NILEの「オールインワンローション(ラフランスの香り)」は、化粧水・美容液・乳液などの役割を1本にまとめるとうたうメンズ向けのオールインワン化粧水です。本記事では公表されている成分情報をもとに、セラミド3種を中心とした脂質系の保湿層、とろみを持たせる増粘成分の層、エタノールと香料を含む使用感側の設計を整理します。効能・効果を保証するものではなく、配合成分とその役割の解説を目的としています。
NILE オールインワンローションの概要
本製品は化粧品に区分されるオールインワンタイプの化粧水で、香りはラフランス・リリーオリジン・カリフォルニア・ジャパニーズユズの4種が展開されています。本記事で扱うのはラフランスの香りです。公式の使用方法は、洗顔後に軽く水気を取り、手のひらになじませてからハンドプレスで顔になじませるというもので、乾燥が気になる場合は同じ工程を2度行うことが案内されています。なお同ブランドには有効成分を配合した医薬部外品の別系列もあるため、購入時は化粧品か医薬部外品かの表記を確認しておくと取り違えを防げます。
成分情報の出どころについて先に断っておきます。公式サイトの商品ページには全成分が掲載されておらず、本記事の成分情報は成分解析サイトなどで公表されている二次情報に基づいています。参照した二次情報の間でも、エタノールが2番目に来るか4番目に来るかなど一部の並び順に差があり、香りごとに香料以外の処方が同じかどうかも確認できていません。表示順の細部は、手元の製品パッケージで照らし合わせてください。
当サイトで全成分を突き合わせたメンズ向け化粧水6本(本製品、ギャツビー EXパーフェクトローション、SHISEIDO メン ハイドレーティング ローション C、マニフィーク モイスチュアライジング ローション、トゥヴェール バランシングGAローション、ファンケル メン オールインワン ウォーター)では、水と多価アルコールを土台にする骨格はほぼ共通で、差が出るのは二つの層でした。ひとつは増粘成分の有無で、オールインワンを打ち出す本製品・ギャツビー・ファンケルの3本はとろみを持たせる成分を含み、単品の化粧水として売られるSHISEIDO メン・マニフィーク・トゥヴェールの3本には見当たりません。「1本で済ませる」という位置づけの違いが、保湿成分の種類よりも、とろみを持たせる層に表れているというのがこの6本の範囲で見える傾向です(一般則とまではいえません)。もうひとつはエタノール・香料・可溶化剤の組み合わせで、本製品は3点がそろう側、トゥヴェールは3点とも含まず、ファンケルはエタノールを含まず香料の代わりに精油を使うなど、使用感側の設計が分かれます。そのうえで本製品は、セラミド3種にコレステロールとフィトスフィンゴシンを組み合わせた脂質系の保湿層を持つ点が、6本の中で唯一の構成です。
価格は公式サイトで150mL・税込2,280円、1mLあたり約15円です。通販サイトではこれより低い価格で表示されることもあり、時期や販売店によって変動します。公式では詰め替え用も用意されています。化粧水単体として見れば中価格帯ですが、乳液などを別に買わない前提で見るかどうかで、割高・割安の受け止め方は変わります。
弱みは三点あります。ひとつは、1本で済ませる前提で量を使うと、1mLあたりの単価が低価格帯の大容量化粧水より効いてくることです。乾燥時に2度重ねる使い方をすれば、消費はさらに早くなります。ふたつめは、エタノール・香料・着色料(カラメル)を含むことで、これらを避けたい人には条件が合いません。みっつめは、前述のとおり公式に全成分が掲載されておらず、処方の細部を一次情報で確かめにくい点です。
注目成分の解析
セラミド3種とコレステロール・フィトスフィンゴシン
本製品の保湿設計で特徴的なのが、セラミドNP・セラミドAP・セラミドEOPの3種です。セラミドは角層の細胞と細胞のあいだを埋める細胞間脂質の主成分とされ、NP・AP・EOPはいずれもヒトの角層に存在するセラミドと同じ骨格を持つタイプに分類されます。分子構造の異なる3種を並べている点は、セラミドを1種だけ入れる処方とは組み立てが違います。
表示の後半には、コレステロールとフィトスフィンゴシンも並びます。コレステロールはセラミドとともに細胞間脂質を構成する脂質のひとつとして知られ、フィトスフィンゴシンはセラミドの構成要素にあたるスフィンゴイド塩基の一種です。セラミドとこれらを組み合わせるのは、細胞間脂質の組成を意識した処方で見られる組み立てで、前述の6本の中でこの脂質系の保湿層を持つのは本製品だけでした。
このほか、水分を抱え込む側の保湿成分として、ヒアルロン酸Na、天然保湿因子(NMF)の構成成分として知られるPCA-Na、ベタイン、多糖類のイヌリン、加水分解ケラチン(羊毛)が加わります。ただし、セラミド類やコレステロールは中盤から後半に位置し、配合量は公表されていません。化粧品の全成分表示は1%以下の成分が順不同で並ぶため、表示順から配合量を読み取れる範囲は限られます。セラミドが3種入っていることが、そのまま保湿の実感につながると言い切れるものではない点は押さえておきたいところです。
