サンザシエキスは、バラ科のサンザシ(Crataegus cuneata)の果実のエキスとして登録された名前である(出典: Cosmetic-Info.jp)。化粧品でも医薬部外品でも同じ「サンザシエキス」の文字列で表示され、どちらも同じ植物・同じ部位を指している。

サンザシの実は、菓子の原料や生薬「山査子(サンザシ)」として知られる。一方、化粧品の成分表には、セイヨウサンザシ(Crataegus monogyna)やオオサンザシ(Crataegus pinnatifida)の名前も別に登録されている。本記事では、この「サンザシ」を含む名前の見分け方と、食べ物・生薬として身近なことと化粧品成分としての安全性評価の厚さが別の話である点を整理する。

1. サンザシエキスの基本

1.1 何の成分か

化粧品表示名称「サンザシエキス」(成分番号551298)の定義は「本品は、サンザシ Crataegus cuneata の果実のエキスである。」で、INCI名は Crataegus Cuneata Fruit Extract である(出典: Cosmetic-Info.jp)。配合目的は「皮膚コンディショニング剤(未分類)」の1つだけが登録されている。CAS番号と規制分類の欄は空欄。Cosmetic-Info.jpに登録された市販化粧品は849件だった(2026年9月確認)。

医薬部外品の添加物にも、同じ文字列の「サンザシエキス」(規格コード51・成分コード106195)がある。本質は「サンザシ Crataegus cuneata Siebold & Zucc. の果実から、水・エタノール・プロピレングリコール・1,3-ブチレングリコール・ジエチレングリコールエチルエーテル又はこれらの混液にて抽出して得られるエキス」で、植物の種も部位も化粧品の定義と一致する(出典: Cosmetic-Info.jp 部外品添加物)。登録された市販の医薬部外品は105件だった。

原料製造元の丸善製薬は、「サンザシ抽出液BG-J」(INCI名 Crataegus Cuneata Fruit Extract・Butylene Glycol・Water)を、化粧品表示名称「サンザシエキス、BG、水」、医薬部外品表示名称「サンザシエキス」と並べて案内している。エタノール・水で抽出した「へアプローズ」も、化粧品表示名称・医薬部外品表示名称とも「サンザシエキス」である(出典: 丸善製薬 化粧品原料 製品一覧)。化粧品と部外品で名前が割れない、分かりやすい部類の成分と言える。

規制上は、有効成分ではない添加成分に分類される。厚生労働省の『いわゆる薬用化粧品中の有効成分リスト』には「サンザシ」の語で掲載が見当たらない。同リストは有効成分の規格と分量の前例を集めた文書で、載っていないことは有効成分になれない根拠ではないが、上記の製造元の案内にも「主剤」「有効成分」といった表記はない。

1.2 「サンザシ」を含む名前の一覧

この成分でいちばん注意したいのは、名前の近い別成分である。Cosmetic-Info.jpの化粧品表示名称を「サンザシ」で検索すると、本成分のほかに次の名前が出てくる(2026年9月確認・発酵エキスの構成要素として含むものを除く)。

化粧品表示名称植物(学名)部位配合目的
サンザシエキス(本成分)サンザシ Crataegus cuneata果実のエキス皮膚コンディショニング剤(未分類)
セイヨウサンザシ果実エキスセイヨウサンザシ Crataegus monogyna果実のエキス皮膚コンディショニング剤(未分類)
セイヨウサンザシ花エキスセイヨウサンザシ C. monogyna花のエキス皮膚コンディショニング剤(未分類)
セイヨウサンザシ葉エキスセイヨウサンザシ C. monogyna葉のエキス皮膚コンディショニング剤(未分類)
セイヨウサンザシエキスセイヨウサンザシ Crataegus oxyacantha全草のエキス(空欄)
セイヨウサンザシ果実セイヨウサンザシ C. monogyna果実皮膚コンディショニング剤(未分類)
オオサンザシ果実エキスオオサンザシ Crataegus pinnatifida果実のエキス皮膚コンディショニング剤(未分類)

(出典: Cosmetic-Info.jp 化粧品表示名称)

