コメヌカエキスは、イネ(Oryza sativa)の米ぬか(コメヌカ)から取り出したエキスとして登録された名前である(出典: Cosmetic-Info.jp)。化粧品でも医薬部外品でも同じ「コメヌカエキス」の文字列で表示され、部外品では「米ヌカエキス」と略して書くこともできる。

ぬか漬けや米ぬかは食べ物として身近だが、化粧品の成分表には「コメ」「コメヌカ」を含む名前がとても多い。油のコメヌカ油、発酵させたコメ発酵液、医薬部外品の有効成分ライスパワーNo.6は、どれも本成分とは別の成分である。本記事では、この「コメ由来」の名前の見分け方と、化粧品表示名称で登録されている配合目的(キレート剤・皮膚コンディショニング剤)の読み方、そして「食べられる」ことと「化粧品成分として安全性を評価された」ことの違いを整理する。

1. コメヌカエキスの基本

1.1 何の成分か

化粧品表示名称「コメヌカエキス」(成分番号551254)の定義は「本品は、コメヌカのエキスである。」で、INCI名は Oryza Sativa (Rice) Bran Extract である(出典: Cosmetic-Info.jp)。コメヌカそのものは、別の表示名称「コメヌカ」の定義で「イネ Oryza sativa の果皮、種皮、胚芽、糊粉層などの粉末」とされている。玄米を精米するときに削り取られる外側の部分で、これを水などに浸して成分を取り出したものがエキスにあたる。

化粧品表示名称の定義は「エキス」とだけ書き、どの溶媒で抽出するかは指定していない。登録されている配合目的は「キレート剤」「皮膚コンディショニング剤(未分類)」の2つで、規制分類欄とCAS番号欄は空欄である(出典: Cosmetic-Info.jp、2026年9月確認)。同じページでは、本成分を配合した市販の化粧品が1,230件登録されている。

CIRは、コメヌカエキスについて「タンパク質・脂質・炭水化物・灰分(ミネラル)・水からなり、パルミチン酸・ステアリン酸・オレイン酸・リノール酸などの脂肪酸や、トコフェロール(ビタミンE)などの抗酸化成分を含む」と記載している(出典: CIR Amended Final Report 2006 抄録)。ただし実際の原料の中身は、抽出に使う溶媒や米の品種、原料の作り方で変わる。成分表の「コメヌカエキス」という名前から、何がどれだけ入っているかは分からない。

規制上は、有効成分ではない添加成分に分類される。厚生労働省の『いわゆる薬用化粧品中の有効成分リスト』には「コメヌカ」の語で掲載が見当たらない。同リストは有効成分の規格と分量の前例を集めた文書で、載っていないことは有効成分になれない根拠ではないが、原料製造元の丸善製薬の一覧でも本成分の原料に「主剤」の表記は見当たらず、配合例の2品もどちらも化粧品である。

1.2 化粧品名と部外品名の対応

医薬部外品の添加物にも、同じ文字列の「コメヌカエキス」(規格コード51・成分コード103601・英名 Rice Bran Extract)がある。本質(定義)は「コメヌカから、水、1,3-ブチレングリコール又はその混液にて抽出して得られるエキス」で、簡略名として「米ヌカエキス」が認められている(出典: Cosmetic-Info.jp 部外品添加物)。

2つの定義を並べると、次のようになる。

化粧品表示名称医薬部外品の添加物
名前コメヌカエキスコメヌカエキス(簡略名 米ヌカエキス)
定義コメヌカのエキスコメヌカから水・BG又はその混液で抽出したエキス
溶媒の指定なし水・BG(1,3-ブチレングリコール)
英語の名前Oryza Sativa (Rice) Bran Extract(INCI名)Rice Bran Extract(英名)

(出典: Cosmetic-Info.jp 化粧品表示名称・部外品添加物)

部外品の定義は、取り出し方まで決めている分だけ狭い。水やBGで抽出したコメヌカのエキスは化粧品の定義「コメヌカのエキス」も満たすので、部外品の原料は化粧品の名前の内側に入る関係になる。本記事の成分データでは、医薬部外品表示名称として「コメヌカエキス」を設定している。

