PEG-30水添ヒマシ油は、INCI名 PEG-30 Hydrogenated Castor Oil の非イオン界面活性剤で、化粧品表示名称の定義は「水添ヒマシ油のポリエチレングリコールエーテルで、酸化エチレンの平均付加モル数は30」にあたる(出典: Cosmetic-Info.jp)。同じ水添ヒマシ油に付ける酸化エチレン(EO)の数を変えた兄弟が20種類以上あり、数字が大きいほど水になじむ性質(親水性)が強くなる。30はその中で、油寄りの乳化剤であるPEG-20と、香料を水に溶かし込む可溶化剤として知られるPEG-40の間に立つグレードで、製造元の公表HLBは11.0。化粧品表示名称の配合目的は「香料、乳化剤」で、可溶化剤は登録されていない。DappNotes 商品マスターではシャンプー1製品に入り、同じ製品にPEG-40水添ヒマシ油も並んでいた。本記事では、EO数のはしごの中でのPEG-30の位置、兄弟との併用の意味、CIRの評価を順に整理する。
1. PEG-30水添ヒマシ油の基本
1.1 何の成分か
PEG-30水添ヒマシ油の出発点は、トウゴマの種子から搾るヒマシ油にある。ヒマシ油の主成分は、リシノール酸という水酸基(-OH)を持つ脂肪酸のトリグリセリドで、これに水素を添加して二重結合をなくしたものが水添ヒマシ油(硬化ヒマシ油)になる。この水添ヒマシ油に酸化エチレンを付加重合させ、平均30個分の親水性の鎖を付けたものが本成分にあたる(出典: Cosmetic-Info.jp / CIR 2014)。
CIRの2014年報告書は、PEG化ヒマシ油の実体を「エーテル化とエステル化の生成物の混合物」と説明している(出典: CIR 2014)。酸化エチレンはグリセリドの水酸基にエーテルとして付くだけでなく、グリセリンと脂肪酸の間に割り込む形(エステル交換)でも入り、さらに油に付かずに単独で残るPEGも含まれる。つまり「30」は1分子ずつ正確に30個付いているという意味ではなく、平均値にあたる。これはPEG-30に限らず、PEG化成分に共通する性質になる。
名前の数字が何を表すかは、同じ「PEG」でも母体によって読み方が変わる。単体のPEG(PEG-8など)では数字がEOの重合度そのもので、医薬部外品では平均分子量で呼び替えられる(PEG-8=ポリエチレングリコール400)。水添ヒマシ油に付いた本成分では、数字は「母体1分子あたりに付いたEOの平均モル数」を示す。数字が同じ30でも、PEG-30フィトステロールは母体が植物ステロールの別成分で、性質も表示名称も独立している。
化粧品表示名称DBで「水添ヒマシ油」を引くと、PEG-n水添ヒマシ油はEO2〜200まで20種類以上が別の名称として登録されている(出典: Cosmetic-Info.jp)。CAS番号 61788-85-0 はEO数を区別しない generic 番号で、兄弟成分と共有される。
原料の形状は製造元の資料で表現が分かれる。日本エマルジョンの EMALEX HC-30 は「黄色軟ペースト状」、日光ケミカルズの NIKKOL HCO-30 は「無色〜微黄色の粘性液体」と説明されている(出典: Cosmetic-Info.jp 原料DB)。同じ表示名称でも、原料ごとに外観の書き方は一致しない。
1.2 どんな製品に配合されるか
製造元の説明では、EMALEX HC-30 は「クリーム・乳液・ヘアシャンプー等の乳化剤、増粘剤、改質剤」、NIKKOL HCO-30 は「親水性乳化剤」とされる(出典: Cosmetic-Info.jp 原料DB)。どちらも可溶化剤を前面に出していない点が、PEG-40やPEG-60の説明との違いにあたる。
使用実績は兄弟に比べてかなり少ない。CIRの2014年報告書が引く米FDAへの届出(2012年)では、本成分は3件(リーブオン1・リンスオフ2)で、同じ表のPEG-40水添ヒマシ油の2,107件とは桁が違う(出典: CIR 2014)。1997年時点でも5件だった。同じ表でPEG-60水添ヒマシ油は349件、PEG-25水添ヒマシ油は39件、PEG-20水添ヒマシ油は5件で、使用実績から見るとPEG化水添ヒマシ油の主流はPEG-40・PEG-60、PEG-30は脇役のグレードにあたる。
DappNotes 商品マスター(2026年9月時点)でも、本成分を含むのは P053(シャンプー)の1製品だけだった。53成分中38位に「PEG-30水添ヒマシ油」、その後に「PPG-4セテス-20」「PEG-40水添ヒマシ油」が並ぶ。全成分表示は1%以下の成分を順不同で書けるため、この順位から配合量や、3成分がどういう比率で入っているかは読み取れない。