読み方のポイントは2つある。

1つ目は、「セイヨウ」が付くかどうかで植物の種が変わること。セイヨウサンザシの果実エキスは Crataegus Monogyna Fruit Extract という別のINCI名を持ち、本成分とは別の成分として登録されている。「サンザシ果実のエキス」という意味では同じに見えるが、成分表で「セイヨウサンザシ果実エキス」と書かれていれば本成分ではない。

2つ目は、「セイヨウサンザシエキス」の意味が時期で変わっていること。かつて同じ名前(旧INCI Crataegus Oxyacantha Extract)は「花、葉又は果実のエキス」と定義されていたが、2020年3月31日に表示名称リストから削除され、果実・花・葉の3つの名前に分けられた(出典: Cosmetic-Info.jp)。現在は同じ文字列が「全草のエキス」として別に登録されている。医薬部外品の添加物の「セイヨウサンザシエキス」は、セイヨウサンザシ類の花・葉又は果実のエキスと定義されている。いずれにしても本成分(C. cuneata の果実)とは植物の種が違う。

なお、オオサンザシ果実エキスは2024年3月の表示名称リストに収載された比較的新しい名前である(出典: Cosmetic-Info.jp)。

1.3 生薬「山査子」との関係

日本薬局方には、生薬「サンザシ」(ラテン名 CRATAEGI FRUCTUS・漢字名 山査子)が収載されている。基原は「1)サンザシ Crataegus cuneata Siebold et Zuccarini 又は 2)オオミサンザシ Crataegus pinnatifida Bunge var. major N. E. Brown の偽果」である(出典: 日本薬局方名称データベース)。

ここから言えることは次のとおり。

  • 化粧品の「サンザシエキス」の植物は、生薬サンザシの基原の1つと同じ種(C. cuneata)である
  • 生薬は2種を基原としているが、化粧品の「サンザシエキス」の定義は C. cuneata だけで、範囲が狭い。もう一方のオオミサンザシは C. pinnatifida の変種で、化粧品では C. pinnatifida の果実のエキスが「オオサンザシ果実エキス」という別の名前で登録されている
  • 日本薬局方は、サンザシの実を植物学的な「偽果」(花の子房以外の部分も加わってできた実)と書いている。化粧品の定義は「果実」で、同じものを指す日常的な言い方と考えてよい

生薬として口から摂る場合の用途は、化粧品として肌に塗った場合の働きとは別の話である。本記事では生薬としての効能には立ち入らない。

1.4 どんな製品に配合されるか

DappNotesの商品マスターで本成分を確認できたのは、次の2品である。どちらも化粧品である。

商品区分剤形本成分の位置
クワトロボタニコ ボタニカル オイルコントロール & フェイスクレンザー化粧品洗顔料19/30
トゥヴェール バランシングGAローション化粧品化粧水24/33

(出典: 各ブランド公式サイトの全成分表示。位置は「全成分の何番目/全成分数」)

化粧品の全成分表示は配合量の多い順に書くのが原則だが、配合量1%以下の成分は順不同で書ける。どちらの商品でも本成分は成分表の中〜後半にあり、言えるのは「配合量は多くない側」というところまでである。

2品には共通点がある。どちらにも、本成分と一緒にナツメ果実エキス・リンゴ果実エキス・グレープフルーツ果実エキス・オレンジ果汁・レモン果汁・ライム果汁の6成分が入っている(並び順は2品で違う)。この7成分を組み合わせた原料が、丸善製薬から「フルーツリンクルプロテクトエッセンス」(7成分とBG・水の混合原料)として出ている(出典: 丸善製薬 化粧品原料 製品一覧)。ただし、2品がこの原料を使っているのか、本成分単独の原料を使っているのかは、成分表示からは分からない。原料名に含まれる言葉も、化粧品の効能として読めるものではない。

1.5 メンズ視点での見方

配合例は、皮脂が気になる人向けの洗顔料と、さっぱりタイプの化粧水である。サンザシは生薬として知られるため、「漢方っぽい成分=何か特別な働きがある」と期待されやすい。

