酢酸セルロースをアルカリで加水分解して得られるもの」と定義されており(出典: 日本化粧品工業連合会)、いったん酢酸セルロースにしてから加水分解で戻す製法にあたる。一方、化粧品表示名の「セルロース」は植物繊維由来のものと酢酸セルロース由来のものの両方を含む(出典: 化粧品成分オンライン)。同じ物質を、化粧品側は由来を問わずひとまとめにし、部外品側は製法で刻んでいる。名前が対応しないのは非収載だからではなく、刻む軸が違うからになる。
マイクロプラスチックビーズ規制との関係
セルロースが話題になる文脈でもう1つ大きいのが、スクラブ剤としてのプラスチックビーズの代替という論点になる。ここは規制の条文を正確に押さえておく価値がある。
米国では、2015年12月18日に成立した Microbead-Free Waters Act が連邦食品医薬品化粧品法を改正し、洗い流す化粧品(rinse-off cosmetics)にプラスチックマイクロビーズを含むものの製造・包装・流通を禁じた(出典: U.S. FDA)。同法の定義では、plastic microbead とは 5ミリメートル以下の固体プラスチック粒子で、人体または人体の一部を角質除去または洗浄する目的で使われることを意図したもの にあたる。適用時期は製造が2017年7月1日から(化粧品かつOTC医薬品にあたる歯みがき類等は2018年7月1日から)、州際通商への導入が2018年7月1日から(同2019年7月1日から)になる。押さえるべき範囲は3つで、対象は洗い流す製品に限られ、プラスチックの粒子に限られ、意図的に角質除去・洗浄目的で添加されたものに限られる。
欧州はもう少し広い枠組みを採る。2023年9月25日採択の Commission Regulation (EU) 2023/2055 は、REACH附属書XVIIに意図的に添加された合成ポリマーマイクロ粒子の制限を置いた(出典: European Commission)。重要なのが除外規定で、無機物・天然のもの・生分解性のもの・水に溶けるものは対象から外れる。とりわけ「重合が自然界で起きたポリマーで、化学修飾されていないもの」は定義から除かれる。適用日は一般の禁止が2023年10月17日発効で、洗い流す化粧品は2027年10月16日まで、洗い流さない化粧品は2029年10月16日まで、メイクアップ・リップ・ネイル製品は2035年10月16日までの経過措置になる。
この2つの条文にセルロースを当てると、位置づけは自然に見える。植物が合成した天然のポリマーで、プラスチックではない。だからプラスチックビーズを置き換える素材として選ばれてきた、という流れになる。
⚠️ ただし2点、慎重に扱うところがある。第一に、規制対象かどうかの判定は個別の原料と製品について製造者・当局が行うもので、本記事はその判定を示すものではない。第二に、セルロースには製法上のグラデーションがある。部外品表示名称「セルロース末」の本質は酢酸セルロースをアルカリで加水分解したもので、一度化学的に修飾してから戻す経路にあたる。欧州の除外規定が言う「化学修飾されていない」に該当するかは原料ごとの評価になる。なお日本には、洗い流し製品のマイクロプラスチックビーズを名指しで禁じる法規制は置かれておらず、業界団体の自主的な要請と各社の方針で置き換えが進んできたとされる。
2.3 限界・誤解されやすい点
セルロースをめぐって誤解されやすい点を4つ整理する。1点目が本記事の中心にあたる。
1点目:セルロース誘導体と混同すること
これが最大の誤解になる。化粧品の成分表には「セルロース」を含む名前がいくつも並ぶが、そのほとんどは母体ではなく、化学修飾された セルロース誘導体 にあたる。両者は働く方向がほぼ逆になる。母体は、ヒドロキシ基どうしの水素結合が強すぎて水が入り込めず溶けない。だから粒子として残り、研磨・感触改良・賦形を担う。誘導体は、そのヒドロキシ基を別の基で置き換えて水素結合の網をゆるめ、水に溶けるようにしたものになる。溶けるから水に粘りを与え、増粘剤として働く。
ヒドロキシエチルセルロース・ヒドロキシプロピルメチルセルロース・セルロースガム(カルボキシメチルセルロースNa)・ポリクオタニウム-10(カチオン化セルロース)は、いずれもこの誘導体の側にあたる。名前に「セルロース」と付いていても、増粘剤なら母体ではなく誘導体だと考えてまず外れない。
