ラベンダー油は、シソ科の真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)の花や全草を水蒸気蒸留して得る天然精油で、INCI名はLavandula Angustifolia (Lavender) Oil、化粧品表示名は「ラベンダー油」にあたる賦香成分(香料)です(出典: Cosmetic-Info.jp / 化粧品成分オンライン)。主要香気成分は酢酸リナリルとリナロールで、香りはフローラル・ハーバルな系統。本記事では天然精油クラスタの1本として、ラベンダー油の正体(真正ラベンダー由来の水蒸気蒸留精油)、化粧品での役割が賦香である点、そして「ラベンダー=肌に優しい万能精油・育毛/リラックス効果」言説と、「天然=無条件で安全」言説(主成分リナロールは酸化でアレルゲン化)を中立に整理します。

1. ラベンダー油の基本

1.1 何の成分か

ラベンダー油は、シソ科ラベンダー(真正ラベンダー、学名Lavandula angustifolia)の花や全草を水蒸気蒸留して得る天然精油で、INCI名はLavandula Angustifolia (Lavender) Oil、化粧品表示名は「ラベンダー油」にあたります(出典: Cosmetic-Info.jp / 化粧品成分オンライン)。合成香料ではなく植物由来の精油である点が特徴で、化粧品成分としての配合目的は賦香(香り付け)に整理されます。

主要香気成分は、エステル類の酢酸リナリルとアルコール類のリナロールです(出典: 化粧品成分オンライン / Tisserand & Young)。この2成分がラベンダー特有のフローラルでハーバルな香りの中心を担い、ほかにラバンジュロールやカリオフィレン等の微量成分が香調を形づくります。香りの系統はフローラル・ハーバルで、清潔感があり万人受けしやすい香調にあたります。

ラベンダーには種・交配種がいくつかあり、化粧品表示名「ラベンダー油」は主に真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)に対応します(出典: Tisserand & Young)。一方で、ラバンジン(真正ラベンダーとスパイクラベンダーの交配種)やスパイクラベンダー(Lavandula latifolia)は、カンファーや1,8-シネオールを多く含むなど成分組成・香調が異なる別の精油にあたります。一般に「ラベンダー」と呼ばれるものでも、種によって組成が違う点は、香りと安全性の両面で押さえておきたい前提になります。

規制上の位置づけは化粧品成分(cosmetic-only)で、ラベンダー油は香料(賦香)として配合される成分です(出典: 化粧品成分オンライン)。「育毛する」「肌の老化を防ぐ」「リラックスさせる」といった効能を標榜できる医薬部外品の有効成分として指定された成分ではありません。ラベンダー油配合製品の効能訴求は、配合する有効成分や処方全体に基づくもので、ラベンダー油そのものの役割は香り・使用感の演出にとどまります。

1.2 どんな製品に配合されるか

ラベンダー油の配合製品は、ヘアケアからスキンケア、ボディケアまで幅広いです(出典: Cosmetic-Info.jp / 化粧品成分オンライン)。シャンプー・トリートメント・スカルプケア製品・ボディソープ・化粧水・乳液・整髪料・フレグランス等に、フローラルでハーバルな香り付けの目的で配合されます。ラベンダーは清潔感があり万人受けしやすい香調のため、香り設計で扱いやすい天然精油にあたります。

メンズ向けの製品では、ラベンダー油はスカルプシャンプー・スカルプケア製品・ボディソープ・整髪料等に、香り付けの「その他の成分」として配合されます(出典: Cosmetic-Info.jp)。ラベンダーはリラックス感・清潔感を演出しやすく、複数の植物精油をブレンドした香り設計の一要素として用いられることが多くあります。配合目的はあくまで賦香で、医薬部外品の有効成分ではありません。

配合濃度は製品によって幅があり、賦香目的の天然精油のため微量〜数%程度が一般的にあたります(出典: 化粧品成分オンライン)。香料成分は処方全体のごく一部であることが多く、成分表示でも後半に位置しやすい成分です。EUの香料アレルゲン表示規則では、ラベンダー油の主成分リナロール(Linalool)が一定濃度を超えると成分表示に個別併記されるため、配合量は香りと安全性の両面から調整されます(詳細は §3.1)。