1.3 メンズ視点での見方
メンズのシャンプー選びで成分表を見る時、本成分は「洗浄の主役」でも「頭皮ケアの有効成分」でもなく、後半に並ぶ乳化の部品として読むのが実態に合う。P053 の洗浄の中心は表示の上位にあるココイルメチルタウリンNaなどの洗浄成分で、本成分はホホバ種子油や香料のような油性の成分を液の中に均一に保つ側の成分と考えられる。ただし、同じ製品に乳化・可溶化の成分が複数入っているため、どの油分をどの成分が受け持っているかは表示からは判定できない。
「PEG」という表示を気にする人もいるが、PEG-30水添ヒマシ油は配合量の少ない裏方で、名前の数字も濃度や刺激の強さではなく、EOの付加数を表すだけにあたる。製品を選ぶ判断材料としては、洗浄成分の組み方や香料の有無のほうが、使い心地や頭皮との相性に直結しやすい。
2. 期待される働き・効果
2.1 メカニズム
界面活性剤は、水になじむ部分と油になじむ部分を1つの分子に持つ。本成分では、水添ヒマシ油由来の脂肪酸・グリセリド部分が油になじむ側、付加した30個分のEO鎖が水になじむ側にあたる。電荷を持たない非イオン型は、一般に陰イオン型の洗浄成分や陽イオン型のコンディショニング成分と同じ液に入れても電気的に結合しにくく、シャンプーのように電荷の異なる成分が混在する処方にも組み込まれている。
働き方は、同じ分子でも「どれだけ油を抱えるか」で2つに分かれる。
- 乳化: 比較的多めの油を、水の中に小さな粒として分散させる。粒は光を散らすので、液は白く濁った乳液・クリーム状になる。水が外側になる形を水中油型(O/W)と呼ぶ
- 可溶化: ごく少量の油(香料・精油など)を、界面活性剤の集合体(ミセル)の内側に取り込み、見た目は透明なまま水に溶けたように見せる
どちらに向くかの目安として使われるのがHLB(親水親油バランス)で、0〜20の数値が大きいほど水寄りになる。HLBを提唱したGriffinの1949年の論文は、8〜18をO/W乳化剤、15〜18を可溶化剤の帯として示している(出典: Griffin 1949)。本成分の公表HLBは、日本エマルジョン・日光ケミカルズの2社とも11.0で(出典: Cosmetic-Info.jp 原料DB)、O/W乳化剤の帯の中ほど、可溶化剤の帯より手前に位置する。
ただし、この帯は成分選びの目安であって、境界ではっきり性質が切り替わるものではない。HLBは油の種類や他の界面活性剤との組み合わせで最適値が動き、製造元が異なれば同じEO数でも公表値が違うことがある。
2.2 EO数のはしごの中での位置
同じ水添ヒマシ油にEOを何個付けるかで、兄弟成分の性格は段階的に変わる。日本エマルジョンが EMALEX HC シリーズについて公表しているHLBと、化粧品表示名称DBの配合目的を並べると、次のようになる(出典: 日本エマルジョン / Cosmetic-Info.jp)。
| EO数 | 公表HLB(EMALEX HC) | jcln の配合目的 |
|---|---|---|
| 20 | 9 | 香料・乳化剤 |
| 30(本成分) | 11 | 香料・乳化剤 |
| 40 | 12 | 香料・乳化剤・可溶化剤 |
| 50 | 13 | 香料・洗浄剤・可溶化剤 |
| 60 | 14 | 香料・洗浄剤・可溶化剤 |
| 100 | 15 | 香料・洗浄剤・可溶化剤 |
EOが増えるにつれてHLBが上がる並びは、界面活性剤の一般的な性質どおりにあたる。一方、配合目的の登録は、30までが「乳化剤」、40で「乳化剤+可溶化剤」、50以上で「洗浄剤+可溶化剤」と切り替わっている。なぜその並びで登録されているかは表示名称DBの記載からは読み取れず、HLBの数値だけで配合目的が決まるわけでもない。実際、HLB 12〜14 のPEG-40・PEG-60 が可溶化剤として広く使われているのは、Griffin の目安(15〜18)よりも低い値で可溶化が成り立っている例になる。
それでも、この表から読み取れる事実として、本成分はEO数のはしごの中で「乳化剤としてだけ登録される最後の段」にあたる。PEG-20より親水寄りでO/W乳化に使いやすく、PEG-40ほどは可溶化剤として位置づけられていない。共有の横串で「乳化と可溶化の境目」と呼ぶのは、この位置のことになる。