混同が起きやすい理由も構造的にある。成分の分類体系では、セルロース系の成分が「セルロース系水溶性高分子」という1つの棚にまとめて置かれることが多い。母体自体は水溶性ではないのに、家族の名前で棚が決まっているために、母体まで増粘剤として説明されてしまう筋道になる。自社の商品マスターでも、セルロース配合2製品の役割表記は「増粘・感触改良」だった(出典: DappNotes 商品マスター集計)。分類上の家族名としては正しくても、その製品で実際に起きていることはスクラブ粒子としての働きにあたる。
2点目以降:残り3つの誤解
2点目:「天然由来のスクラブだから肌にやさしい」と思うこと。由来と刺激の強さは別の話になる。物理的な研磨の負担を決めるのは、由来ではなく粒子径・硬さ・形状と、擦る力・時間・頻度にあたる。マイクロプラスチックビーズの置き換えは主として環境側の課題への対応で、肌への負担が自動的に下がることを保証する話ではない。
3点目:スクラブの粒が毛穴の汚れを「かき出す」と思うこと。セルロースの粒子が働くのは肌の表面になる。研磨用グレードの粒子径は200〜700μmとされ(出典: 化粧品成分オンライン)、指で触れてざらつきが分かる大きさにあたる。この大きさの粒が毛穴の内部に入り込んで内側から掻き出す、という描像には無理がある。届くのは表面までと理解しておくほうが、期待値の管理として健全になる。
4点目:スクラブが入っていれば洗浄力も高いと思うこと。汚れを乳化して落とすのは界面活性剤の仕事で、セルロースはそこに関与しない。洗い上がりの印象を決めるのは洗浄基剤の側にあたる。
3. 安全性・注意点
3.1 既知の刺激性・アレルギー報告
セルロースの刺激性は、成分単独で見るかぎり穏やかな部類にあたる。化粧品成分オンラインの整理では、皮膚刺激性・皮膚感作性ともにほとんどなしとされている。ただしこの整理には具体的な試験データの記載が伴っておらず、眼刺激性についてはデータ不足で詳細不明とされている。裏づけとして働くのが使用実績と規格収載で、化粧品での使用実績はセルロースで20年以上、結晶セルロースで40年以上とされ、日本薬局方・医薬部外品原料規格2021・食品添加物のリストのいずれにも収載されている(出典: 化粧品成分オンライン / 国立医薬品食品衛生研究所)。
CIRの評価
公的評価の側も同じ方向を向いている。CIR(Cosmetic Ingredient Review)は2009年3月に改訂版安全性評価 Amended Safety Assessment of Cellulose and Related Polymers as Used in Cosmetics を公表しており、CIRの Quick Reference Table(2014年12月3日版)では Cellulose・Microcrystalline Cellulose がいずれも 安全(S)の区分 に置かれ、対応する使用濃度はそれぞれ最大88%・最大57%と記載されている(出典: CIR)。
注目に値するのは、この報告書が母体のセルロースと、水溶性に加工されたセルロース誘導体を1本にまとめて評価している 点になる。同じ系列にはセルロースガム(最大20%)・メチルセルロース(最大20%)・ヒドロキシエチルセルロース(最大6%)等が並ぶ。原報告は Journal of the American College of Toxicology 5(3):1-59, 1986 にあたる(出典: CIR / 主な成分の値は §4.3 の表にも整理)。
ここから2つのことが読める。1つは、安全性評価の側は母体と誘導体を同じ家族として扱っている 点で、§2.3 で見た「分類の棚が同じだから混同が起きる」という構図の、制度側の対応物にあたる。もう1つは、使用濃度の桁が母体と誘導体で大きく違う 点になる。誘導体が数%にとどまるのは、水に溶かして粘度をつける成分は少量で足りるからにあたる。
⚠️ これらの使用濃度は、安全と結論された範囲の使用実態の上限であって推奨配合量ではない。
実用上の留意点
留意点は成分の毒性ではなく使い方の側に集中する。摩擦、目への配慮、製品全体でのアレルギー反応の3点で、具体的な運用は §4.2 に整理する。いずれも成分を避ける理由にはならず、頻度・力・タイミングの調整で対応する論点にあたる。
