ファンケルの「メン オールインワン ウォーター」は、化粧水の段階を1本に集約する設計のメンズ向けローションです。本記事ではファンケル公式サイトに掲載された全成分表示をもとに、糖系で組まれた保湿層、オールインワンを名乗る処方に表れるとろみの層、香料表示がないのに香りがある理由と防腐剤を使わない設計の読み方を整理します。同時期に解析した化粧水6本との突き合わせも交えますが、効能・効果を保証するものではなく、配合成分とその役割の解説を目的としています。

ファンケル メン オールインワン ウォーターの概要

本製品は100mL入りで、公式オンラインの価格は2,750円、1mLあたり27.5円です。区分は医薬部外品ではなく化粧品で、公式の使用方法は、洗顔後に500円玉1枚分を手のひらに取り、顔全体になじませるというものです。同ブランドの泡状洗顔料であるメン フェイス ウォッシュとは、グリセリン、BG、メチルグルセス-10、ペンチレングリコール、ムクロジ果皮エキス、グリチルリチン酸2K、ユズ果実エキスが共通しており、洗い流す製品と肌に残す製品のあいだで保湿と整肌の層をそろえた構成になっています。

ファンケルは自社の無添加を、防腐剤・合成香料・合成色素・石油系界面活性剤・紫外線吸収剤の5つを使っていないことと定義しており、本製品の公式ページにも同じ文言が掲載されています。無添加という言葉は、この5項目を使っていないという意味で読むのが正確です。肌に合うかどうかや刺激の出方を約束する表示ではない点は、先に押さえておく必要があります。

ここで、同時期に成分解析した化粧水6本(NILE オールインワンローション、ギャツビー EXパーフェクトローション、SHISEIDO メン ハイドレーティング ローション C、マニフィーク モイスチュアライジング ローション、トゥヴェール バランシングGAローション、本製品)の全成分を突き合わせた結果にも触れておきます。水と多価アルコールで骨格を組む点は6本とも共通で、分かれたのは二つの層でした。ひとつは増粘成分の有無で、オールインワンを名乗るNILE(カルボマー、キサンタンガム、タマリンドガム等)、ギャツビー(アクリレーツ系のクロスポリマー、キサンタンガム、プルラン)、本製品(タマリンドガム、アルカリゲネス産生多糖体)は含み、単品の化粧水であるSHISEIDO メン、マニフィーク、トゥヴェールには見当たりません。この6本の範囲では、1本で済ませるという位置づけの違いが、保湿成分の種類よりも、とろみを持たせる層に表れていると読めます。もうひとつはエタノール・香料・可溶化剤の組み合わせで、NILE、ギャツビー、SHISEIDO メン、マニフィークはエタノール(または変性アルコール)と香料と可溶化剤をそろって持ち、トゥヴェールは3つとも持ちません。本製品はエタノールと香料の表示がない一方で、ラベンダー油・ローマカミツレ花油・オレンジ果皮油の精油3種と、可溶化剤のPEG-60水添ヒマシ油を持つ、どちらにも収まらない構成です。

弱みは三点あります。ひとつは1mLあたり27.5円という単価で、化粧水として量を使う前提だと継続コストが効いてきます。ふたつめは防腐剤を使わない設計のため、公式に開封後120日以内という使用期限が設けられていること。みっつめは、香料の表示こそないものの精油による香りがあるため、香りそのものを避けたい人の条件には合わないことです。

注目成分の解析

糖系でそろえた保湿層と、化粧品として配合された整肌成分

表示順の上位は、水に続いてグリセリン、BG、メチルグルセス-10、ペンチレングリコール、グリセリルグルコシド、トレハロース、加水分解ヒアルロン酸と、保湿系の成分で占められています。グリセリンとBGは化粧品全般で広く使われる多価アルコール、メチルグルセス-10はメチルグルコース由来の保湿成分、グリセリルグルコシドはグリセリンにブドウ糖が結合した糖誘導体、トレハロースは二糖類で、いずれも水分を抱え込む方向で配合される成分です。加水分解ヒアルロン酸はヒアルロン酸を低分子化した保湿成分にあたります。多価アルコールの土台に糖と糖誘導体を重ねた、糖系で統一感のある保湿層といえます。

その後ろに、グリチルリチン酸2Kとアスコルビルグルコシドが並びます。グリチルリチン酸2Kは甘草由来の成分で、医薬部外品では有効成分として使われることもありますが、本製品は化粧品であり、肌を整える目的の配合成分という位置づけです。アスコルビルグルコシドはビタミンCにブドウ糖を結合させて安定性を高めた誘導体で、こちらも化粧品の配合成分として置かれています。医薬部外品のように承認された効能を担う枠ではないため、成分名から特定の効果を読み取ることはできません。ツボクサエキス、ムクロジ果皮エキス、プルーン分解物、ユズ果実エキス、スイートピー花エキス、シソ葉エキス、ローズマリー葉エキスといった植物由来の成分も、整肌や保湿の文脈で配合されている成分群と読むのが妥当です。配合量はいずれも公表されていません。

タマリンドガムとアルカリゲネス産生多糖体が担うとろみの層

概要で触れたとおり、この6本の範囲でオールインワン系と単品の化粧水を分けていたのは増粘成分の有無でした。本製品でその層を担うのが、タマリンドガムとアルカリゲネス産生多糖体です。タマリンドガムはタマリンドの種子から得られる多糖類、アルカリゲネス産生多糖体は微生物がつくる多糖類で、どちらも水に粘りを与えつつ保湿の役割も兼ねる素材として使われます。

