美顔器のジェルについて調べると、「導電性の高いジェルを選ぶ」「導電成分が入っているか確認する」という説明によく出会います。では、その導電成分とは、全成分表示のどれのことなのでしょうか。
結論を先に書きます。「導電成分」という名前の成分は、全成分表示にはまず出てきません。電気を運んでいるのは、水に溶けて電気を帯びた粒(イオン)です。そのイオンを供給しているのは、pH調整剤・中和剤・キレート剤・とろみ付けのポリマーといった、処方の脇役の成分です。
この記事では、次の3つを一次情報で確かめます。
- メーカーは、ジェルが「伝える」仕組みを成分の言葉でどう書いているか
- 美顔器メーカーの専用ジェル3品の全成分は、どの成分がイオンを供給しているか
- 手持ちの水性化粧品26品に、同じ種類の成分がどれくらい入っているか
先に結果を1つだけ書いておきます。DappNotes が集めた水性の化粧水・ジェル・オールインワン26品は、全品がイオンになりうる成分を1つ以上含んでいました。導電性は、専用ジェルだけが持つ特別な性質ではありません。
特定の商品をすすめる記事ではありません。
1. メーカーは「導電成分」をどう書いているか
1.1 パナソニック:成分名ではなく「水系か、油分か」
パナソニックは専用ジェルを2種類用意していて、それぞれの役割をこう説明しています。
<ウォータークリアジェル> 洗い流すタイプです。RFや超音波をより効果的に肌へ伝えるための専用ジェルです。 <スムースリフトジェル> 洗い流さないタイプです。EMSをより効率的に肌に伝え、リフトケア※をスムーズにします。
同じFAQには「量が少ないと、EMSの刺激を感じにくくなります」「油分の多い化粧品は、RFやEMSが伝わりにくい場合があります」とも書かれています。
ここで語られているのは量と油分で、どの成分が伝えているかという話は出てきません。
1.2 ヤーマン:唯一、成分名を挙げている
確認した範囲で、成分名まで挙げていたのはヤーマンでした。EMS美顔器メディリフト用のジェルの商品ページに、次の記載があります。
EMSブースターエッセンス * EMSをサポートする保湿成分を多く配合し、より効果的なケアをサポートします。 *…保湿成分:クエン酸、クエン酸Na
(出典: ヤーマン メディリフトゲル 商品ページ)
同じ美容液版(メディリフト モイスチャーセラム)と、ローラー型EMS向けのEMSリフトクリームでも、挙げている成分はクエン酸とクエン酸Naの2つです。
ボディ用のEMSシェイプゲルのページには、同じ2成分を「EMSサポート成分」と呼んだうえで、括弧書きで「(pH調整剤)」と添えている箇所があります。
マッサージだけでなく、EMS製品との併せ使いに最適な独自のEMSサポート成分 * も配合。 *…クエン酸、クエン酸Na(pH調整剤)
(出典: ヤーマン EMSシェイプゲル 商品ページ)
クエン酸とクエン酸Naは、化粧品では一般にpHを一定に保つ組み合わせとして使われます。メーカー自身が「EMSのサポート」と「pH調整」の両方の言葉をこの2成分に当てている。この事実が、本記事の出発点になります。
1.3 「導電」という言葉はどこにもない
パナソニックもヤーマンも、使っている言葉は「伝える」「サポート」でした。「導電成分」「電気を通す成分」という表現は、確認した範囲のメーカー記載にはありませんでした。
では、「伝える」を成分で言い換えると何になるのか。次の章で、電気の運び手から考えます。
2. 電気を運ぶのは「イオン」
2.1 水だけでは足りない
美顔器ジェルの代用はどこまでできる?でも触れたとおり、化粧品の中で電気を運んでいるのは、水そのものというより水に溶けたイオンです。
イオンとは、プラスやマイナスの電気を帯びた粒のことです。たとえば食塩(塩化ナトリウム)を水に溶かすと、プラスのナトリウムイオンとマイナスの塩化物イオンに分かれます。電極に電圧をかけると、これらの粒がそれぞれ反対の極へ動き、電気が流れます。
水は電気を運ぶ「道」、イオンは道を走る「運び手」と考えると分かりやすいでしょう。油にはこの道も運び手もほとんどないので、電気を通しにくくなります。
2.2 医療用の電極ゲルは「塩」で導電性を作っている
電気を肌に通すためのゲルは、美顔器より前から医療の現場で使われてきました。心電図などの電極に使う導電ゲルの特許は、電解質(水に溶けてイオンになる物質)の役割をはっきり書いています。
The preferred salts are chlorides, particularly those of sodium or potassium, since these are the most compatible with the normal electrolytes within the body.