3.2 推奨配合量と過剰配合時のリスク
セルロースは「何%配合すると効く」タイプの機能性成分ではない。どのグレードの粉体をどれだけ入れるかで役割そのものが変わるため、配合量の考え方も濃度依存の有効成分とは違う。
使用実態のレンジは非常に広い。CIRのQuick Reference Table では、安全と結論された使用濃度としてセルロースが最大88%、結晶セルロースが最大57%と記載されている(出典: CIR)。これは粉体主体の剤型を含んだ届出ベースの数字で、洗顔料の配合量とは別枠にあたる。日本の化粧品基準に配合上限規定はない(出典: 化粧品成分オンライン)。自社集計の洗顔料3製品では成分表上の位置が67%・72%・75%といずれも後半で、洗浄の主役ではなく体感を足すスクラブ粒子として置かれている、と読める配置になる(出典: DappNotes 商品マスター集計)。
「過剰配合時のリスク」という観点で実態に即しているのは、成分の毒性ではなく2つの別の軸にあたる。1つ目は 粒子の量ではなく、粒子の性格の側 で、同じ量を入れても研磨グレード(200〜700μm)と感触改良グレード(約10μm)では物理的な負担がまったく違う(出典: 化粧品成分オンライン)。2つ目は 使う側の頻度と力 で、配合量が控えめでも毎日強く擦れば負担は積み上がり、逆に粒子が多めでも週1回・力を入れずに使えば限定的になる。この系統は、処方より運用のほうが結果を左右する。
したがって、成分表でセルロースの記載位置を気にする実益は限定的になる。見るべきは、商品説明に書かれた粒の性格、洗浄基剤が何か、他系統の毛穴成分が併配合されているか、自分の肌が今どういう状態か、の4点にあたる。
3.3 「危険性」と言われる根拠と実態の整理
セルロースは「危険性」で検索されることが比較的少ない成分にあたるが、それでも語られる論点がいくつかある。筋が通っているのは摩擦の1つだけで、残りは混同に基づく。とりわけ 増粘剤だから毛穴を塞ぐのではないか という懸念は、§2.3 で見た誘導体との取り違えから来ている。母体のセルロースは水に溶けず、粘度をつくらず、膜も張らない。事実と混同を切り分けると、次のような整理になる。
| 観点 | 語られる根拠 | 実態の整理 |
|---|---|---|
| スクラブの摩擦 | 粒子で擦るから肌を傷つける | 負担は実在するが、決めるのはグレード(200〜700μm vs 約10μm)と力・頻度。成分名では決まらない |
| マイクロプラスチック | スクラブ剤=環境負荷 | 米国法の対象は「5mm以下の固体プラスチック粒子」、EU規則も天然の未修飾ポリマーを除外。置き換える側の素材にあたる |
| 食品添加物 | 食べ物に入る物質を肌に塗る不安 | 食品添加物リスト・日本薬局方・医薬部外品原料規格2021に収載。使用実績20年以上 |
| 増粘剤という誤解 | 名前が増粘剤の仲間と同じ | 母体は水に溶けず粘度をつくらない。増粘剤は化学修飾された誘導体の側 |
| 眼への影響 | 粒子が目に入る | 眼刺激性はデータ不足で詳細不明とされる。洗い流す・強く擦らないという一般的配慮で足りる |
(出典: 化粧品成分オンライン / CIR / U.S. FDA / European Commission / 国立医薬品食品衛生研究所 / DappNotes 商品マスター集計 / メンズスキンケア専門メディア各種)
実用的な結論はこうなる。セルロースを避ける理由を探すより、その製品の粒がどのくらいの粗さで、自分がどの頻度・どの力で使うつもりかを決めるほうが、判断としては精度が高い。危険と断じるのでも安全と断じるのでもなく、削る手段を手元で制御する成分だと理解するのが、正確な付き合い方にあたる。
4. 相性の良い・悪い成分
4.1 併用推奨
セルロースは単独で完結する成分ではなく、何と組み合わさっているかで製品の性格が決まる。パターンは大きく4つにあたる。
1つ目は、洗浄基剤との組み合わせ になる。スクラブ粒子は汚れを乳化しないため、洗顔料では必ず界面活性剤系の洗浄成分と組み合わせて使われる。自社集計の3製品はいずれも脂肪酸石けん系を主体としていた(出典: DappNotes 商品マスター集計)。洗い上がりの印象を決めるのはこちらの側にあたる。