カルボマーなど4種の増粘成分
オールインワンとしての性格が表れているのが、タマリンドガム・カルボマー・キサンタンガム・ヒドロキシエチルセルロースの4種が並ぶ増粘の層です。タマリンドガムとキサンタンガムは天然由来の多糖類、ヒドロキシエチルセルロースはセルロース誘導体、カルボマーは合成の水溶性ポリマーで、いずれも化粧水や美容液にとろみや保形性を持たせる目的で配合されることが多い成分です。系統の異なる増粘成分を複数組み合わせるのは、とろみの強さや肌へののび方を調整する目的で行われることが多いとされます。
一方で、油剤と呼べる成分は表示の中にほとんど見当たりません。乳化を補助する目的で使われるラウロイルラクチレートNaが後半にある程度です。つまり本製品の「乳液の役割も担う」という位置づけは、油分の層を重ねるのではなく、とろみのある水系の処方と脂質系の保湿成分で組み立てられていると読めます。乳液やクリームの代わりになるかどうかは成分表だけでは判断できず、使用感と乾燥の感じ方で確かめる必要があります。
エタノール・香料・可溶化剤と植物エキス群
使用感側の設計として、エタノールが表示の上位に置かれています(参照した情報によって2番目または4番目)。エタノールは溶剤として使われるほか、さっぱりした使用感を出す目的で配合されることが多い成分です。これに香料と、香料など水に溶けにくい成分を水系に溶かし込む目的で使われることが多いノニオン系の(PCA/イソステアリン酸)グリセレス-25が組み合わさります。着色にはカラメル、防腐はフェノキシエタノールと1,2-ヘキサンジオールが担い、pHはリンゴ酸とリンゴ酸Naで調整される構成です。
植物・培養由来のエキスは、デイノコッカス培養エキス液、コシロノセンダングサエキス、ノイバラ果実エキス、チャ葉エキス、プルーン分解物、マタタビ果実エキス、ユズ果実エキス、カンゾウ葉エキス、キハダ樹皮エキスと数が多く、いずれも整肌や保湿の目的で配合されることが多い成分です。あわせてPCA亜鉛、コンディショニング成分のココイルアルギニンエチルPCAも入っています。エキス類は種類が多いぶん目を引きますが、個々の配合量は公表されておらず、種類の多さを処方の優劣と結びつけることはできません。
こんな人におすすめ / 向かない人
おすすめな人
- 化粧水・乳液と工程を分けず、とろみのある1本でスキンケアを済ませたい人
- セラミド3種とコレステロールを組み合わせた、脂質系の保湿成分を含む処方を選びたい人
- エタノールによるさっぱりした使用感と、ラフランスの香りを好む人
- 1mLあたり約15円という単価を、乳液を別に買わない前提で受け入れられる人
向かない人
- エタノール・香料・着色料を含まない化粧水を条件にしたい人
- 乾燥が強く、油分でふたをする乳液やクリームの工程を省きたくない人
- 大容量の化粧水を惜しまず使い、1mLあたりの価格を抑えたい人
- 全成分が公式に開示された製品を選びたい人
本製品は、とろみを持たせる増粘成分の層と、セラミド3種を軸にした脂質系の保湿層で「1本で済ませる」位置づけを組み立てたオールインワン化粧水です。一方でエタノールと香料を含む使用感側の設計は好みが分かれ、油分をほとんど置かない処方でもあります。工程を減らしたいという目的と、アルコール・香りの有無の条件が合うかどうかで判断するとよいでしょう。
よくある質問
Q. これ1本で乳液やクリームは要りませんか
乾燥の程度と感じ方によります。本製品はとろみのある水系の処方で、セラミド類などの保湿成分は含むものの、油剤と呼べる成分はほとんど見当たりません。公式では乾燥が気になる場合に2度重ねる使い方が案内されていますが、それでも乾燥を感じる場合は、乳液やクリームを重ねる選択も十分に成り立ちます。皮脂が出やすく重い感触を避けたい人には、この軽さが合う場合もあります。
Q. ひげ剃り後に使っても大丈夫ですか
公式ではひげ剃り後の肌にも使えると案内されていますが、刺激を感じないことを保証するものではありません。本製品はエタノールと香料を含むため、ひげ剃り直後など肌が不安定になりやすいタイミングでは、しみると感じる人もいます。感じ方には個人差があります。
初めて使う際は目立たない部分で試してから顔に広げると安心です。しみる、赤みが出るなど肌に異常を感じた場合は使用を中止し、症状が続く場合は皮膚科など専門家への相談を検討してください。
Q. 香りの違いで成分は変わりますか
香りはラフランスを含む4種が展開されていますが、公表されている情報からは香りごとの全成分を確認できていません。香料の中身が異なるのは当然として、それ以外の成分が共通かどうかは本記事では断定できないため、別の香りを選ぶ場合は購入時にパッケージの成分表示を確認してください。香料の有無を気にする場合は、どの香りを選んでも香料を含む点は変わらないと考えておくのが安全です。