原料製造元の表記もこの対応と合う。丸善製薬の化粧品原料一覧では、「コメヌカ抽出液BG」の化粧品表示名称を「コメヌカエキス、BG、水」、医薬部外品表示名称を「コメヌカエキス」(簡略名 米ヌカエキス)と並べている(出典: 丸善製薬 化粧品原料 製品一覧、2026年9月確認)。同じ一覧には紫黒米のぬかを使った「紫玄米ヌカエキスBG」もあり、こちらも化粧品・部外品とも同じ名前で表示される。米の品種が違っても、成分表の名前は同じ「コメヌカエキス」になるということである。

Cosmetic-Info.jp の原料データベースでは、本成分を含む原料が11件登録されている(2026年9月確認)。国内外の複数の製造元が扱っており、商品の成分表からは、どの製造元のどの原料が使われているかは分からない。

1.3 「コメ由来」の成分が多くて混同されやすい

化粧品表示名称を「コメヌカ」で部分一致検索すると、74の名前が出てくる(出典: Cosmetic-Info.jp、2026年9月確認)。そのほとんどは、コメヌカを他の植物と一緒に発酵させた「〜発酵液」や、コメヌカ油から作った誘導体である。成分表で見かけやすいものに絞ると、次のように取り出し方と登録された配合目的が違う。

表示名称定義(取り出し方)配合目的(化粧品)
コメヌカエキス(本成分)コメヌカのエキスキレート剤・皮膚コンディショニング剤(未分類)
コメヌカ果皮・種皮・胚芽・糊粉層などの粉末研磨・スクラブ剤、増量剤
コメヌカ油コメヌカから得られる脂肪油閉塞剤、エモリエント剤
コメヌカ油エキスコメヌカ油のエキス帯電防止剤、皮膚コンディショニング剤(未分類)、閉塞剤
コメヌカ水コメヌカを水蒸気蒸留して得られる液香料
加水分解コメヌカエキスコメヌカの水抽出物をタンパク分解酵素で処理したもの抗アクネ剤、皮膚ブリーチ剤、皮膚コンディショニング剤(未分類)
脱脂コメヌカエキスコメヌカの脱脂物のエキス酸化防止剤、消臭剤、皮膚ブリーチ剤

(出典: Cosmetic-Info.jp 化粧品表示名称。配合目的は表示名称データベースでの分類で、日本で効能として表示できる内容ではない)

同じコメヌカから作っても、油を搾れば「コメヌカ油」、エキスにすれば「コメヌカエキス」、酵素で分解すれば「加水分解コメヌカエキス」と、名前も登録された配合目的も変わる。成分表で「コメヌカ」の文字を見つけても、どの成分かは名前の全体で見分ける必要がある。なお、なぜそれぞれがその配合目的で登録されたかは、表示名称データベースの記載からは読み取れない。

このほか、コメ(米粒)やコメ胚芽から作る成分も別に登録されている。本サイトで解説している主なものは次のとおり。

  • コメ胚芽油: 胚芽から得られる油
  • コメ発酵液: 米を発酵させた液
  • ライスパワーNo.6: 白米を発酵・熟成して得られる抽出物で、医薬部外品の有効成分(部外品での名前は「米エキスNo.6」)
  • スフィンゴ糖脂質: 米ぬか由来の原料が代表的な脂質の一種(化粧品表示名称には「コメヌカスフィンゴ糖脂質」も別に登録されている)

とくにライスパワーNo.6は、「米由来」「エキス」という言葉が重なるため本成分と混同されやすい。ライスパワーNo.6は皮脂分泌の抑制という承認効能を持つ有効成分として扱われ、本成分は有効成分ではない添加成分である。成分表では、医薬部外品の「有効成分」欄に書かれているかどうかで区別できる。

1.4 どんな製品に配合されるか

本サイトの商品データ(2026年9月24日時点・132商品)で本成分が見つかったのは、次の2品である。

商品種別・区分全成分中の位置
クラシエ いち髪 なめらかスムースケア シャンプーシャンプー・化粧品30成分中12番目
チャップアップ オールインワンローションオールインワン・化粧品57成分中46番目

(出典: 各商品の全成分表示。いち髪は公式頁に全成分の掲載がなく、二次ソースから転記したものを使用)

化粧品の全成分表示は配合量の多い順に書くが、配合量1%以下の成分は順不同で書いてよい。2品とも本成分は成分表の中ほどから後半にあり、配合量は多くない側と読むのが妥当なところまでである。何%入っているかは表示からは分からない。

