富士フイルムのスキンケアブランド アスタリフトの男性向けライン ASTALIFT MEN の「モノム モイスチャライザー」は、洗顔後にこれ1本をなじませて使うオールインワンの保湿液です。本記事では富士フイルム公式に掲載されている全成分をもとに、セラミド3種を含む保湿の骨格がどう組まれているか、油相と乳化の層、整肌の層がどこに置かれているかを整理し、洗顔後の保湿を1本で済ませるという文脈での特徴を中立に解析します。効能・効果を保証するものではなく、配合成分とその役割の解説を目的としています。

アスタリフト メン モノム モイスチャライザーの概要

本製品は120mL(約60日分)のポンプ式オールインワン保湿液で、化粧品に分類されます。販売名は「ALM モノム モイスチャライザー」で、医薬部外品ではないため有効成分の表示はありません。公式の使用方法は「洗顔の後、ポンプ2プッシュを手に取り、やさしく顔全体になじませます。」というもので、化粧水や乳液を重ねる手順ではなく、洗顔後の保湿をこれ1本で完結させる設計です。公式の説明は「アスタリフト メン モノムのオールインワン保湿液。富士フイルムの男性用シンプルケア。1本でべたつかず『いい肌』が続く。」というもので、「男性特有の『うるおい流出ループ』をブロック」ともうたわれています。

保湿をうたうスキンケアを全成分で読むときは、層を二つに分けると整理しやすくなります。ひとつは商品の名乗りを担う層で、保湿系ならセラミドのように訴求で目に入りやすい成分です。この層はカテゴリ内で定番の組み合わせになっていることが多く、価格帯の違う商品同士で共通していることもあります。もうひとつは、油剤・乳化剤・増粘剤の選び方や整肌成分の重ね方といった、使用感と処方の組み方を作る層です。商品ごとの差はむしろこちらに出やすく、名乗りと成分名だけを見比べても価格差の理由は読めない、というのが基本の読み方になります。

この枠組みで本製品を見ると、名乗りの層はセラミドEOP・セラミドAP・セラミドNPの3種による保湿です。ただし、このセラミド3種の組み合わせは、価格帯の異なるオールインワンにも同じ組み合わせが見られます。本製品の特徴が表れているのはその先の層で、グリセリン・BG・DPGという多価アルコールとメチルグルセス-10にセラミド3種とコレステロールを組み、そこへシリコーン油とエステル油の油相、ポリグリセリン系ノニオンとレシチンによる乳化、表示6位のシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを中心とした整肌の層を重ねています。

もうひとつ押さえておきたいのが、「べたつかない」という訴求と処方の関係です。オールインワンの「べたつかない」は、油相を持たない水性ジェルで作られる場合もあります。一方、本製品は油剤と乳化剤を備え、増粘剤でとろみを整えた、油相を持つ保湿液の側にあります。油相の有無と「べたつかない」という訴求は一致するとは限らないため、使用感の訴求から処方の系統を推測するより、全成分で油剤と乳化剤の有無を確認するほうが確実です。

価格は公式で税込4,598円、120mLを1mLあたりに換算すると約38円で、詰め替え用のレフィルは税込4,202円です。メンズのオールインワンとしては高価格帯側に入る水準です。弱みとしては三点が挙がります。ひとつは、名乗りのセラミド3種の組み合わせ自体は価格帯の異なる商品にも見られるため、価格差を成分名だけで説明しにくいこと。ふたつめは、香料とメチルパラベンが配合されており、香料やパラベンを避けたい人には選びにくいこと。みっつめは、1本で完結させる設計のため、乾燥が気になりやすい時期にはほかの保湿アイテムとの重ね方を別に考える必要が出うることです。

注目成分の解析

セラミド3種とコレステロールを多価アルコールに組んだ保湿の骨格

表示順は、水に続いてグリセリン、BG、メチルグルセス-10、DPGと保湿成分が並びます。グリセリン・BG・DPGは化粧品で広く使われる多価アルコールで、BGとDPGは保湿と溶剤を兼ねる成分です。メチルグルセス-10はメチルグルコースの誘導体で、べたつきにくい感触で水分を抱え込む方向で使われることが多い保湿成分とされます。水の直後からこれら4種が続く構成は、保湿液の水相をしっかり作る組み立てと読めます。

セラミドEOP・セラミドAP・セラミドNPは、一般にヒト型セラミドと呼ばれる種類で、角層の細胞間脂質に含まれるセラミドと同じ構造を持つとされる成分です。表示の後半にはコレステロールも置かれています。コレステロールは角層の細胞間脂質を構成する脂質の一種で、セラミドと組み合わせて配合されることがある成分です。セラミドを単独で置くのではなく、細胞間脂質の構成を意識した組み方をしている点は、処方の考え方として読み取れます。

ここで注意したいのが表示順の読み方です。化粧品の全成分は配合量の多い順が原則ですが、配合量1%以下の成分は順不同で表示できます。セラミド3種は表示7〜9番目にありますが、この位置から配合量を断定することはできず、3種類入っていることがそのまま保湿の強さを示すわけでもありません。

ポリグリセリル-10系とレシチンで組んだ油相と乳化の層

油性成分は、ジフェニルジメチコン、トリエチルヘキサノイン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルという構成です。ジフェニルジメチコンはフェニル基を持つシリコーン油で、なめらかな感触を与える方向で使われることが多い油です。トリエチルヘキサノインとトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルはエステル油で、どちらも比較的軽い感触の油として化粧品で広く使われる、とされます。