2. 期待される働き

ラベンダー油の化粧品での働きは、賦香(香り付け)とそれに伴う使用感の演出にあります(出典: 化粧品成分オンライン)。酢酸リナリルとリナロールを主体とするフローラルでハーバルな香りを製品に与え、シャンプーやボディソープ・スカルプケアに、清潔感とリラックス感のある香調を加えるのが役割にあたります。ラベンダーは万人受けしやすい香りで、香り設計上扱いやすい天然精油です。

ここで切り分けておきたいのが、ラベンダーにまつわるアロマ俗説と化粧品の効能の違いです(出典: 化粧品成分オンライン)。ラベンダーは「肌に優しい万能精油」「育毛・リラックスに良い」という言説が広く流通します。アロマテラピーの分野でラベンダー精油の鎮静作用等が研究されているのは事実ですが、それは精油を吸入・嗅覚刺激として用いた研究知見や原料訴求のレベルであって、化粧品に賦香目的で配合したラベンダー油が頭皮を薬理的に改善する・育毛する・肌を変えるといった効能を化粧品として断定することはできません(詳細は §3.4)。

香りによる使用感・気分の演出は化粧品の範囲ですが、それは「香りで心地よさを感じる」という香りの価値の話で、ラベンダー油が薬理的に頭皮環境を変える・毛を生やすという話とは別です(出典: 化粧品成分オンライン)。化粧品でのラベンダー油の価値は、フローラル・ハーバルな香りと使用感の演出にあると整理するのが中立的にあたります。アロマテラピーで語られる育毛・リラックス・抗菌・鎮静等は、研究知見・原料訴求のレベルとして、化粧品の効能とは区別して理解するのが正確です。

3. 安全性・注意点

3.1 既知の刺激性・アレルギー報告

ラベンダー油は比較的安全性の高い精油とされますが、主成分リナロールの酸化に伴うアレルゲン性が、実用上の最大の注意点にあたります(出典: 化粧品成分オンライン / Tisserand & Young / SCCS)。ラベンダー油の主要香気成分であるリナロールは、空気に触れて酸化すると過酸化物(ヒドロペルオキシド)を生じ、接触アレルゲン性が高まることが知られます。EUの化粧品規則では、リナロール(Linalool)を含む香料アレルゲンが一定濃度(リーブオン0.001%/リンスオフ0.01%)を超える場合に成分表示への個別併記が求められ、ラベンダー油配合品の表示に「リナロール」が併記されるのはこのためです。

つまり、ラベンダー油は「天然だから無条件で安全」とは言い切れない成分にあたります(出典: SCCS / Tisserand & Young)。真正ラベンダー精油は精油の中では比較的安全性が高いとされますが、それでも酸化したリナロールによる接触皮膚炎・感作の報告はあり、敏感肌・アレルギー体質の人や、開封後長期間経過して酸化が進んだ製品では注意が要ります。天然由来であることと安全であることは別で、ラベンダー油の安全性は「天然だから」ではなく成分の性質と評価データに基づいて理解するのが正確です(詳細は §3.5)。

このため、ラベンダー油配合製品を初めて使う敏感肌・アレルギー体質のメンズは、初回使用時のパッチテストで個別の相性を確認するのが無難にあたります(出典: 化粧品成分オンライン / Tisserand & Young)。精油全般に共通して、接触皮膚炎の可能性はゼロではなく、特に酸化が進んだ精油はリスクが高まります。開封後は早めに使い切り、酸化を避ける保管を心がけるのが現実的です。

3.2 推奨配合量と過剰使用時のリスク

ラベンダー油の配合濃度は、賦香目的の天然精油のため微量〜数%程度が一般的にあたります(出典: 化粧品成分オンライン)。香料成分は処方全体のごく一部であることが多く、香りの設計に応じて調整されます。必要以上に高濃度で配合する成分ではなく、成分表示でも後半に位置しやすい成分です。

過剰使用・高濃度配合時のリスクとしては、主成分リナロールをはじめとする香料アレルゲンによる接触皮膚炎・感作の可能性が挙げられます(出典: SCCS / Tisserand & Young)。EUではリナロールが一定濃度を超えると個別表示が求められ、配合量は香りと安全性の両面から調整されます。原液の精油を肌に直接塗る・自分で高濃度に希釈して使うといった用途では、刺激・感作のリスクが化粧品配合品より高まるため、希釈濃度や使用方法に注意が要ります。

