コーセーのメンズブランド マニフィークの「クレンジング フォーム」は、手で泡立てて使うフォームタイプの洗顔料です。本記事ではコーセー公式通販サイト(Maison KOSÉ)に掲載された全成分表示をもとに、脂肪酸と水酸化Kによる石けんの土台、その上に重ねられたアミノ酸系の洗浄成分・ノニオン界面活性剤・サポニンを含むとされる植物エキスの層、パール化剤やカチオンポリマーといった使用感を整える成分の置き方を、表示順から整理します。効能・効果を保証するものではなく、配合成分とその役割の解説を目的としています。
マニフィーク クレンジング フォームの概要
本製品は容量130gのフォームタイプの洗顔料で、区分は医薬部外品ではなく化粧品です。Maison KOSÉでの販売価格は税込1,320円で、1gあたりに換算すると約10円になります。公式の使用方法は、手のひらに適量をとって水かぬるま湯でよく泡立て、顔全体を洗ってから充分にすすぐというものです。公式には「豊かな泡立ちでシェービングフォームとしても使えます。」と記載されており、洗顔とひげ剃りの泡を1本で兼ねられる設計として紹介されています。なお公式の商品ページでは容器の形状を確認できなかったため、本記事では容器については扱いません。
洗顔料の洗浄基剤は、ミリスチン酸・ステアリン酸・ラウリン酸・パルミチン酸といった脂肪酸を水酸化Kで中和した石けんを土台にするかどうかで、大きく二つに分かれます。石けん系は泡立ちがよく、さっぱりした洗い上がりになりやすい一方、弱アルカリ性のため洗い上がりにつっぱり感が出やすい傾向がある、とされます。そのうえで、石けんを土台にする洗顔料の中にも、石けんに別の洗浄成分を重ねるかどうか、重ねるなら何を重ねるかで設計の違いがあります。石けん単独で組むもの、糖系のノニオン界面活性剤を重ねるもの、タウリン系のアニオン界面活性剤を重ねるもの、アミノ酸系のアニオン界面活性剤に加えてサポニンを含む植物エキスを重ねるもの、といった具合です。重ねる成分は、石けん単独の当たりの強さを和らげたり泡質を変えたりする方向で置かれることが多い、とされます。
本製品の全成分は、水の直後にミリスチン酸、グリセリンを挟んでステアリン酸・水酸化K・ラウリン酸が並び、石けんを土台にした構成です。その後ろにアミノ酸系のココイルグリシンK、ノニオン系のラウレス-7、サポニンを含むとされるキラヤ樹皮エキスとサボンソウ葉エキスが続きます。先の分類でいえば、石けんにアミノ酸系アニオンとサポニンを含む植物エキスを重ねる側に位置する処方です。
ここで一つ押さえておきたいのは、洗顔料が名乗る訴求と洗浄基剤の強さは必ずしも対応しない、という点です。皮脂や毛穴汚れを訴求する洗顔料は、基剤が石けん単独のものにも、石けんをまったく使わないものにも見られます。洗い上がりの方向を知りたいときは、商品名や訴求語ではなく全成分で基剤の系統を確認するのが確実です。
弱みとしては四点が挙がります。ひとつは、重ねる成分があるとはいえ土台は石けんであり、洗い上がりのつっぱり感が出やすい系統に属すること。ふたつめは香料を配合しているため、香りのない洗顔料を条件にしている人には選びにくいこと。みっつめは自分で泡立てる剤型のため、泡の質と量が泡立て方に左右されること。よっつめは公式に使用回数の目安が見当たらず、容量130gがどのくらいの期間もつかを事前に見積もりにくいことです。
注目成分の解析
脂肪酸と水酸化Kで組んだ石けんの土台
表示の上位は、水・ミリスチン酸・グリセリン・ステアリン酸・水酸化K・ラウリン酸の順です。ミリスチン酸・ステアリン酸・ラウリン酸はいずれも脂肪酸で、アルカリ剤の水酸化Kと反応させることで石けん(脂肪酸カリウム)になります。全成分表示では、このように反応前の原料名で脂肪酸とアルカリ剤が並べて書かれることがあり、本製品の洗浄の土台はこの石けんにあると読めます。
脂肪酸の顔ぶれにも役割の分担があるとされます。ラウリン酸由来の石けんは泡立ちの早さに、ミリスチン酸由来は泡の豊かさに、ステアリン酸由来は泡の持ちやクリームの硬さに寄与する方向で使われることが多い成分です。公式の「豊かな泡立ち」という説明は、複数の脂肪酸を組み合わせたこの土台と整合します。ただし配合量は公表されていないため、泡立ちの良し悪しを成分表だけで判断することはできません。
保湿・溶剤の層としては、グリセリンが上位に、PEG-32とPEG-6がラウリン酸の直後に並びます。PEG-32とPEG-6はポリエチレングリコール系の成分で、保湿や溶剤、クリームの粘度調整の目的で使われることがあります。BGも配合されていますが、表示順は植物エキスより後ろです。洗顔料は洗い流す製品なので、これらの成分の寄与は洗浄中から直後の肌当たりの範囲にとどまる、と捉えるのが妥当です。
石けんに重ねたココイルグリシンK・ラウレス-7・サポニンを含む植物エキス
本製品を石けん単独の洗顔料と分けているのが、この層です。ココイルグリシンKは、アミノ酸のグリシンとヤシ油由来の脂肪酸から作られるアミノ酸系のアニオン界面活性剤です。ラウレス-7はノニオン系の界面活性剤で、乳化や可溶化、泡質の調整の目的で使われます。いずれも表示順では脂肪酸より後ろに置かれており、洗浄の主役は石けんで、これらは石けんに重ねる形で配合されている、という観察になります。なお全成分の表示順は、配合量1%以下の成分では順不同が認められているため、表示の位置から配合量を断定することはできません。