乳化剤は、オレイン酸ポリグリセリル-10とミリスチン酸ポリグリセリル-10というポリグリセリン系のノニオン界面活性剤に、レシチンを組み合わせた構成です。増粘はキサンタンガム・ローカストビーンガムという多糖類と、カルボマー系のポリマーである(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーで行われ、後者は乳化の安定にも関わる成分です。表示後方の水酸化Naは、このポリマーを中和してとろみを出す目的で置かれていると読めます。

概要で触れたとおり、この組み立ては油相を持たない水性ジェルとは異なり、油剤を乳化して保持する保湿液の構成です。「べたつかず」という公式の説明と油相を持つ構成は、軽めの感触の油の選び方や乳化・増粘の組み方で両立を図っていると読めますが、使用感には個人差があり、成分から感触を断定することはできません。

シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを中心にした整肌の層

表示6番目、セラミド3種より前に置かれているのがシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールです。ジカルボン酸の誘導体で、化粧品では角層をやわらげる目的で使われる成分とされます。保湿成分の直後という位置は本製品の全成分で目を引く部分ですが、公式の訴求とこの成分がどう対応するかを成分表から断定することはできません。

その後ろには、アラントイン、チャ葉エキス、加水分解アルギン、グリチルレチン酸ステアリル、酢酸トコフェロール、ヒオウギエキスが並びます。アラントインは化粧品で肌を整える目的で広く使われる成分、チャ葉エキスとヒオウギエキスは植物エキス、加水分解アルギンは海藻由来の多糖を分解した保湿成分、酢酸トコフェロールはビタミンE誘導体です。グリチルレチン酸ステアリルは甘草由来の成分の誘導体で、化粧品では肌を整える目的で配合される成分です。医薬部外品では有効成分として使われることもある成分ですが、本製品は化粧品であり、有効成分としての配合ではありません。配合されていることから特定の効能を読み取ることはできない点は押さえておく必要があります。

防腐はフェノキシエタノールとメチルパラベンの組み合わせで、トコフェロールは酸化防止の目的で置かれています。エタノールは表示の後方にあり、溶剤として配合されていると読めます。香料も配合されているため、香りのないスキンケアを好む人は確認しておきたい点です。

こんな人におすすめ / 向かない人

おすすめな人

  • 洗顔後の保湿を、化粧水や乳液を重ねずに1本で済ませたい人
  • 水性ジェルより、油剤と乳化剤を持つ保湿液の構成を選びたい人
  • セラミド3種とコレステロールを組み合わせた保湿の骨格を重視したい人
  • 1mLあたり約38円という単価を、1本で完結させる前提で許容できる人

向かない人

  • 香料やパラベンが配合されていないスキンケアを選びたい人
  • オールインワンの継続コストを、容量あたりの単価で抑えたい人
  • セラミドの組み合わせだけを基準に、価格帯の高い商品を選ぼうとしている人
  • 化粧水・乳液・クリームを分けて、季節や肌の状態で使い分けたい人

オールインワンの保湿液を選ぶとき、セラミドのような名乗りの成分は価格帯をまたいで共通していることがあり、それだけでは商品の差は読めません。本製品は、多価アルコールとセラミド3種・コレステロールによる保湿の骨格に、シリコーン油とエステル油をポリグリセリン系ノニオンとレシチンで乳化した油相と、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを中心とした整肌の層を重ねた、油相を持つ側のオールインワンです。価格差の理由を成分名に求めるより、この油相と整肌の層の組み方、香料を含む点、1本で完結させる使い方が自分に合うかを起点に判断するとよいでしょう。

よくある質問

Q. ヒト型セラミドが3種類入っているのはどう読めばよいですか

セラミドEOP・AP・NPは、一般にヒト型セラミドと呼ばれる種類のなかで、化粧品に組み合わせて使われることが多いセラミドです。複数の種類を組み合わせるのは、角層の細胞間脂質に含まれるセラミドが1種類ではないことを踏まえた組み方とされます。本製品ではさらにコレステロールも配合されています。

ただし、この3種の組み合わせは価格帯の異なるオールインワンにも見られ、種類の数や成分名から保湿の強さや価格の妥当性を判断することはできません。全成分表示からは配合量も分からないため、セラミドの配合は処方を読む入口のひとつとして捉え、油相や整肌の層、使用感と合わせて見るのが現実的です。

Q. 公式説明の「うるおい流出ループ」はどう読めばよいですか

「男性特有の『うるおい流出ループ』をブロック」は、富士フイルムが本製品の保湿の考え方を伝えるために用いている説明です。本記事の範囲では、公式サイト上でこの言葉の具体的な定義や、どの成分がそれに対応するかは確認できていません。そのため、特定の成分がこの説明を担っていると読んだり、この説明をもって乾燥を防げると受け取ったりするのは避けるのが中立です。

成分の面から言えるのは、多価アルコールとセラミド3種・コレステロールによる保湿の骨格に、油相と乳化の層、整肌の層を組んだ保湿液である、というところまでです。使用感や肌への合い方には個人差があるため、使用中に赤み・かゆみなどの異常を感じた場合は使用を中止し、皮膚科など専門家への相談を検討してください。

Q. 化粧水や乳液と重ねて使ってもよいですか

公式の使用方法は「洗顔の後、ポンプ2プッシュを手に取り、やさしく顔全体になじませます。」というもので、化粧水や乳液を重ねる手順は示されておらず、洗顔後にこれ1本で保湿を済ませる使い方が想定されています。重ねて使う場合は、自分で使用感を見ながら判断することになります。

本製品はすでに油剤と乳化剤を持つ保湿液のため、油分の多い乳液やクリームを重ねると重く感じる場合があります。乾燥が気になる時期に保湿を足したい場合は、少量から試し、使用感を見ながら重ね方を調整するのが現実的です。肌に合わないと感じた場合は使用を中止してください。