2つ目は、他系統の毛穴成分との組み合わせ になる。自社集計の洗顔料Cは、5位にモロッコ溶岩クレイという吸着系を置いたうえで14位にセルロースを配合している(出典: DappNotes 商品マスター集計)。削る(研磨)と取り込む(吸着)は原理が違うので、役割が重複せず積み上がる 設計にあたる。
3つ目は、他の粉体との組み合わせ になる。自社集計の洗顔料Aは、セルロース(13位)に加えてシリカ(15位)とベントナイト(16位)を並べており、有機と無機の粒子を混ぜて感触と機能の幅を出す設計と読める(出典: DappNotes 商品マスター集計)。
4つ目は、保湿成分との組み合わせ にあたる。削る方向のケアでは、洗い上がりが乾きすぎないようグリセリン等のヒューメクタントが併配合されることが一般的になる。ただし洗い流す製品である以上、洗顔後のスキンケアで水分・油分を補うところまでをセットで考えるのが実用的になる(出典: メンズスキンケア専門メディア各種)。
4.2 併用注意
セルロースは処方設計者が扱う粉体で、消費者が「この成分と一緒に使ってはいけない」と気にする類のものではない。ただし、削る方向のケアという性格上、運用面の留意点が4つある。
1点目は、削る系どうしの重ねがけ にあたる。スクラブ洗顔のあとにピーリング・酵素洗顔・ゴマージュ・拭き取り化粧水を重ねる運用は、角質を減らす方向の作用が積み上がる。原理が違っても向かう先は同じなので、「違う成分だから大丈夫」とは言えない。
2点目は、髭剃りとの組み合わせ になる。メンズに固有で、かつ見落とされやすい論点にあたる。髭剃りは刃で角質を削る行為で、スクラブと作用の方向が重なる(出典: メンズスキンケア専門メディア各種)。髭剃り直後の肌はバリア機能が低下しており、ここにスクラブを重ねると負担が集中する。髭剃りとスクラブは同じ日に重ねない、少なくとも直後には重ねない。炎症を起こしているニキビ部位や髭剃りで切れた部位に研磨をかけるのも避ける。
3点目は、頻度と力 にあたる。この系統は処方より運用が結果を左右する(§3.2)。製品の使用方法に頻度の指定があればそれが優先で、指定がない場合も毎日ではなく週1〜2回を上限の目安に置くのが無難になる。力を入れて長く擦るほど効く、という関係にはない。
4点目は、目のまわりと製品全体での反応 になる。眼刺激性はデータ不足で詳細不明とされるため、粒子が目に入った場合は洗い流し、目のまわりを強く擦らない(出典: 化粧品成分オンライン)。製品には香料・防腐剤・界面活性剤等が併配合されるため、個別の反応が起こる可能性も他の化粧品と同様にゼロではない。敏感肌の人はパッチテストを挟むのが確実になる。
4.3 類似成分
セルロースに近い成分は「名前が近い」方向と「働きが近い」方向に分かれ、この2つがほとんど重ならない のが一番の特徴になる。
名前が近い成分:セルロース誘導体
母体と、そこから化学修飾で作られる誘導体の関係を整理すると次のようになる。
| 成分 | 水への溶解 | 肌の上での形態 | 主な配合目的 | CIR表の使用濃度 |
|---|---|---|---|---|
| セルロース(本成分) | 溶けない | 粒子 | 研磨/スクラブ・感触改良・賦形 | up to 88% |
| 結晶セルロース(本記事で併記) | 溶けない | 粒子 | 研磨/スクラブ・感触改良・結合 | up to 57% |
| セルロースガム(CMC-Na) | 溶ける | 水溶液・ゲル | 増粘 | up to 20% |
| ヒドロキシエチルセルロース | 溶ける | 水溶液・ゲル | 増粘・粘度調整 | up to 6% |
| ヒドロキシプロピルメチルセルロース | 溶ける | 水溶液・ゲル | 増粘・粘度調整 | up to 4% |
| エチルセルロース | 置換度による | 皮膜 | 皮膜形成・増粘 | up to 4% |
| ポリクオタニウム-10 | 溶ける | 水溶液 | コンディショニング | ─ |
(出典: CIR Quick Reference Table 2014年12月3日版 / 化粧品成分オンライン)