(出典: 3M 特許 WO1981000785A1)
訳すと、「好ましい塩は塩化物、とくにナトリウムやカリウムの塩化物である。体内の通常の電解質と最も相性がよいため」です。同じ特許は、電解質の濃度について次のようにも述べています。
The electrolyte concentration is important, as it affects both current carrying capacity and skin irritation.
「電解質の濃度は重要である。電流を運ぶ能力と、皮膚への刺激の両方に影響するからだ」。さらに、何日も貼り続けるモニター用途では塩の濃度を約3%未満に抑えるのが望ましく、長時間の接触では高い濃度の塩が皮膚への刺激になる、と続けています。
ここから読み取れるのは、塩を増やせば電気は通しやすくなるが、肌への負担とのバランスがあるということです。
同じ特許には、もう1つ見逃せない記述があります。
crosslinked gums containing no salt are also contemplated since the gels of the present invention are aqueous in major portions and can conduct a current when subjected to high voltages.
「塩を含まない架橋ガムも想定している。このゲルは大部分が水であり、高い電圧をかければ電流を通すことができるからだ」。塩を足さなくても、水が主体のゲルなら電気は通るという記述です。
2.3 化粧品で「イオンになりうる成分」は5系統
化粧品の全成分表示には、塩化Naが入っていることはあまりありません(後述)。代わりに、次のような成分が水の中でイオンになります。
| 系統 | 主な成分 | 化粧品での一般的な役割 |
|---|---|---|
| 中和剤・アルカリ | 水酸化K、水酸化Na、アルギニン、TEA | とろみ付けのポリマーを中和する、pHを整える |
| pH調整・緩衝・キレート | クエン酸、クエン酸Na、リン酸Na、EDTA-2Na | pHを一定に保つ、金属イオンを捕まえて品質を保つ |
| 塩類・保湿系の塩 | 塩化Na、PCA-Na、乳酸Na | 粘度の調整、保湿 |
| イオン性のポリマー | カルボマー(中和後)、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、キサンタンガム、ヒアルロン酸Na | とろみ付け、保湿 |
| 塩の形の有効成分・機能成分 | グリチルリチン酸2K、アスコルビルリン酸Na など | 名称に「Na」「K」が付く成分の多く |
見分けの目安は、成分名の末尾の「Na」「K」と、「〇〇酸」です。どちらも、水に溶けると電気を帯びた形になりやすい成分です。
注目したいのは4つ目の系統です。カルボマーは、そのままでは酸性でとろみが出ず、水酸化Kなどのアルカリで中和して初めてゲルになります。中和されたカルボマーは、長い鎖にマイナスの電気を帯びた部分がたくさん並んだ状態で、その相手としてカリウムやナトリウムのプラスのイオンを抱えています。つまり、とろみを作る工程そのものが、水の中にイオンを持ち込んでいることになります。ヒアルロン酸Naも、同じように電気を帯びた長い鎖とナトリウムイオンの組み合わせです。
2.4 イオンにならない成分:グリセリン・BG
逆に、水性ジェルの上位によく並ぶグリセリンやBGは、水に溶けてもイオンになりません(非イオン性)。電気の運び手にはならない成分です。
食塩水にグリセリンを混ぜた実験では、グリセリンの割合を増やすほど電気の通しやすさ(導電率)が下がったと報告されています。
AC electrical conductivity, σ (at 1 to 10 MHz), decreases with increasing glycerol concentration.