実用上は、ラベンダー油が配合された化粧品・スカルプ製品を、製品の用法に従って標準的な使用量で使う限り、過剰使用のリスクは限定的にあたります(出典: 化粧品成分オンライン)。むしろ留意したいのは、開封後の酸化です。リナロールは酸化でアレルゲン性が高まるため、開封後は早めに使い切り、高温多湿・直射日光を避けて保管するのが、酸化に伴うリスクを避ける現実的な使い方になります(詳細は §3.1)。

3.3 メンズケアに使われる精油の由来・主要香気成分・香り・安全性の整理

本クラスタはメンズスカルプ・スキンケアに配合される天然精油を、由来植物(科・部位)・主要香気成分・香りの系統・アレルゲン/光毒性の注意で並べたもの。天然精油 vs 合成香料の対比と、アロマ効能と化粧品効能の区別を横串で整理する。本成分(ラベンダー油)はこの並びの中で、シソ科の花/全草由来・酢酸リナリル/リナロール主体・フローラル/ハーバル系の精油にあたる。

成分由来(科・部位)主要香気成分香りの系統アレルゲン・光毒性の注意
ラベンダー油(本成分)シソ科ラベンダー・花/全草酢酸リナリル・リナロールフローラル・ハーバルリナロール酸化でアレルゲン化(EU表示Linalool)
ニオイテンジクアオイ油フウロソウ科ゼラニウム・花/葉シトロネロール・ゲラニオールローズ様フローラルシトロネロール・ゲラニオール(EU表示)
ベルガモット果実油ミカン科ベルガモット・果皮圧搾酢酸リナリル・リモネン・ベルガプテン柑橘・フローラルフロクマリン(ベルガプテン)で強い光毒性
パルマローザ油イネ科パルマローザ・草ゲラニオールローズ様・グリーンゲラニオール(EU表示)
ダマスクバラ花油バラ科ダマスクローズ・花シトロネロール・ゲラニオール・ステアロプテンローズ(フローラル)シトロネロール・ゲラニオール・シトラール(EU表示)
セイヨウネズ果実油ヒノキ科ジュニパー・球果α-ピネン・ミルセン・サビネンウッディ・グリーンリモネン(EU表示)・ピネン酸化
オニサルビア油シソ科クラリセージ・花/葉酢酸リナリル・リナロール・スクラレオールハーバル・アンバーリナロール(EU表示)
イタリアイトスギ油ヒノキ科サイプレス・葉/実/茎α-ピネン・δ-3-カレンウッディ・グリーンリモネン(EU表示)・ピネン酸化
オレンジ油ミカン科スイートオレンジ・果皮圧搾d-リモネン柑橘リモネン(EU表示)・光毒性は弱い
ユーカリ油フトモモ科ユーカリ・葉1,8-シネオールカンファー・ハーバルリモネン等(EU表示)
合成香料石油等由来の合成香気成分の調合多様な合成香料設計次第香料アレルゲン該当成分は個別表示

この整理表の中での本成分(ラベンダー油)の立ち位置を整理しておく。ラベンダー油はシソ科ラベンダーの花/全草を水蒸気蒸留した精油で、主要香気成分は酢酸リナリルとリナロール、香りはフローラル・ハーバルな系統にあたる。同じ酢酸リナリル・リナロールを主成分とする精油としては、表中のオニサルビア油(クラリセージ、同じシソ科)とベルガモット果実油があり、ラベンダーはこの「リナリル系」のグループに属する。一方で、ローズ様フローラルのニオイテンジクアオイ油・パルマローザ油・ダマスクバラ花油はシトロネロール/ゲラニオール系、ウッディ系のセイヨウネズ果実油・イタリアイトスギ油はピネン系、柑橘系のオレンジ油・ベルガモット果実油はリモネン系と、香りと主成分でグループが分かれる。

安全性の論点で見ると、ラベンダー油は光毒性は持たず(花/全草の水蒸気蒸留品のため、柑橘圧搾油のようなフロクマリン光毒性はない)、注意点はもっぱら主成分リナロールの酸化に伴うアレルゲン化にある。これはベルガモット果実油の「強い光毒性」とは別系統の論点で、むしろ同じくリナロールを主成分とするオニサルビア油と共通する。表の最下段の合成香料との対比では、ラベンダー油は天然精油ゆえに「香り成分が複数の天然由来成分の混合物で、酸化でアレルゲン化しうる」点が特徴で、合成香料が「設計次第で香料アレルゲンの含有をコントロールできる」のとは性質が異なる。天然=安全・合成=危険という単純な図式は成り立たず、どちらも香料アレルゲン該当成分は表示対象になる点で並列に捉えるのが中立的にあたる。