構造で見ると分かりやすい。セルロースの鎖にはグルコース1つあたり3つのヒドロキシ基があり、母体ではこれらが互いに水素結合して網をつくる。この網が強いから水が入れず、溶けない。誘導体はこのヒドロキシ基を別の基で置き換えて網をゆるめ、水が入れるようにしたものになる。置換という1手で、溶けない粒子が溶ける高分子に変わる。
位置づけが面白いのがエチルセルロースになる。化粧品成分オンラインの整理によれば、置換度が1.5までは水溶性、それを超えると段階的に水に溶けにくくなり、置換度2.0で有機溶媒に溶けるようになる(出典: 化粧品成分オンライン)。つまり 置換の度合いは連続量で、水溶性か不溶かは0か1かではない。母体と誘導体を分ける線も、グラデーションの上に引かれていることになる。
実用上の見分け方はシンプルで、成分表で「セルロース」を含む名前を見つけたら 前に何か付いているかを見る。ヒドロキシエチル・カルボキシメチル・エチル・カチオン化といった修飾語が付いていれば誘導体で、役割は増粘・皮膜・コンディショニングにあたる。何も付かない「セルロース」、あるいは「結晶セルロース」なら母体で、役割は粒子としての研磨・感触改良になる。
働きが近い成分:研磨・スクラブ剤と、他系統の毛穴成分
働きの側で近いのは、名前がまったく違う成分群になる。まず同じ研磨の側。スクラブ剤には、セルロースのような植物由来の有機粒子のほか、シリカのような無機の粒子、カオリンのような粘土鉱物、糖や塩の結晶がある。同じ研磨でも、有機の粒子か無機の粒子かで硬さと感触の性格が変わる。自社集計の洗顔料Aはセルロース・シリカ・ベントナイトを併配合しており、有機と無機を混ぜて感触の幅を出す設計と読める(出典: DappNotes 商品マスター集計)。
次に、毛穴という目的で並べたときの他系統になる。§2.1 の4系統表と §2.2 の部外品リスト表を重ねると、毛穴に働きかける手段の分かれ方と、制度側の名前の刻み方が一致しない ことが見える。同じ酵素系でもパパインは1行で載りプロテアーゼは由来菌で割れ、同じ物理系でもセルロースはグレードで割れタナクラクレイは載っていない。収載の有無や割れ方は、成分の働きの強さとも安全性とも無関係にあたる。成分表を読むときに制度側の名前の整い方を手がかりにしてはいけない、というのがこのクラスタ全体を通した結論になる。
吸着系では炭、角質の結合をゆるめる方向ではサリチル酸というように、毛穴という1つの悩みに原理の違う手段が並んでいる。自分の毛穴の状態が「詰まり」なのか「テカり」なのか「開き」なのかで、向く手段が変わる。
5. よくある質問
Q1. セルロースは増粘剤ですか
母体のセルロースは増粘剤ではありません。ヒドロキシ基どうしで強固な水素結合をつくるため分子の間に水が入り込めず、水にも一般的な有機溶媒にも溶けないからです(出典: 化粧品成分オンライン)。溶けない以上は水に粘りを与えられず、化粧品では粒子として働きます。増粘剤として働くのは、化学修飾して水に溶けるようにした誘導体の側です。ヒドロキシエチルセルロース・ヒドロキシプロピルメチルセルロース・セルロースガム・ポリクオタニウム-10がこれにあたります。混同が起きやすいのは、分類体系でセルロース系の成分が「セルロース系水溶性高分子」という1つの家族にまとめられていることが多いためです。成分表で「セルロース」を含む名前を見たら、前に修飾語が付いているかどうかで切り分けるのが確実です。
Q2. 「セルロース」と「結晶セルロース」は違う成分ですか
別物質ではなく、同じセルロースのグレード違いです。第十八改正日本薬局方(JP18)の定義では、結晶セルロース(Microcrystalline Cellulose)は「α-セルロースを酸で部分的に解重合し,精製したもの」とされます(出典: 国立医薬品食品衛生研究所)。セルロースの鎖には結晶が整列した領域と乱れた領域(非晶領域)が混在していて、酸は乱れた側を優先的に切るため、結晶領域が残った微結晶の集まりになります。CAS番号も同じ9004-34-6です。ただし「同じ物質だから使い心地も同じ」とは言えません。粒子径は感触改良用が約10μm、研磨・スクラブ用が200〜700μmとされ、同じ表示名のまま桁2つの幅があります(出典: 化粧品成分オンライン)。
Q3. セルロースはマイクロプラスチックですか