いち髪のシャンプーでは、同じ成分表にコメ胚芽油・コメヌカ油・コメヌカエキスの3つのコメ由来成分が並ぶ。油とエキスが別々の名前で書かれているのは、§1.3のとおり別の成分だからである。表の中で近い位置に書かれていても、同じ原料から一緒に作られたものかどうかは成分表からは分からない。

1.5 メンズ視点での見方

本成分は、男性向け・女性向けを問わず、シャンプーやスキンケアの成分表に植物エキスの1つとして入っている。性別で働きが変わる成分として扱われているわけではない。

成分表で本成分を見つけたときは、「米ぬかのエキスが添え役として入っている」と読むのが実態に近い。「米ぬか=美肌」「ぬか床の知恵」といった食べ物や民間の言い伝えのイメージは、化粧品の成分としての登録(キレート剤・皮膚コンディショニング剤)とは別に考える。

2. 期待される働き・効果

2.1 登録された配合目的

化粧品表示名称での配合目的は「キレート剤」「皮膚コンディショニング剤(未分類)」の2つである(出典: Cosmetic-Info.jp)。

キレート剤は、製品の中にある金属イオン(水道水や原料に由来する鉄・銅・カルシウムなど)を抱え込み、その働きを抑える役割の分類である。金属イオンは油の酸化や色・香りの変化を進めることがあるため、化粧品では品質を保つ目的でキレート剤が使われる。代表的なものにEDTA類やフィチン酸がある。

植物エキスでキレート剤の登録を持つものは多くない。なぜコメヌカエキスがこの分類で登録されたかは、表示名称データベースの記載からは読み取れない。関連する事実として、CIRはコメヌカの成分の1つにフィチン酸を挙げており(出典: CIR Amended Final Report 2006 抄録)、フィチン酸は単独の成分として化粧品表示名称でキレート剤・剥離剤・保水剤・口腔ケア剤の配合目的を持つ(出典: Cosmetic-Info.jp)。ただし、市販のコメヌカエキスにフィチン酸がどれだけ含まれるか、それがキレート剤の登録の理由かどうかは、本稿で確認した資料からは分からない。

皮膚コンディショニング剤(未分類)は、肌の状態を整える目的の成分を広くまとめた分類で、何をどう整えるかまでは特定しない。植物エキスの多くがこの分類で登録されている。

2.2 一般的な効能範囲

化粧品に配合される本成分に言えることは、登録された配合目的の範囲、つまり製品の品質を保つ補助と、肌の状態を整える補助までである。化粧品の効能は、厚生労働省が定める56項目の範囲(肌を整える・肌にうるおいを与える など)で表現され、特定の成分が肌の悩みを治す・改善するといった表現はできない。

実際の商品では、ブランドが本成分を「保湿成分」「補修成分」などとして紹介することがある。これはその商品の中での位置づけの説明で、化粧品表示名称の配合目的とは一致しないこともある。本サイトの商品データでも、2品とも本成分の役割を「保湿(植物エキス)」として整理しているが、これは表示名称の登録そのものではない。

2.3 限界・誤解されやすい点

  • 「米ぬかで肌がきれいになる」: 米ぬかを使った洗顔やぬか袋の言い伝えは古くからあるが、化粧品に配合された本成分がそのとおりの効果を持つことを示すものではない。化粧品の配合目的の登録は、キレート剤と皮膚コンディショニング剤である
  • 「γ-オリザノールやビタミンEの効果がある」: CIRはγ-オリザノールをコメヌカの成分として、トコフェロールをコメヌカエキスの成分として記載している。γ-オリザノールは単独の成分としては『いわゆる薬用化粧品中の有効成分リスト』に名前がある(クリーム・乳液・ハンドクリーム・化粧用油の区分)が、これはγ-オリザノールという成分を有効成分として配合する場合の前例であって、コメヌカエキスという名前の成分に当てはまるものではない。エキスの中にどれだけ含まれるかも表示からは分からない
  • 「食べ物の栄養が肌に効く」: 米ぬかの栄養についての話は、食べたときの話である。肌に塗る化粧品の働きに置き換えることはできない
  • 「米ぬか由来だから自然で優しい」: 由来が身近な食べ物であることは、肌に塗ったときの刺激の起こりにくさを直接示すものではない(§3.2)