(出典: Paulsen, arXiv:1308.5720)
ただし、この実験は飽和食塩水とグリセリンを混ぜたもので、化粧品の配合とは条件が大きく違います。論文自身も、液がどろっとしてイオンが動きにくくなることと、食塩が薄まることの両方が効いていると説明しています。化粧品に当てはめるなら、「グリセリンは運び手を増やす成分ではない」までが言える範囲です。
それでもグリセリンやBGが専用ジェルに入っているのは、別の役割があるからです。水を抱えて乾きにくくし、電気の「道」である水を、使っている数分間保たせる。導電の運び手ではなく、道の維持を担う成分と考えると整理しやすくなります。
3. 専用ジェル3品の全成分を並べる
3.1 取り上げた3品
美顔器メーカーが自社の機種向けに販売しているジェル・美容液のうち、全成分をメーカー自身のページで確認できた顔用の3品を並べます。
| 商品 | 対応する方式 | 成分数 | 上位5成分 |
|---|---|---|---|
| ヤーマン メディリフトゲル | EMS | 47 | 水、BG、グリセリン、ペンチレングリコール、カルボマー |
| ヤーマン メディリフト モイスチャーセラム | EMS | 51 | 水、BG、グリセリン、ペンチレングリコール、加水分解ヒアルロン酸 |
| エックスワン ソニックジェル | RF・EMS | 10 | 水、グリセリン、BG、カルボマー、水酸化K |
(出典: 各社公式の商品ページ。2026年9月30日時点)
パナソニックの専用ジェル2品は、公式ページの成分欄を今回の方法では取得できなかったため、表に入れていません。
3.2 イオンになりうる成分の位置
2.3の5系統に当てはまる成分が、それぞれ何番目に書かれているかを並べると次のとおりです。
| 商品 | 中和剤 | pH調整・緩衝 | 塩化Na | イオン性のポリマー |
|---|---|---|---|---|
| メディリフトゲル | 水酸化K(46番目) | クエン酸(44)、クエン酸Na(45) | 40番目 | カルボマー(5)、ヒアルロン酸Na(11)、ヒアルロン酸クロスポリマーNa(12) |
| モイスチャーセラム | 水酸化K(44番目) | クエン酸(45)、クエン酸Na(46) | なし | ヒアルロン酸Na(6)、ヒアルロン酸クロスポリマーNa(7)、カルボマー(42)、キサンタンガム(43) |
| ソニックジェル | 水酸化K(5番目) | なし | なし | カルボマー(4) |
全成分表示は、原則として配合量の多い順に並びます(1%以下の成分は順不同)。この前提で読むと、3つのことが分かります。
1つ目:3品すべてが「カルボマー+水酸化K」を持っている。2.3で書いたとおり、これはとろみを作る組み合わせであると同時に、水の中にイオンを持ち込む組み合わせです。
2つ目:塩化Naを表示していたのは3品中1品で、47成分中40番目。医療用電極ゲルのように、塩をはっきり主役にした処方ではありません。
3つ目:ソニックジェルには塩もクエン酸も入っていない。成分はわずか10個で、イオンを持ち込んでいるのは中和されたカルボマー(水酸化Kとの組み合わせ)だけです。RF・EMS専用として販売されているジェルが、この骨格で成立しています。2.2の特許にあった「塩を含まなくても、水が主体のゲルなら電気は通る」という記述とも合います。
3.3 なぜ塩をたくさん入れないのか
専用ジェルが塩化Naを前面に出さない理由について、メーカーの説明は見つかりませんでした。以下は、公開されている情報から考えられる理由で、DappNotes の推論です。
- 肌への刺激とのバランス。2.2の特許が書いているとおり、塩の濃度は電流を運ぶ能力と皮膚への刺激の両方に影響します。顔に塗って数分間当てる化粧品では、刺激の側に余裕を持たせる設計が自然です