しかし本成分の化粧品としての配合目的は皮膚コンディショニング剤(未分類)だけで、配合例ではどちらも成分表の中〜後半に果実系のエキスと並んでいる。洗顔料なら洗浄成分、化粧水なら保湿や整肌の骨格を先に見て、サンザシエキスは植物エキスの1つとして読むのが正確になる。

2. 期待される働き・効果

2.1 登録された配合目的

化粧品表示名称「サンザシエキス」に登録された配合目的は、「皮膚コンディショニング剤(未分類)」である(出典: Cosmetic-Info.jp)。肌の状態を整える目的の成分という大まかな分類で、「保湿剤」や「収れん剤」のような具体的な機能の区分ではない。

名前の近いセイヨウサンザシ果実エキス・オオサンザシ果実エキスも、同じ「皮膚コンディショニング剤(未分類)」で登録されている(§1.2)。配合目的が同じだからといって、別種の研究データや評価を本成分に当てはめることはできない。登録の並びがそうなっている、という事実以上のことは表示名称データベースからは読み取れない。

2.2 一般的な効能範囲

サンザシエキスを配合した化粧品で表現できるのは、化粧品の効能範囲のうち「肌を整える」「肌にうるおいを与える」「皮膚をすこやかに保つ」といった範囲である。

次のような表現を、本成分の効能として書くことはできない。

  • シワを改善する・ハリを出す
  • シミを防ぐ・肌を白くする(美白)
  • 毛穴を引き締める・皮脂を抑える
  • ニキビを防ぐ・炎症を抑える
  • 頭皮の血行を促す・育毛

2.3 限界・誤解されやすい点

誤解されやすい点は3つある。

1. 「生薬だから効きそう」という連想。サンザシの実は生薬として日本薬局方に収載されているが、生薬としての用途は口から摂る場合の話で、化粧品として肌に塗ったときの働きの根拠にはならない。化粧品原料としてのサンザシエキスは、生薬の規格どおりに作られたものでもない。

2. 「セイヨウサンザシの研究」を本成分の話として読むこと。英語で「hawthorn(ホーソン)」と呼ばれる植物はサンザシ属(Crataegus)の複数の種を含む。たとえば米国国立衛生研究所の補完統合衛生センター(NCCIH)の一般向け解説は、hawthorn の学名として Crataegus monogyna・Crataegus laevigata・Crataegus pinnatifida・Crataegus mexicana を挙げていて、本成分の C. cuneata は挙げていない(出典: NCCIH「Hawthorn: Usefulness and Safety」2025年4月更新)。海外のサプリメントや研究の情報で「hawthorn」とあっても、本成分と同じ種とは限らない。セイヨウサンザシは本成分とは別種で、化粧品でも別の名前で登録されている(§1.2)。別種のデータは、本成分の働きや安全性の根拠として使えない。

3. 原料名や商品のコピーを本成分の効能と読むこと。原料製造元の混合原料名や、商品のうたい文句に含まれる言葉は、化粧品の効能として認められた内容ではない。成分表で本成分を見たときに言えるのは、「サンザシの果実から抽出したエキスが、処方の一部として入っている」というところまでになる。

3. 安全性・注意点

3.1 公的な安全性評価の状況

米国のCosmetic Ingredient Review(CIR)は、化粧品成分の安全性をINCI名ごとに評価している。CIRが公開する評価結果の一覧『Quick Reference Table』(2022年9月版)を「Crataegus」「Hawthorn」で検索したところ、該当する成分はなかった(出典: CIR Quick Reference Table)。本稿で確認した範囲では、本成分(Crataegus Cuneata Fruit Extract)のCIR評価は見当たらない。

ここで分けて考えたいのは次の2点である。

  • 評価の枠組みに載っていないこと: CIRのような包括的な安全性評価の対象になっていない、という事実。危険と判断されたわけでも、安全と確認されたわけでもない
  • 個別のデータがどれだけあるか: 本成分名での刺激性・感作性の試験は、本稿で確認した資料には見当たらなかった