PEG化成分全体の中で見ると、本成分は「水添ヒマシ油に付けた系統」に属する。単体のPEGは鎖の長さで保湿剤から増粘剤まで役割が変わり、水添ヒマシ油系はEO数で乳化剤から可溶化剤へと役割が移る。同じ「PEG」の接頭辞でも、母体と数字で別の成分として読む必要がある。
| 成分 | 母体 | EO 数/分子量の目安 | 主な役割 |
|---|---|---|---|
| PEG-8 | 単体 | 8/約400 | 保湿・溶剤 |
| PEG-20 | 単体 | 20/約1000 | 保湿・基剤 |
| PEG-32 | 単体 | 32/約1500 | 保湿・基剤・結合 |
| PEG-20水添ヒマシ油 | 水添ヒマシ油 | 20(公表HLB 9) | 乳化 |
| PEG-30水添ヒマシ油(本成分) | 水添ヒマシ油 | 30(公表HLB 11) | 乳化(jcln に可溶化剤の登録なし) |
| PEG-40水添ヒマシ油 | 水添ヒマシ油 | 40(公表HLB 12) | 可溶化 |
| PEG-50水添ヒマシ油 | 水添ヒマシ油 | 50(公表HLB 13) | 可溶化 |
| PEG-60水添ヒマシ油 | 水添ヒマシ油 | 60(公表HLB 14) | 可溶化 |
| PEG-100水添ヒマシ油 | 水添ヒマシ油 | 100(公表HLB 15) | 可溶化・高親水 |
| PCAイソステアリン酸PEG-40水添ヒマシ油 | PEG-40水添ヒマシ油のエステル | 40 | 可溶化・皮膚コンディショニング |
(HLBは日本エマルジョン EMALEX HC シリーズの公表値。製造元により値は異なりうる)
2.3 限界・誤解されやすい点
1点目は、「数字が大きいほど高級・強力」という読み方にある。EO数は親水性の段階を表すだけで、30は40や60の下位互換ではない。油を多めに抱えるO/W乳化にはEOが少なめのグレード、透明な化粧水に香料を溶かすにはEOが多めのグレード、というように、狙う剤型で向き不向きが変わる。
2点目は、配合商品の役割表記をそのまま成分の公式な役割として読むことにある。DappNotes の商品マスターは本成分の役割を「乳化・可溶化」と整理しているが、化粧品表示名称の配合目的は「香料、乳化剤」で、可溶化剤は登録されていない。実際の処方で香料などの取り込みを一部担っている可能性はあるが、それは表示からは確認できず、成分の公式な位置づけとしては乳化剤と読むのが正確にあたる。
3点目は、本成分を肌や髪に作用する成分と捉えることにある。乳化剤は液の状態を整える成分で、洗い流すシャンプーの中で頭皮や髪に何かの効能をもたらすものではない。医薬部外品の有効成分でもない。
4点目は、表示名称の揺れにある。化粧品では「PEG-30水添ヒマシ油」とEO数が明記されるが、医薬部外品ではEO数を区別しない「ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油」の1名称で表示される(出典: 日本化粧品工業連合会 部外品成分表示名称リスト)。部外品の成分表でこの名前を見ても、中身がPEG-30なのかPEG-40なのかは読み分けられない。
3. 安全性・注意点
3.1 既知の刺激性・アレルギー報告
本成分は、CIR(Cosmetic Ingredient Review)が2回評価の対象にしている。1回目は1997年の最終報告書で、題名に「PEG-30 and -40 Hydrogenated Castor Oil」と名指しされ、両者は最大100%の濃度まで安全と結論された(出典: CIR 1997)。PEG化水添ヒマシ油の中で、最初に単独で評価されたのがPEG-30とPEG-40の2つだった点は、使用件数が少ない現在から見ると意外な事実にあたる。
2回目は2014年の報告書で、PEG化した油脂130成分を1つの群としてまとめて評価し、「非刺激性に処方される場合に、現行の使用実態・濃度において安全」と結論した(出典: CIR 2014)。この結論は1997年の結論を置き換えるもので、本成分も結論リストに入っている。リストでは現在使われていない成分に印が付くが、本成分には付いていない。
2014年報告書のDiscussionは、PEG化油全体について、高用量でも全身毒性が低いこと、複数の皮膚試験と臨床試験で刺激・感作がほとんど見られないこと、眼刺激がほとんどないこと、細菌・哺乳類細胞の試験系で遺伝毒性がないことを挙げている(出典: CIR 2014)。ただし、個別の試験データの多くはPEG-35ヒマシ油やPEG-40・PEG-60水添ヒマシ油のもので、EO数の近い成分のデータを群として当てはめる考え方(read-across)で本成分の安全性が判断されている。「PEG-30水添ヒマシ油そのものの試験が多数ある」わけではない点は、書き分けておく必要がある。