いいえ。セルロースは植物が合成した天然のポリマーで、プラスチックではありません。米国の Microbead-Free Waters Act は、洗い流す化粧品に含まれる「5ミリメートル以下の固体プラスチック粒子で、人体または人体の一部を角質除去または洗浄する目的で使われることを意図したもの」を規制しており(出典: U.S. FDA)、プラスチックでない研磨材は定義に入りません。欧州の Commission Regulation (EU) 2023/2055 も対象を意図的に添加された合成ポリマーマイクロ粒子に置き、無機物・天然のもの・生分解性のもの・水に溶けるものを除外しています(出典: European Commission)。スクラブ剤としてのセルロースは、むしろプラスチックビーズを置き換える側の素材にあたります。ただし、個別の原料が規制対象かどうかの判定は製造者・当局が行うもので、本記事がその判定を示すものではありません。また「天然だから肌にやさしい」という話でもありません。物理的な研磨の負担は由来ではなく、粒子径と使い方で決まります。
Q4. スクラブ洗顔は毎日使ってもいいですか
製品の使用方法に頻度の指定があれば、それが優先です。指定がない場合も、毎日ではなく週1〜2回を上限の目安に置くのが無難になります。セルロースの研磨は物理的な作用で、処方側では効きすぎを止めにくいためです。配合量が控えめでも毎日強く擦れば負担は積み上がります。加えてメンズの場合、毎日の髭剃りが刃で角質を削る行為で、スクラブと作用の方向が重なります(出典: メンズスキンケア専門メディア各種)。髭剃り直後には重ねない、同じ日に別の角質ケアを足さない、炎症のあるニキビ部位は避ける。この3点を守るほうが、成分名で選び分けるより効きます。
Q5. セルロースは毛穴の黒ずみに効きますか
日本の化粧品において、セルロースは研磨剤・感触改良剤・賦形剤としての基剤成分で、医薬部外品の有効成分ではなく、承認された効能もありません(出典: 化粧品成分オンライン)。したがって「毛穴の黒ずみを除去する」「毛穴を消す」といった効果を成分に結びつけることはできません。処方事実として言えるのは、洗顔料に配合されたセルロースがスクラブ粒子として働き、肌の表面に浮いた角質や角栓に物理的に接触する、というところまでです。粒子が毛穴の内部に入り込んで内側から掻き出すわけではありません。毛穴が気になる場合は、原理の違う手段が複数あることを知っておくと選びやすくなります。炭酸水素Naは溶けて弱アルカリ性を示し皮脂・角質タンパクを軟化させる、プロテアーゼ・パパインはタンパク質を酵素で切る、タナクラクレイは粒子表面に皮脂と汚れを取り込む。セルロースはそのどれでもなく削る側で、詰まり・テカり・開きのどれが気になるかによって、向く手段は変わります。
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本記事に関する注記
- 本記事は特定商品の効果を保証するものではありません。成分の働きには個人差があり、体質・肌質により合わない場合があります。
- 肌に赤み・かゆみ・刺激等の異常が出た場合は使用を中止し、症状が続く場合は皮膚科等の医療機関にご相談ください。傷・炎症のある肌への使用は避けてください。
- 本記事は化粧品表示名称の「セルロース」と「結晶セルロース」を、同一物質のグレード違いとして1本にまとめて扱っています(根拠は §1.1)。水溶性に加工されたセルロース誘導体(増粘剤)は別成分であり、本記事の主題ではありません。
- マイクロプラスチック関連規制の記述は、各当局が公開する定義と適用日の引用にとどまり、個別原料が規制対象に当たるかの判定を示すものではありません。
- 本記事に含まれる製品数の集計は DappNotes 商品マスター(2026年9月時点・スキンケア54製品/ヘアケア78製品)に基づく自社集計であり、市場全体の分布を示すものではありません。
- 本記事は成分の一般的な解説であり、化粧品・医薬部外品の効能効果は配合製品の承認・表示の範囲に従います。外部の安全性指標(CIR等)は出典明記の参考値であり、絶対的な安全性を保証するものではありません。
- 本記事はAIによる下書きを編集部がレビュー・再構成して作成しています。
- 編集部レビュー済み・AI下書き活用