同じ増粘の層でも、NILEはカルボマー、ギャツビーはアクリレーツ系のクロスポリマーという合成ポリマーを含むのに対し、本製品の増粘成分は多糖類だけで組まれています。石油系界面活性剤を使わないという自社の定義は界面活性剤についてのもので、増粘成分の選択を直接説明するものではありませんが、植物や微生物がつくる多糖類でとろみを持たせる方向は、ブランドの無添加の考え方と矛盾しない組み立てです。公式の商品説明は、みずみずしい使い心地のローションタイプとしています。

一方で、成分表からは油性成分がほとんど読み取れません。エモリエント系の油剤は見当たらず、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10とPEG-60水添ヒマシ油は、後述する精油などを水に分散させる乳化・可溶化の役割と読める成分です。オールインワンという位置づけは、油分を重ねることより、とろみを持たせた水系の処方で1本にまとめる方向で表現されていると読めます。

香料表示の代わりに精油3種、防腐剤の代わりに多価アルコール

表示の末尾には、ラベンダー油、ローマカミツレ花油、オレンジ果皮油の3種の精油が並びます。公式ページでは、ほのかな天然精油の香りと説明されています。ファンケルが無添加の対象にしているのは合成香料であり、本製品は香りをつけていないのではなく、合成香料の代わりに精油で香りをつけている、と読むのが実態に近いといえます。本記事では、これら精油は香りづけの役割で配合されているものとして扱います。

この読み方をすると、6本の突き合わせで見えたエタノール・香料・可溶化剤の組み合わせとの関係も整理できます。本製品にはエタノールと香料の表示はありませんが、精油は水に溶けにくいため、分散させる成分が必要になります。PEG-60水添ヒマシ油が残っているのは、香料の代わりに入った精油を水系の処方になじませるためと考えると、構成として筋が通ります。ただしメーカーが処方意図を明示しているわけではなく、成分の性質から読み取れる範囲の話です。

防腐の設計も見ておきます。全成分には、パラベン類やフェノキシエタノールといった防腐剤として一般的な成分が並んでいません。代わりに、保湿成分でありながら防腐補助の文脈でも挙がることの多いペンチレングリコールとエチルヘキシルグリセリンが配合されています。同ブランドの洗顔料がペンチレングリコールを中心に置いていたのに対し、肌に残る製品である本製品ではエチルヘキシルグリセリンが加わっている点が違いです。そのうえで公式は、未開封で3年以内、開封後は120日以内という使用期限を示しており、ブランドとしても作りたての品質で使い切れるようにフレッシュ期間を設ける考え方を掲げています。防腐剤を使わない設計は、この使用期限の管理とセットで成り立っていると理解しておくのが実際的です。

こんな人におすすめ / 向かない人

おすすめな人

  • 化粧水の段階を、とろみのある1本にまとめたい人
  • 防腐剤・合成香料・合成色素・石油系界面活性剤・紫外線吸収剤を使っていない処方を条件にしたい人
  • 糖系の保湿成分を中心にした、油分の少ない水系の処方を好む人
  • ファンケル メン フェイス ウォッシュを使っていて、保湿と整肌の層をそろえたい人

向かない人

  • 精油によるほのかな香りも含めて、香りのない製品を求める人
  • 1本を開封後120日を超えてゆっくり使う習慣がある人
  • 化粧水をたっぷり使うため、1mLあたりの価格を抑えたい人
  • 医薬部外品として承認された効能を持つ製品を選びたい人

本製品は、糖系の保湿層に多糖類のとろみを重ね、香りは精油、防腐は多価アルコールに寄せた化粧品です。6本を突き合わせた範囲では、オールインワンらしさは増粘の層に、無添加の定義は香りと防腐の手段の違いに表れていました。無添加を刺激の少なさの保証として読むのではなく、使っていない5項目と、その代わりに何が入っているかで判断するのが、成分表に沿った選び方といえます。

よくある質問

Q. 香料と書かれていないので、無香料の化粧水ですか

無香料ではありません。全成分の末尾にはラベンダー油、ローマカミツレ花油、オレンジ果皮油の精油3種が配合されており、公式ページでもほのかな天然精油の香りと説明されています。ファンケルが使っていないのは合成香料で、香りをつけること自体をやめているわけではありません。

精油も植物由来の成分であり、合成香料でないことが肌に合うことの保証にはなりません。香りが苦手な人や、特定の植物由来成分で肌に異常を感じた経験がある人は、成分表を確認したうえで判断してください。

Q. 防腐剤を使っていないそうですが、どれくらいの期間で使い切ればよいですか

公式には、未開封で3年以内、開封後は120日以内という使用期限が示されています。防腐剤として一般的な成分を立てない設計のため、開封後の期限を守ることが品質を保つ前提になります。

容器の口周りを清潔に保つ、直射日光や高温多湿を避ける、開封日を控えておくといった扱い方が効いてきます。途中で色やにおいに変化を感じた場合は、使用を控えるのが安全です。

Q. これ1本で、乳液やクリームは要りませんか

成分表から見る限り、本製品は増粘成分でとろみを持たせた水系の処方で、油性成分はほとんど読み取れません。1本でスキンケアを済ませたい人に向けた設計ではありますが、乾燥の感じ方には個人差があるため、つっぱりが気になる場合は乳液やクリームを重ねる選択も十分に成り立ちます。

ひげ剃り後の肌は状態が不安定になりやすく、同じ製品でも感じ方が変わることがあります。しみる、赤みが出るなど肌に異常を感じた場合は使用を中止し、肌荒れが続く場合は皮膚科など専門家への相談を検討してください。