- とろみが崩れる。カルボマーは塩(電解質)に弱く、塩が多いと電気を帯びた部分どうしの反発が弱まってとろみが大きく落ちる性質があります(カルボマーの成分ページで解説しています)。塩を増やすと、ジェルとしての形が保ちにくくなります
- そもそも足りている。中和剤・pH調整剤・ヒアルロン酸Naなどから、すでに一定のイオンが供給されています
医療用の電極ゲルと美顔器の専用ジェルは、「電気を肌に渡す」という目的は同じでも、使う時間や肌に求められる条件が違います。同じ設計にはならないと考えるのが自然です。
3.4 参考:油分の多い「EMS用クリーム」もある
ヤーマンは、ローラー型EMS向けに「EMSリフトクリーム」も販売しています。全成分の3・4番目に油剤(イソノナン酸イソトリデシル、オクチルドデカノール)が並ぶ、油分の多い処方です。
美顔器ジェルの代用はどこまでできる?では「油剤が上位の処方は代用に向かない」と整理しました。この線と矛盾するように見えますが、こちらはメーカーが特定の機種に合わせて設計した専用品です。手持ちの化粧品を代用するときの判断基準とは、分けて考える必要があります。
4. 手持ちの化粧品26品にもイオン源は入っているか

4.1 調べた方法
DappNotes は、商品ページ制作のために各社公式サイトの全成分表示を収集しています(スキンケア54品・2026年7月時点)。このうち、洗い流すもの(洗顔料)・日焼け止め・クリームを除いた水性のリーブオン品26品(化粧水・ジェル・オールインワン・美容液・乳液)を対象に、2.3の5系統に当てはまる成分を機械的に数えました。
内訳は、化粧品19品・医薬部外品7品です。この54品はもともと別の目的(メンズスキンケアの売れ筋)で集めたもので、市場全体の比率を表すものではありません。
4.2 結果:26品すべてにイオン源があった
| 見たポイント | 該当した品数(26品中) |
|---|---|
| 5系統のいずれかを1つ以上含む | 26品 |
| クエン酸またはクエン酸Naを含む | 16品 |
| カルボマー・アクリル酸系のポリマーを含む | 16品 |
| 中和剤・アルカリ(水酸化K・水酸化Na・アルギニン等)を含む | 15品 |
| 塩化Naを含む | 0品 |
ヤーマンが「EMSサポート成分」と呼んでいたクエン酸・クエン酸Naは、26品中16品に入っていました。専用ジェルの骨格だった「カルボマーやアクリル酸系のポリマーを、アルカリで中和する」組み合わせも、半数以上の品に見られます。
一方、塩化Naを表示した品は1品もありませんでした。手持ちの化粧品のイオン源は、塩ではなく、pH調整剤や中和剤、とろみ付けのポリマーから来ているということです。
4.3 イオン源は処方の「下のほう」にいる
化粧品19品について、イオン源のうち最も上位にあるものが何番目かを調べると、4番目〜25番目、中央値は9番目でした。5番目以内に入っていたのは4品で、その成分もヒアルロン酸Na・アセチルヒアルロン酸Na・アルギニン・アゼロイルジグリシンKでした。塩やpH調整剤が上位に来ていた品はありません。
全成分の中ほどから下は、配合量が少ない成分の領域です。つまり、どの品でもイオン源は少量の脇役として入っています。これは3章の専用ジェルでも同じでした。メディリフトゲルのクエン酸・クエン酸Na・水酸化Kも、47成分中44〜46番目です。
医薬部外品7品は、表示の並びが配合量の順とは限らないため、この順位の集計からは外しています。
5. 全成分で「導電性」を確かめる手順
5.1 まず見るのは、導電成分より「油分」
ここまでの結果をまとめると、水性の化粧品であれば、イオン源はほぼ入っていると考えてよさそうです。実際に差がつきやすいのは、イオンの有無よりも次の2点です。
- 電気の道(水)を油がふさいでいないか。メーカーが繰り返し書いている「油分の多い化粧品は伝わりにくい」がこれにあたります
- 道が途中で乾かないか。量が少ない、揮発しやすいと、数分のうちに道が細くなります