名前の近いセイヨウサンザシ(C. monogyna)は別種・別の表示名称で、仮にその試験データや評価があっても本成分に当てはめることはできない。日本の化粧品基準でも、本成分に配合の上限などの個別の規定は見当たらない(Cosmetic-Info.jpの規制分類欄は空欄)。

3.2 食経験と化粧品での評価は別の話

サンザシの実は、菓子の原料や生薬として身近である。しかし「食べられるものだから肌にも安心」とは言えないし、逆に「化粧品としての評価が薄いから危ない」とも言えない。食べ物として身近なことと、肌に塗る成分として安全性がどれだけ調べられているかは別の話である。

同じ時期に解説した「食べ物・生薬として身近な成分」と「精油」の8つを、2つの軸で並べると次のようになる。

成分食経験(読者が持ち込みやすい前提)化粧品での安全性評価
ウメ果実エキス梅干し・梅酒CIRの評価は見当たらない(2022年9月版の一覧で確認)
グレープフルーツ種子エキス果物(ただし種子は通常食べない)・「天然の防腐剤」として有名CIR評価あり(柑橘由来成分の報告書)。市販品に合成の殺菌剤が混入していた報告の論文群もある
コメヌカエキスぬか漬け・米ぬかCIR評価あり(コメ由来成分の報告書)
サンザシエキス(本成分)サンザシ(山査子)の実・菓子・生薬CIRの一覧(2022年9月版)に該当なし。別種セイヨウサンザシの評価は借りられない
チガヤ根エキス生薬「茅根(ボウコン)」CIRの評価は見当たらない(2022年9月版の一覧で確認)
黒砂糖エキス黒砂糖・黒糖INCI名がなく、海外の評価の土俵に乗らない。化粧品の配合目的も空欄
ティーツリー葉油食経験なし(口から摂るのは有害とされる)CIR 2021年の最終報告(感作を起こさない処方の条件付きで安全)・EUの科学委員会の意見・酸化物による感作の論点があり、評価が最も厚い
マンダリンオレンジ果皮油果皮は食品の香料・陳皮CIR 2014年の最終報告(柑橘果皮油群・フロクマリン条件付き)

(本成分の行の出典: Cosmetic-Info.jp / CIR Quick Reference Table。他の行は各成分の記事を参照)

表の右の列が厚い成分ほど「安全」、薄い成分ほど「危険」という読み方はできない。ティーツリー葉油は食経験がないにもかかわらず評価が厚く、その評価の中で感作の条件が議論されている。サンザシエキスは食経験・生薬としての歴史がある一方、化粧品成分としての公的な評価は本稿の確認範囲では見当たらない。どちらも、使ってみて肌に合わなければやめる、という基本は変わらない。

3.3 配合量と表示から読めないこと

INCI名は対応付けられているが、CIRの評価がないため、米国の使用濃度の調査値を本成分の値として引くことはできない。

成分表示から読めないことは、次の3つである。

  • 配合量: 配合例はどちらも化粧品で、1%以下の成分は順不同で書ける。成分表の中〜後半にあることから「多くない側」とは言えるが、何%かは分からない
  • 原料の組成: 抽出に使った溶媒(BG・エタノールなど)や、エキス分の濃さは名前からは分からない
  • 単独原料か混合原料か: 果実系の成分が複数並んでいても、1つの混合原料から来たのか別々に加えられたのかは表示から判定できない(§1.4)

赤み・かゆみ・しみる感じが出たら使用を中止する。植物エキスに限らず、初めて使う化粧品が気になる場合は、腕の内側などで少量試してから使うと安心である。

4. 相性の良い・悪い成分

4.1 併用される成分

配合例の2品では、サンザシエキスは処方の骨格の上に、ほかの果実系の成分と並んで入っている。

洗顔料(クワトロボタニコ): ミリスチン酸・ステアリン酸・パルミチン酸と水酸化Kによる石けん系の洗浄が骨格。植物エキスとしてオウゴン根エキス・ビルベリー葉エキス・チガヤ根エキス・チャ葉エキスが並び、そのあとに果実系の7成分、さらにベルガモット果実油・ローズマリー油・マンダリンオレンジ果皮油の精油が続く。