3.4 「ラベンダー=肌に優しい万能精油・育毛/リラックス効果」言説の整理(化粧品の役割は賦香)

ラベンダー油を語るときに最も誤解されやすいのが、「ラベンダーは肌に優しい万能精油で、育毛・リラックス効果がある」という言説にあたる。本成分の解説における独自軸の1本目はこの「万能精油」言説の中立整理で、アロマテラピーの研究知見・原料訴求のレベルと、化粧品の効能とを切り分けると、その実像がクリアになる(出典: 化粧品成分オンライン / Tisserand & Young)。

まず、ラベンダーが精油の代表格として広く親しまれていることは事実、という点を整理する(出典: Tisserand & Young)。真正ラベンダー精油は精油の中では比較的安全性が高いとされ、アロマテラピーの分野でも鎮静・リラックス等の作用が研究されてきた歴史がある。この「親しみやすく、研究の蓄積がある精油」という背景が「万能精油」というイメージの土台にある。

そのうえで切り分けたいのが、アロマテラピーの研究知見・原料訴求のレベルと、化粧品の効能とは別という点にある(出典: 化粧品成分オンライン)。アロマテラピーでラベンダーの鎮静作用等が語られるのは、精油を吸入・嗅覚刺激として用いた文脈や、原料としての訴求のレベルの話で、化粧品に賦香目的で配合したラベンダー油が頭皮を薬理的に改善する・育毛する・肌を若返らせるといった効能を、化粧品として断定することはできない。「リラックス効果」も、香りで心地よさを感じるという香りの価値の範囲であって、ラベンダー油が薬理的に自律神経を整える・育毛するという効能とは別にあたる。

問題は、この「アロマの研究知見・原料訴求」と「化粧品の効能」の境界を飛ばして、「ラベンダー配合だから育毛する・肌が良くなる・リラックスできる」と受け取る点にある(出典: 化粧品成分オンライン)。第一に、化粧品でのラベンダー油の役割は賦香であって、育毛・肌改善の有効成分ではない。第二に、「万能」「肌に優しい」というイメージとは裏腹に、主成分リナロールは酸化でアレルゲン化しうるため、誰にでも無条件で優しいわけではない(詳細は §3.5)。

整理すると、ラベンダー油は香りと使用感を演出する天然精油であって、化粧品での役割は賦香にあたる(出典: 化粧品成分オンライン / Tisserand & Young)。アロマテラピーで語られる育毛・リラックス・鎮静等は研究知見・原料訴求のレベルで、化粧品の効能として断定できない。「ラベンダー=肌に優しい万能精油・育毛/リラックス効果」という言説は、アロマの文脈と化粧品の効能を混同した単純化として切り分けておきたい。

3.5 「天然=無条件で安全」言説の整理(主成分リナロールは酸化でアレルゲン化)

ラベンダー油を語るときのもう1つの注意点が、「天然の精油だから無条件で安全・肌に優しい」という言説にあたる。本成分の解説における独自軸の2本目はこの「天然=安全」言説の中立整理で、主成分リナロールの性質を踏まえると、その飛躍が見えてくる(出典: SCCS / Tisserand & Young / 化粧品成分オンライン)。

まず、ラベンダー油が植物由来の天然精油であることは事実、という点を整理する(出典: 化粧品成分オンライン)。シソ科ラベンダーの花/全草を水蒸気蒸留した天然精油で、合成香料ではない。真正ラベンダー精油は精油の中では比較的安全性が高いとされるのも事実で、これを否定する必要はない。

そのうえで切り分けたいのが、主成分リナロールは酸化でアレルゲン化するという点にある(出典: SCCS / Tisserand & Young)。ラベンダー油の主要香気成分であるリナロールは、空気に触れて酸化すると過酸化物(ヒドロペルオキシド)を生じ、接触アレルゲン性が高まる。EUの化粧品規則では、リナロール(Linalool)を含む香料アレルゲンが一定濃度を超えると成分表示への個別併記が求められ、ラベンダー油配合品に「リナロール」が併記されるのはこのためにあたる。つまり、ラベンダー油は天然精油であっても、酸化したリナロールによる接触皮膚炎・感作のリスクを持つ成分で、現に感作の報告もある。