3. 安全性・注意点

3.1 公的な安全性評価の状況

米国の化粧品成分の安全性評価機関CIR(Cosmetic Ingredient Review)は、コメ由来の14成分をまとめて評価した報告書(Amended Final Report)を2006年に刊行している(出典: Int J Toxicol 2006;25 Suppl 2:91-120、PMID:17090480)。対象は、コメヌカ油・コメ胚芽油・コメヌカロウなどの油やロウ、コメヌカエキス・加水分解コメヌカエキスなどのエキス、コメデンプンなどの粉体、加水分解コメタンパクなどのタンパク質である。

抄録から読める要点は次のとおり。

  • 結論は、これらのコメ由来成分は「本報告に記載された使用の実態と濃度において、化粧品成分として安全」
  • コメヌカエキスは紫外線を吸収する成分を低濃度含むが、臨床での使用経験から、光毒性(光に当たって起こる肌の反応)は想定されないとされた
  • コメは一般にアレルギーを起こしにくいとされ、生のコメへのアレルギーは個別の症例として報告がある
  • 一部の成分の試験データを、群全体に当てはめて評価している
  • 化粧品に使われるコメ由来成分のPCB・重金属の水準は安全上の懸念とはされなかった。一方、食用のコメヌカ油で農薬の残留が報告されていたことから、残留農薬と重金属は当時報告されていた水準を超えないことを求めている

報告書の時点(使用データは2002年頃のもの)で、コメヌカエキスは6つの製品に使われていたと記載されている。現在の日本では、本成分を配合した化粧品が1,230件データベースに登録されており(出典: Cosmetic-Info.jp)、当時とは使われ方の規模が大きく違う。2006年以降にこの群の再評価の最終版が出ているかは、本稿では確認できていない。本文の記述は2006年の報告書の抄録の範囲にとどめる。

本成分名で、刺激性や感作性(アレルギーの起こしやすさ)を数値で示した試験は、本稿で確認した範囲では見当たらない。CIRの評価は、群の中の他の成分のデータも合わせて判断したものである。

3.2 「食べられる」と「塗って安全と評価された」は別の話

米ぬかは、ぬか漬けのぬか床や、昔の洗顔・入浴のぬか袋として、日本では暮らしに身近な素材である。ただし、食べ物として身近であることと、化粧品成分として肌に塗ったときの安全性がどれだけ調べられているかは、別の話である。

本成分と同じ時期に解説した8成分を、この2つの軸で並べると次のようになる。

成分食経験(読者が持ちやすい前提)化粧品成分としての安全性評価
ウメ果実エキス梅干し・梅酒CIRの評価は見当たらない(2022年9月版の一覧で確認)
グレープフルーツ種子エキス果物(ただし種子は通常食べない)・「天然の防腐剤」として有名CIRの評価あり(柑橘由来成分の報告書)。市販品に合成の殺菌剤が混入していたという報告の論文群がある
コメヌカエキス(本成分)ぬか漬け・米ぬかCIRの評価あり(コメ由来成分の報告書・2006年・「安全」)
サンザシエキスサンザシ(山楂子)の実・菓子・生薬CIRの評価は見当たらない(2022年9月版の一覧で確認・別種セイヨウサンザシの評価は借りない)
チガヤ根エキス生薬「茅根(ボウコン)」CIRの評価は見当たらない(2022年9月版の一覧で確認)
黒砂糖エキス黒砂糖・黒糖INCI名がなく、海外の評価の土俵に乗らない
ティーツリー葉油食経験なし(飲み込むと有害とされる)CIRの最終報告・EUの科学委員会の意見・酸化物による感作の論点があり、評価が最も厚い
マンダリンオレンジ果皮油果皮は食品の香料・陳皮CIRの最終報告あり(柑橘果皮油群・フロクマリンの条件付き)

コメヌカエキスは、食べ物として身近で、かつ化粧品成分としてもCIRの評価の対象になっている側にある。ただし、その評価は2006年の報告書で、コメ由来の成分をまとめて扱ったものである。逆に、評価が薄い成分が危険という意味でも、食べられる成分なら塗っても安心という意味でもない。成分ごとに、何が調べられていて何が調べられていないかを見ることが大切である。