化粧水(トゥヴェール): グリシルグリシン・アゼロイルジグリシンK・BG・アミノ酸類などが骨格で、果汁3種(ライム・オレンジ・レモン)に続いてサンザシエキス・ナツメ果実エキス・グレープフルーツ果実エキス・リンゴ果実エキスが並ぶ。

どちらでも、本成分が処方の主役として置かれているわけではない。

4.2 注意したい組合せ

サンザシエキスについて、化粧品処方で避けるべき特定の組み合わせは、本稿で確認した資料では報告されていない。実用上の注意は次のとおり。

  • 柑橘の精油と一緒に入っている処方: 配合例の洗顔料には柑橘の精油(ベルガモット果実油・マンダリンオレンジ果皮油)も入っている。柑橘の果皮の精油は光毒性の論点を持つ成分があり、気になる場合は本成分ではなく精油側を確認する(詳しくはベルガモット果実油・マンダリンオレンジ果皮油の記事)。洗顔料は洗い流す製品である
  • 植物エキスの数で選ぶこと: 何種類並んでいても、それぞれの量や中身は表示から読めない
  • 「サンザシ」の名前だけで同じ成分と思うこと: セイヨウサンザシ・オオサンザシの名前の成分は別物である(§1.2)

4.3 類似成分

取り違えやすい名前と、同じ時期に解説した「食べ物・生薬由来」の成分を並べる。

成分植物・部位本成分との関係
サンザシエキス(本成分)サンザシ C. cuneata の果実—
セイヨウサンザシ果実エキスセイヨウサンザシ C. monogyna の果実同じ属の別種。別の表示名称・別のINCI名
オオサンザシ果実エキスオオサンザシ C. pinnatifida の果実同じ属の別種。日本薬局方の生薬サンザシのもう一方の基原(変種)と同じ種
ナツメ果実エキスナツメの果実生薬(大棗)として知られる果実のエキス。配合例2品で本成分と一緒に入る
リンゴ果実エキスリンゴの果実同じバラ科の果実のエキス。配合例2品で本成分と一緒に入る
プルーン分解物セイヨウスモモの果実同じバラ科の果実由来の成分
ウメ果実エキスウメの果実同じバラ科・食べ物として身近な果実のエキス(同時期に解説)
チガヤ根エキスチガヤの根生薬(茅根)として知られる植物のエキス(同時期に解説)

(出典: Cosmetic-Info.jp 化粧品表示名称 / 日本薬局方名称データベース)

同じ時期に解説したほかの成分は、グレープフルーツ種子エキス・コメヌカエキス・黒砂糖エキス・ティーツリー葉油・マンダリンオレンジ果皮油である(§3.2の表)。

5. 使い方

5.1 推奨される使用シーン

サンザシエキスの有無で商品を選ぶ場面は、実際にはあまりない。配合例は洗顔料と化粧水で、どちらも本成分は処方の一部として入っている。

洗顔料: 見るのは洗浄成分の種類(配合例は石けん系)と、洗い上がりのつっぱり感、自分の皮脂量との相性である。本成分は洗い流される製品に入っている。

化粧水: 見るのは保湿・整肌の骨格と使い心地である。果実系のエキスが多く並ぶ処方でも、それぞれの量は表示から分からない。

使い方は、それぞれの商品の標準的な使い方に従えばよい。本成分のために特別な使い方をする必要はない。

5.2 期待できないこと・避けるべき使い方

  • 生薬としての働き: 生薬サンザシの用途は口から摂る場合の話で、化粧品に配合された本成分の働きとしては読めない
  • 皮脂・毛穴・ニキビへの働き: 配合目的は皮膚コンディショニング剤(未分類)で、そうした働きを期待する根拠は登録から読めない
  • セイヨウサンザシの情報で判断すること: 別種の研究や健康食品の情報は、本成分の根拠にならない