キラヤ樹皮エキスとサボンソウ葉エキスは、どちらもサポニンを含むとされる植物エキスです。サポニンは水に溶かすと泡立つ性質を持つ成分群で、サボンソウはその名のとおり古くから洗浄用途で使われてきた植物とされます。化粧品では洗浄補助や泡質の調整、保湿などの文脈で配合されることがあります。続くヨーロッパシラカバ樹皮エキスは、肌を整える目的で使われる植物エキスです。
こうした成分を石けんに重ねる設計は、石けん単独の当たりの強さを和らげたり、泡の感触を変えたりする方向で組まれることが多い、とされます。ただし土台が石けんである以上、洗い上がりの系統そのものが石けんを使わない洗顔料と同じになるわけではありません。重ねた層は、石けん系の範囲の中で使用感を調整する役割と読むのが中立です。
ジステアリン酸グリコール・ポリクオタニウム-39と、処方を支える成分
ジステアリン酸グリコールはパール化剤と呼ばれる成分で、洗顔料やシャンプーに真珠のような光沢や不透明感を持たせる目的で配合されます。洗浄や保湿を担う成分ではなく、主に見た目や質感に関わる成分です。ステアリン酸グリセリルはノニオン系の乳化剤で、クリーム状の中身を安定させる役割で使われます。
ポリクオタニウム-39はカチオンポリマーの一種です。石けんを土台にする洗顔料では、すすぎ時の感触や洗い上がりの肌触りを整える目的で、この種のカチオンポリマーが置かれることが多いとされます。石けんのさっぱりした洗い上がりに対して、手触りの側を調整する層と読めます。
防腐は安息香酸Naが担い、表示の末尾には香料があります。公式では天然香料を配合したフローラルウッディの香りと説明されています。香りは使用感の一部として好みが分かれる要素なので、無香料を条件にしている場合はこの点が判断材料になります。
こんな人におすすめ / 向かない人
おすすめな人
- 石けん系の泡立ちとさっぱりした洗い上がりを好む人
- 石けん単独ではなく、アミノ酸系の洗浄成分などを重ねた処方を選びたい人
- 洗顔の泡をひげ剃りにも使い、1本で済ませたい人
- 香りのある洗顔料を使いたい人
向かない人
- 洗い上がりのつっぱり感が苦手で、石けんを使わない洗顔料を条件にしたい人
- 香料を配合していない洗顔料を選びたい人
- 泡立てる手間を省き、容器から泡で出てくる洗顔料を探している人
- 使用回数の目安から1回あたりのコストを見積もって選びたい人
本製品は、脂肪酸と水酸化Kによる石けんを土台に、ココイルグリシンK・ラウレス-7・サポニンを含むとされる植物エキスを重ね、パール化剤とカチオンポリマーで見た目と手触りを整えた洗顔料です。洗浄の系統は石けん系の側にあり、重ねた層はその範囲の中で使用感を調整する役割と読めます。石けん系の洗い上がりを受け入れられるか、香りを好むかどうかが選ぶ際の分かれ目になります。
よくある質問
Q. シェービングフォームとしても使えるとありますが、どう使えばよいですか
公式には「豊かな泡立ちでシェービングフォームとしても使えます。」と記載されています。洗顔用に泡立てた泡をそのままひげ剃りに使うという流れが取りやすく、洗顔とシェービングの泡を1本で兼ねたい人には運用上の利点があります。泡をしっかり立ててから使うのが前提になります。
ただし、ひげ剃りは刃で肌の表面に触れる行為であり、泡を使っても肌への負担がなくなるわけではありません。剃った直後の肌は状態が不安定になりやすく、感じ方には個人差があります。しみる、赤みが出るなど肌に異常を感じた場合は使用を中止し、症状が続く場合は皮膚科など専門家への相談を検討してください。
Q. 石けんを使う洗顔料と使わない洗顔料は、どこで見分ければよいですか
全成分表示を見るのが確実です。ミリスチン酸やステアリン酸、ラウリン酸といった脂肪酸と、水酸化Kなどのアルカリ剤が並んでいれば、石けんを土台にした処方と読めます。本製品はこの形にあたります。一方で、アミノ酸系や糖系の洗浄成分、両性界面活性剤だけで組まれ、脂肪酸とアルカリ剤の組み合わせが見当たらない処方は、石けんを使わない側です。
商品名や訴求語だけで洗浄の強さを推し量るのは避けたほうが無難です。皮脂や毛穴汚れを訴求する洗顔料は、石けん単独の処方にも石けんを使わない処方にも見られるため、訴求語から基剤の系統は読み取れません。
Q. キラヤ樹皮エキスやサボンソウ葉エキスは、どう読めばよいですか
どちらもサポニンを含むとされる植物エキスで、化粧品では洗浄補助や泡質の調整、保湿などの文脈で配合されることがあります。本製品では、石けんとココイルグリシンKの後ろに並び、石けんに重ねる層の一部として置かれています。
配合量は公表されておらず、表示順も配合量1%以下の成分では順不同が認められています。植物エキスが入っていることをもって、洗い上がりが特定の方向に変わると断定することはできません。本製品の洗い上がりの系統を決めているのは、あくまで土台の石けんだと捉えておくのが中立です。