3.3 配合量と表示から読めないこと

成分表の「コメヌカエキス」から読み取れないことは、次のとおりである。

  • 配合量: 化粧品の全成分表示は配合量1%以下の成分を順不同で書けるため、位置から何%入っているかは分からない
  • 抽出の仕方: 化粧品の定義は溶媒を指定していない。水・BG・エタノールなど、どれで抽出した原料かは名前からは分からない(抽出に使ったBGなどは、別の成分として成分表に書かれる)
  • 米の品種: §1.2のとおり、紫黒米のぬかでも同じ名前で表示される
  • 原料の製造元: 本成分を含む原料は複数の製造元から出ており、どの原料が使われているかは表示から判断できない

コメへのアレルギーがわかっている人は、使う前に製品の成分表を確認し、気になる場合は腕の内側などで試してから使うのが無難である。赤み・かゆみ・しみる感じが出たら使用を中止する。

4. 相性の良い・悪い成分

4.1 併用される成分

配合例の2品では、本成分は洗浄成分や保湿の骨格の上に、ほかの植物エキスと並んで入っている。

シャンプー(いち髪): アミノ酸系の洗浄成分(ラウロイルサルコシンTEA・ラウロイルメチルアラニンNa)と両性の洗浄成分が骨格で、コメ胚芽油・コメヌカ油・サクラ葉エキス・ツバキ種子エキスなどの植物由来成分が並ぶ。後半にはクエン酸・BG・EDTA類(EDTA-2Na)が続く。

オールインワンローション(チャップアップ): BG・グリセリンが保湿の骨格で、セラミドNPなどのセラミド類、ビタミンC誘導体、トコフェロールなどが並ぶ。本成分は後半の植物エキス群(トウキンセンカ花エキス・オリーブ葉エキス・チャ葉エキスなど)の1つである。

どちらの商品にも、キレート剤としてEDTA-2Naが別に配合されている。本成分がキレート剤の配合目的で登録されていても、製品の品質保持を本成分だけに任せているわけではないことが成分表から分かる。

4.2 注意したい組合せ

本成分について、化粧品処方で避けるべき特定の組み合わせは、本稿で確認した資料では報告されていない。実用上の注意は次のとおり。

  • 「コメ由来成分がたくさん入っている=効果が高い」と読むこと: いち髪のようにコメ由来の成分が3つ並ぶ商品もあるが、それぞれ別の成分で、量も働きも名前からは読めない
  • 有効成分と混同すること: 医薬部外品で米由来の有効成分(ライスパワーNo.6など)を探しているなら、「有効成分」欄に書かれているかどうかを見る。コメヌカエキスは「その他の成分」の側に入る成分である
  • 植物エキスの数で選ぶこと: 何種類並んでいても、それぞれの量や中身は表示から読めない

4.3 類似成分

本成分と取り違えやすいコメ由来の成分を並べる。

成分何から・どう作るか区分
コメヌカエキス(本成分)米ぬかのエキス添加成分
コメヌカ油米ぬかから得られる油添加成分
コメ胚芽油米の胚芽から得られる油添加成分
コメ発酵液米を発酵させた液添加成分
ライスパワーNo.6白米を発酵・熟成させた抽出物医薬部外品の有効成分
スフィンゴ糖脂質米ぬか由来が代表的な脂質添加成分
フィチン酸米ぬかなどに含まれるイノシトールのリン酸エステル添加成分(キレート剤など)

(出典: 各成分の解説記事 / Cosmetic-Info.jp 化粧品表示名称)

同じ時期に「食べ物・生薬として身近な植物」を軸に解説した成分は、ウメ果実エキス・グレープフルーツ種子エキス・サンザシエキス・チガヤ根エキス・黒砂糖エキス・ティーツリー葉油・マンダリンオレンジ果皮油の7本である。食経験と安全性評価の厚さの比較は§3.2の表を参照。

5. 使い方

5.1 推奨される使用シーン

本成分は単独で使うものではなく、配合された製品をその製品の用途どおりに使う。

  • シャンプー: 洗い流す製品で、本成分は洗浄成分や他の植物エキスと一緒に頭皮・髪に触れてから流れる。製品の使い方(適量を泡立てて洗い、よくすすぐ)に従う
  • 化粧水・オールインワン: 肌に残す製品で、本成分は保湿の骨格の中の添え役の1つとして入る。製品の使用量・使用順に従う