避けたいのは、「食べられる実だから」と、市販のドライフルーツや生薬を刻んだりつぶしたりして直接肌に塗ることである。化粧品原料は抽出・製造の管理を経たもので、食品や生薬をそのまま肌に使う話とは別である。

6. メンズ実用視点まとめ

成分表示でサンザシエキスを見かけたら、次の3点で読むと整理しやすい。

  1. 植物の種を確かめる: 「サンザシエキス」は C. cuneata の果実のエキス。「セイヨウサンザシ〇〇」「オオサンザシ果実エキス」は別種の別成分
  2. 生薬の名前に引っぱられない: 生薬サンザシ(山査子)の基原の1つと同じ植物だが、生薬としての用途は口から摂る場合の話。化粧品の配合目的は皮膚コンディショニング剤(未分類)
  3. 食経験と評価の厚さは別: 食べ物・生薬として身近でも、化粧品成分としての公的な評価は本稿の確認範囲では見当たらない。それは危険を意味するものでもない

皮脂やテカリが気になって洗顔料や化粧水を選ぶなら、洗浄成分や保湿の骨格が先で、サンザシエキスは果実系の植物エキスの1つとして落ち着いて読めばよい。

7. よくある質問(FAQ)

Q1. サンザシエキスはどんな成分ですか?

バラ科のサンザシ(Crataegus cuneata)の果実のエキスとして登録された名前です(出典: Cosmetic-Info.jp)。化粧品でも医薬部外品でも同じ「サンザシエキス」の名前で表示されます。化粧品での配合目的は皮膚コンディショニング剤(未分類)で、有効成分ではなく添加成分として配合されます。

Q2. 「セイヨウサンザシ果実エキス」と同じものですか?

違います。セイヨウサンザシ果実エキスは、セイヨウサンザシ(Crataegus monogyna)の果実のエキスで、INCI名も Crataegus Monogyna Fruit Extract と別です(出典: Cosmetic-Info.jp)。どちらも「サンザシの果実のエキス」ですが、植物の種が違う別の成分として登録されています。

Q3. 生薬の「山査子」と同じ植物ですか?

日本薬局方の生薬サンザシ(山査子)の基原は、サンザシ(C. cuneata)又はオオミサンザシ(C. pinnatifida var. major)の偽果です(出典: 日本薬局方名称データベース)。化粧品の「サンザシエキス」の植物はこのうちの C. cuneata と同じです。ただし生薬としての用途は口から摂る場合の話で、化粧品の働きの根拠にはなりません。

Q4. 食べられる実のエキスなら、肌にも安全ですか?

食べ物として身近なことと、肌に塗る成分として安全性がどれだけ調べられているかは別の話です。米国CIRの評価結果の一覧(2022年9月版)に本成分は見当たらず、本成分名での刺激性・感作性の試験も本稿の確認範囲では見つかりませんでした。これは危険という意味ではありませんが、「食べられるから安心」とも言えません。肌に合わないと感じたら使用を中止してください。

8. まとめ

サンザシエキスは、サンザシ(Crataegus cuneata)の果実のエキスとして、化粧品と医薬部外品の両方に同じ名前で登録されている(出典: Cosmetic-Info.jp)。原料製造元も化粧品名・部外品名を同じ「サンザシエキス」で並べており、名前が割れない成分である。

注意したいのは、化粧品の成分表に「セイヨウサンザシ」(C. monogyna)や「オオサンザシ」(C. pinnatifida)の名前の別成分が並存することと、海外で「hawthorn」と呼ばれる情報が本成分と同じ種とは限らないことである。生薬サンザシ(山査子)の基原の1つと同じ植物だが、生薬としての用途を化粧品の働きに持ち込むことはできない。

化粧品での配合目的は皮膚コンディショニング剤(未分類)で、米国CIRの評価は本稿の確認範囲では見当たらない。食べ物・生薬として身近なことと、化粧品成分としての評価の厚さは別の話で、評価が薄いことは危険を意味しない。配合例の洗顔料・化粧水では成分表の中〜後半に果実系のエキスと並んでおり、商品は処方の骨格で選び、本成分は植物エキスの1つとして読むのが実用的な理解になる。

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