そのため、全成分を見る順番は次のようになります。
- 1番目が「水」か:水性ベースなら、電気の道がある
- 上位5〜6番目までに油剤がないか:ミネラルオイル、〇〇油、エステル油(〇〇酸〇〇)が上位にあれば、道がふさがれやすい
- とろみ(増粘剤)と保湿剤があるか:カルボマー、キサンタンガム、グリセリン、BGなど。道が数分間保たれる
- 「Na」「K」が付く成分、または「〇〇酸」が1つ以上あるか:イオン源の確認。水性の処方ならほぼ満たしている
1〜3は、美顔器ジェルの代用はどこまでできる?で整理した見分け方と同じです。4は、今回の集計では26品すべてが満たしていました。「導電成分配合」とうたう製品をわざわざ探す必要は、少なくとも全成分から見る限りは薄いと言えます。
5.2 刺激を感じにくいとき、塩を足すのはすすめない
「イオンが電気を運ぶなら、食塩を溶かせばよく伝わるのでは」と考える人もいるかもしれません。本記事ではすすめません。
- 2.2の特許が書いているとおり、塩の濃度は皮膚への刺激にも関わります。肌に合う濃度を家庭で見極める方法はありません
- 手持ちのジェルに塩を混ぜると、カルボマーでとろみを作っている処方はとろみが崩れやすくなります
- 家庭で化粧品に何かを混ぜることには、防腐や衛生の問題もあります(美顔器ジェルの手作りをすすめない理由で詳しく扱っています)
パナソニックのFAQは、EMSの刺激を感じにくいときの対処として、専用ジェルや化粧品を「たっぷりとつけて、肌を十分にぬらしてください」と案内しています(Panasonic FAQ「バイタリフトRFでEMSの刺激を感じにくい(感じない)ときは」)。まずは量を足すこと、そして油分の多いものを塗っていないか確かめることが、メーカーの示している順番です。
刺激を感じにくいときでも、レベルを無理に上げないことも大切です。強さの考え方は美顔器は毎日使っていいのかで、3機種の取扱説明書から整理しています。
6. 断定できないこと(この記事の限界)
本記事は、メーカーの公開情報・特許・論文と、全成分表示の集計から組み立てたものです。次の点は断定できません。
- 実際の導電率。DappNotes は各製品の導電率を測定していません。「イオンになりうる成分が入っている」ことと、「どれだけ電気を通すか」は別の問題です。量や濃度は全成分表示からは分かりません
- パナソニックの専用ジェルの組成。公式ページの成分欄を今回は取得できませんでした。ほかにも、日立・ドクターエア・ReFa などのメーカーの専用品は確認できていません
- RFへの当てはめ。本記事の説明は、電流を流すEMSを中心にしています。RF(高周波)は電気の伝わり方が異なり、ジェルに求められる条件もすべてが同じとは限りません。メーカーは、RFについても「油分の多い化粧品は伝わりにくい」と書いています
- ヤーマンが挙げたクエン酸・クエン酸Naの役割。メーカーはこの2成分を「EMSをサポートする保湿成分」「EMSサポート成分(pH調整剤)」と表記しています。イオン源として働くというのは DappNotes の推論で、メーカーがそう説明しているわけではありません
- 集計の母集団。26品は、メンズスキンケアの売れ筋として別目的で集めたものです。成分の分類も機械的な名称マッチで行っており、見落としや分類の揺れがありえます
使える化粧品の最終的な基準は、お使いの機種の取扱説明書です。
7. よくある質問
Q1. 美顔器ジェルの「導電成分」とは、具体的にどの成分ですか
全成分表示に「導電成分」という名前の成分は出てきません。電気を運ぶのは水に溶けたイオンで、その供給源はクエン酸・クエン酸Na(pH調整)、水酸化K・水酸化Na(中和剤)、中和されたカルボマー、ヒアルロン酸Naといった成分です。メーカーの中ではヤーマンが、クエン酸・クエン酸Naを「EMSサポート成分」と表記していました。