問題は、この性質を無視して「天然・植物由来だから無条件で安全・肌に優しい」と受け取る点にある(出典: SCCS / Tisserand & Young)。第一に、ラベンダー油の安全性の根拠は「天然だから」ではなく、成分の性質と安全性評価データに基づく。天然由来であっても感作リスクのある成分は多く、「天然=安全」という等式自体が一般には成り立たない。第二に、特に開封後長期間経過して酸化が進んだ精油は、新鮮なものよりアレルゲン性が高まるため、保管・使用期限に留意が要る。第三に、敏感肌・アレルギー体質の人には接触皮膚炎の可能性があり、誰にでも無条件で優しいわけではない。

整理すると、ラベンダー油は比較的安全性の高い天然精油だが、その理由は「天然だから」ではなく成分の性質と評価データに基づき、主成分リナロールは酸化でアレルゲン化しうる(出典: SCCS / 化粧品成分オンライン)。敏感肌・アレルギー体質の人は初回使用時のパッチテストで相性を確認し、開封後は早めに使い切るのが無難にあたる。「天然=無条件で安全」という言説は、ラベンダー油の安全性の根拠を取り違えた単純化として切り分けておきたい。

4. 相性・組み合わせ

ラベンダー油は賦香(香り付け)を担う天然精油のため、ほかの植物精油や香料と組み合わせて、製品の香り設計を作るのが標準的にあたります(出典: 化粧品成分オンライン)。フローラル・ハーバルなラベンダーの香りは万人受けしやすく、香調のベースやアクセントとして扱いやすい精油です。

同じクラスタの天然精油との関係では、ラベンダー油はオニサルビア油(クラリセージ)と、同じシソ科・酢酸リナリル/リナロール主体で香調が近く、ハーバル系のブレンドで併用されやすい関係にあります(出典: 化粧品成分オンライン)。ローズ様フローラルのニオイテンジクアオイ油や、柑橘系のオレンジ油とは、香りの系統が異なるため、組み合わせると香調に広がりを出せる関係にあたります。いずれも賦香目的の天然精油同士で、香り設計の中で役割分担します。

合成香料との関係では、ラベンダー油(天然精油)と合成香料は、どちらも賦香を担う成分で、対立するものではなく香り設計の選択肢にあたります(出典: 化粧品成分オンライン)。天然精油は天然由来の香りと複雑さが価値ですが、酸化でアレルゲン化する成分を含み、ロットによる香りのブレもあります。合成香料は香りの再現性・コスト・アレルゲン含有のコントロール性に強みがあります。「天然=安全・合成=危険」という単純な図式は成り立たず、どちらも香料アレルゲン該当成分は表示対象になる点で並列に捉えるのが中立的です(詳細は §3.3)。

注意したい組合せという観点では、ラベンダー油そのものに特定成分との強い禁忌はありませんが、リナロール等の香料アレルゲンを含むため、複数の精油・香料を高濃度で重ねる香り設計では、香料アレルゲンの合算が増えうる点に留意が要ります(出典: SCCS)。これは成分同士が反応するという意味ではなく、香料アレルゲンの総量という処方設計上の観点で、敏感肌のメンズは香料を多用した製品では全体の組合せに注意するのが現実的にあたります。

5. よくある質問

Q1. ラベンダー油とはどんな成分ですか?

シソ科の真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)の花や全草を水蒸気蒸留して得る天然精油で、化粧品では賦香(香り付け)目的で配合される成分です(出典: Cosmetic-Info.jp / 化粧品成分オンライン)。INCI名はLavandula Angustifolia (Lavender) Oil、化粧品表示名は「ラベンダー油」です。主要香気成分は酢酸リナリルとリナロールで、香りはフローラル・ハーバルな系統。シャンプー・スカルプケア・ボディソープ・化粧水・フレグランス等に、清潔感のある香りを付ける目的で配合されます。合成香料ではなく植物由来の精油である点が特徴です。

Q2. ラベンダー油には育毛やリラックスの効果がありますか?