5.2 期待できないこと・避けるべき使い方

  • 本成分の配合を理由に、シミ・ニキビ・肌荒れなど特定の悩みが改善することを期待しない。化粧品の成分として登録されているのは、キレート剤と皮膚コンディショニング剤である
  • 家庭で米ぬかを直接肌に使う方法と、化粧品に配合された本成分を同じものとして考えない。化粧品原料は、決まった方法で抽出・調整された原料である
  • コメへのアレルギーがある人は、「化粧品だから少量で大丈夫」と自己判断しない。気になる場合は皮膚科医に相談する

6. メンズ実用視点まとめ

  • コメヌカエキスは米ぬかのエキスで、化粧品での登録はキレート剤・皮膚コンディショニング剤。性別で働きが変わる成分ではない
  • 成分表では中ほどから後半に入ることが多く、植物エキスの1つとして添え役で読むのが実態に近い
  • 「コメ」を含む成分は多い。油(コメヌカ油)、発酵液、有効成分(ライスパワーNo.6)とは別物
  • 化粧品成分としてはCIRの2006年の報告書でコメ由来成分群として「安全」と結論されている。食べ物として身近なことは、それとは別の話
  • 商品選びは、洗浄成分・保湿の骨格・有効成分(医薬部外品の場合)を先に見て、本成分は最後に確認する程度で十分

7. よくある質問(FAQ)

Q1. コメヌカエキスはどんな成分ですか?

米ぬか(イネの果皮・種皮・胚芽・糊粉層など)から取り出したエキスです(出典: Cosmetic-Info.jp)。化粧品表示名称では、配合目的としてキレート剤と皮膚コンディショニング剤(未分類)が登録されています。医薬部外品でも同じ「コメヌカエキス」の名前で、「米ヌカエキス」と略して書かれることもあります。

Q2. 「コメヌカ油」と同じものですか?

別の成分です。コメヌカ油は米ぬかから得られる油で、配合目的は閉塞剤・エモリエント剤として登録されています。コメヌカエキスは米ぬかのエキスで、配合目的はキレート剤・皮膚コンディショニング剤です(出典: Cosmetic-Info.jp)。同じ商品の成分表に両方が並ぶこともあります。

Q3. 「ライスパワーNo.6」とはどう違いますか?

ライスパワーNo.6は白米を発酵・熟成させて得られる抽出物で、医薬部外品の有効成分として扱われます(部外品での名前は「米エキスNo.6」)。コメヌカエキスは米ぬかのエキスで、有効成分ではない添加成分です。医薬部外品の成分表では、有効成分は「有効成分」欄に分けて書かれるので、そこで見分けられます。

Q4. 米ぬかは食べられるので、肌にも安全ですか?

食べられることは、肌に塗ったときの安全性を直接示すものではありません。化粧品成分としては、CIRが2006年にコメ由来の14成分をまとめて評価し、記載された使用の実態と濃度において安全と結論しています(出典: CIR Amended Final Report 2006)。コメへのアレルギーがわかっている人は、使用前に成分表を確認してください。

Q5. キレート剤とは何ですか? コメヌカエキスが入っていれば、EDTAなどは不要ですか?

キレート剤は、製品中の金属イオンを抱え込んで、酸化や変色などの品質の変化を抑える役割の分類です。配合例の2品には、本成分とは別にEDTA-2Naが配合されています。本成分がキレート剤として登録されている理由や、その働きの強さは、表示名称データベースの記載からは読み取れません。

8. まとめ

コメヌカエキスは、米ぬかのエキスとして、化粧品と医薬部外品の両方に同じ名前で登録されている(出典: Cosmetic-Info.jp)。化粧品表示名称での配合目的はキレート剤と皮膚コンディショニング剤(未分類)で、部外品では水・BG又はその混液で抽出したものと取り出し方まで定められている。原料製造元は、品種の違う米ぬかの原料も同じ「コメヌカエキス」の名前で表示している。

「コメ」「コメヌカ」を含む化粧品表示名称は数多く、コメヌカ油・加水分解コメヌカエキス・脱脂コメヌカエキス・発酵液などはそれぞれ別の成分である。医薬部外品の有効成分ライスパワーNo.6とも別物で、本成分は有効成分ではない添加成分にあたる。

安全性は、CIRが2006年にコメ由来成分群として「安全」と結論している。ただし、食べ物として身近であることと、化粧品成分としての評価は別に行われるものである。成分表では、中ほどから後半に入る添え役の植物エキスとして読むのが実態に近い。

関連深掘り記事