Q2. 専用ジェルと普通の化粧品では、導電性が違いますか
DappNotes は導電率を測っていないため、数値で比べることはできません。全成分から見る限り、専用ジェル3品と水性の化粧品26品は、イオン源の種類(中和剤・pH調整剤・イオン性のポリマー)が共通していました。違いが出やすいのは、油分の量や、数分間乾かずにもつかどうかです。
Q3. 塩化Naが入っているジェルのほうが伝わりやすいですか
塩化Naは代表的な電解質で、医療用の電極ゲルでは導電性の中心になっています。ただ、今回確認した専用ジェル3品のうち塩化Naの表示があったのは1品で、それも47成分中40番目でした。塩化Naの有無だけで伝わりやすさを判断するのは難しいと考えられます。
Q4. グリセリンが多いジェルは電気を通しにくいですか
グリセリンはイオンにならない成分で、食塩水に混ぜると導電率が下がったという実験報告はあります。ただしその条件は化粧品とは大きく違います。グリセリンには水を抱えて乾きにくくする役割があり、専用ジェルの上位にも入っています。グリセリンの有無だけで避ける理由はありません。
Q5. 化粧水に食塩を溶かして使ってもいいですか
すすめません。塩の濃度は肌への刺激にも関わり、家庭で適切な濃度を見極める方法がありません。とろみのある処方は、塩でとろみが崩れることもあります。刺激を感じにくいときは、まず量を足し、油分の多いものを塗っていないかを確かめてください。
まとめ
- メーカーは「導電成分」という言葉を使っていない。パナソニックは水系か油分か、ヤーマンはクエン酸・クエン酸Naを「EMSサポート成分」と書いている(確認した範囲)
- 電気を運ぶのは水に溶けたイオン。化粧品でイオンを供給しているのは、中和剤・pH調整剤・キレート剤・イオン性のポリマーといった処方の脇役
- 専用ジェル3品はすべてカルボマー+水酸化Kの骨格を持ち、塩化Naの表示は1品だけだった
- 水性の手持ち化粧品26品は、全品がイオン源を含み、塩化Naは0品。イオン源はどれも全成分の中ほどから下にいた
- 実際に差がつきやすいのは、イオンの有無より油分と乾きにくさ。確認する順番は、水→油剤→とろみ→イオン源
「導電性」は、特別な成分を探して確かめるものではありません。水性で、油分が少なく、数分間もつ化粧品であれば、電気の道と運び手はたいてい揃っています。
参照した一次情報
- パナソニック「美顔器の専用ジェルの使い方と購入方法は」公式FAQ
- パナソニック「バイタリフトRFでEMSの刺激を感じにくい(感じない)ときは」公式FAQ
- ヤーマン「メディリフトゲル」公式商品ページ
- ヤーマン「メディリフト モイスチャーセラム」公式商品ページ
- ヤーマン「EMSシェイプゲル」公式商品ページ
- ヤーマン「EMSリフトクリーム」公式商品ページ
- エックスワン「ソニックジェル」公式オンラインショップ
- 3M 特許「WO1981000785A1 Cohesive nonsticky electrically conductive gel composition」
- Paulsen, J. D. “Approach and Coalescence of Liquid Drops in Air” arXiv:1308.5720
- 各社公式サイトの全成分表示(当サイト収集のスキンケア54品のうち水性リーブオン26品・2026年7月時点)
いずれも2026年9月30日時点で公開されている版を参照しました。
※ 本記事は公開されているメーカー情報・特許・論文に基づく情報提供であり、個別の製品の使用可否や導電性能を判断するものではありません。肌の状態については皮膚科医に、機器の使用条件についてはメーカー窓口にご確認ください。使用できる化粧品の最終的な基準はお使いの機種の取扱説明書です。使用中に異常を感じた場合は直ちに使用を中止してください。
本記事のイメージ画像にはAI生成画像を使用しています。