ラベンダー油の化粧品での役割は賦香(香り付け)で、育毛・リラックスを化粧品の効能として断定することはできません(出典: 化粧品成分オンライン)。ラベンダーは「育毛・リラックスに良い万能精油」という言説が広く流通しますが、アロマテラピーで語られる鎮静作用等は、精油を吸入・嗅覚刺激として用いた研究知見や原料訴求のレベルの話です。化粧品に賦香目的で配合したラベンダー油が頭皮を薬理的に改善する・育毛する・自律神経を整えるといった効能は、化粧品として標榜できません。「香りで心地よさを感じる」という香りの価値の範囲と、薬理的な効能とは区別して理解するのが正確です。

Q3. ラベンダー油は「天然だから無条件で安全」ですか?

ラベンダー油が天然精油であることは事実で、精油の中では比較的安全性が高いとされますが、「天然だから無条件で安全」とは言い切れません(出典: SCCS / Tisserand & Young)。主成分のリナロールは、空気に触れて酸化すると過酸化物を生じ、接触アレルゲン性が高まります。EUではリナロール(Linalool)が香料アレルゲンとして一定濃度を超えると成分表示への個別併記が求められ、ラベンダー油配合品に「リナロール」が併記されるのはこのためです。安全性の根拠は「天然だから」ではなく成分の性質と評価データに基づくもので、敏感肌・アレルギー体質の人には接触皮膚炎の可能性があります。

Q4. ラベンダー油はメンズの頭皮ケアに良いのですか?

ラベンダー油はメンズのスカルプシャンプー・スカルプケア製品等に香り付け目的で配合されますが、頭皮環境を薬理的に改善する・育毛するといった効能は化粧品として訴求できません(出典: 化粧品成分オンライン)。ラベンダーは清潔感があり万人受けしやすい香りで、リラックス感を演出しやすいため、メンズ製品の香り設計で扱いやすい天然精油です。ただしそれは香り・使用感の価値であって、ラベンダー油が皮脂を減らす・毛を生やすといった薬理効果を持つわけではありません。香りという価値と頭皮への薬理的効能を混同せず、「香り・使用感を演出する天然精油」として評価するのが正確です。

Q5. ラベンダー油に刺激やアレルギーの心配はありますか?

真正ラベンダー精油は比較的安全性が高いとされますが、主成分リナロールの酸化に伴うアレルゲン性に留意が要ります(出典: SCCS / Tisserand & Young / 化粧品成分オンライン)。リナロールは酸化すると過酸化物を生じ接触アレルゲン性が高まり、酸化したラベンダー油による接触皮膚炎・感作の報告があります。EUではリナロールが一定濃度を超えると個別表示が求められます。敏感肌・アレルギー体質のメンズは、新規の製品を使う際にパッチテストで相性を確認するのが無難です。開封後は早めに使い切り、高温多湿・直射日光を避けて保管し、酸化を抑えるのが現実的です。

Q6. ラベンダー油に光毒性はありますか?

ラベンダー油は花/全草の水蒸気蒸留精油のため、柑橘の圧搾精油のような強い光毒性は持ちません(出典: Tisserand & Young)。光毒性は、ベルガモット果実油のように果皮の圧搾でフロクマリン(ベルガプテン)を含む柑橘精油で問題になる論点で、ラベンダー油はこれに該当しません。ラベンダー油の注意点は光毒性ではなく、主成分リナロールの酸化に伴うアレルゲン化にあります。「精油=光毒性に注意」と一括りにせず、由来と製法(圧搾か水蒸気蒸留か)で論点が異なる点を押さえておくと、精油ごとの注意点を正確に捉えられます。

Q7. ラベンダー油と「ラバンジン」「スパイクラベンダー」は同じですか?

化粧品表示名「ラベンダー油」は主に真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)に対応し、ラバンジンやスパイクラベンダーとは成分組成・香調が異なる別の精油にあたります(出典: Tisserand & Young)。ラバンジンは真正ラベンダーとスパイクラベンダーの交配種、スパイクラベンダーは別種(Lavandula latifolia)で、いずれもカンファーや1,8-シネオールを多く含むなど、真正ラベンダーとは香りと組成が違います。一般に「ラベンダー」と呼ばれるものでも種によって組成が異なるため、香りと安全性の両面で、どのラベンダーかを区別して捉えるのが正確です。