兄弟の記事で触れられる「他の物質への免疫反応を強める作用(アジュバント作用)」は、1997年報告書でモルモット・マウスの試験として報告されたもので、対象はPEG-35ヒマシ油(水添していないヒマシ油系)にあたる(出典: CIR 1997)。本成分で同じ所見が報告されたわけではない。
3.2 推奨配合量と過剰配合時のリスク
日本の化粧品基準に、本成分の配合上限の定めはない。CIRの2014年報告書が引く業界調査(2012年)では、本成分の最大使用濃度はリーブオンで0.06〜2%、リンスオフで2〜10%、粘膜に触れる製品で10%だった(出典: CIR 2014)。1997年報告書の「最大100%まで安全」は安全性評価上の結論で、製品に100%入っているという意味ではない。
乳化剤としての配合量は、乳化したい油の量と種類、併用する他の乳化剤とのバランスで処方者が決める。界面活性剤一般の性質として、量が増えれば皮膚の脂質を奪う方向の作用も強まりうるため、CIRは「非刺激性に処方される場合に」という条件を結論に付けている。本成分単独の量よりも、製品全体の界面活性剤の総量と組み方が、使用感や刺激の感じ方を左右する。
3.3 「危険性」と言われる根拠と実態の整理
本成分に向けられやすい不安は、「PEGは危険」「ヒマシ油は刺激が強い」の2つに整理できる。
「PEGは危険」という言説の具体的な根拠として挙がるのは、製造工程の不純物にあたる。PEG部分を持つ成分では、原料の酸化エチレンと、副生成物の1,4-ジオキサンが微量残る可能性があり、CIRもこの点を懸念事項として明記し、配合前に精製で除く手順を業界が続けるよう求めている(出典: CIR 2014)。つまりリスクの所在は成分の構造そのものではなく、原料の精製管理にある。「経皮毒」のように、皮膚から入って体内に蓄積するといった説明は、CIRの評価の枠組みには登場しない。
「ヒマシ油は刺激が強い」という不安は、内服の下剤としてのヒマシ油のイメージから来ることが多い。本成分は水素を添加し、さらにEOを付加した別の物質で、植物油のヒマシ油と同じ性質を持つわけではない。1,4-ジオキサンの問題も含め、どちらの不安も「成分名からの連想」と「評価機関が実際に検討した内容」を分けて見ると、等身大に捉えられる。
一方で、「CIRが安全としたから誰にでも合う」と振り切るのも正確ではない。CIRの結論は条件付きで、個人の感受性による接触皮膚炎の可能性はどの化粧品成分でもゼロではない。肌や頭皮に赤み・かゆみが出たら使用をやめ、敏感肌の人はパッチテストで相性を確かめるのが無難にあたる。
4. 相性の良い・悪い成分
4.1 併用推奨
乳化剤は1種類だけで使うより、HLBの異なるものを組み合わせて使うことが多い。Griffin の1949年の論文は、2つの乳化剤を混ぜた時のHLBがおおむね重量比の加重平均になる(例: HLB 8 を3部と HLB 16 を1部で約10)と説明している(出典: Griffin 1949)。乳化したい油にはそれぞれ扱いやすいHLBの目安があり、処方者は複数の乳化剤の配分でそこに合わせる。
この考え方で見ると、P053 に本成分とPEG-40水添ヒマシ油が一緒に入っていることは、EO数の違う兄弟でHLBの中間値を作る一般的な手法と整合する。同じ製品にはPPG-4セテス-20やPEG-30フィトステロールといった別系統の非イオン界面活性剤も入っている。ただし、その製品で実際にどの組み合わせを何のために使っているかは成分表からは判定できず、ここで言えるのは「EO数違いの併用は乳化設計の一般的なやり方」という範囲までにあたる。
化粧品表示名称の配合目的に「香料」が入っているとおり、香料や精油を含む処方で組み合わされることも多い。油性のエモリエント成分(植物油など)と組み合わせて、液の中で油分を均一に保つのが本成分の基本的な使われ方になる。
4.2 併用注意
非イオン型のため、陰イオン型・陽イオン型の成分と電気的に結合して沈殿するような組み合わせは一般に起きにくい。CIRの2014年報告書にも、本成分と特定の成分の組み合わせを避けるべきとする記載は見当たらない。
注意点を挙げるなら、界面活性剤の総量の側にある。洗浄成分が多い洗い流し製品に、さらに乳化剤・可溶化剤が重なると、処方全体として脂質を落とす力が強まる方向に働きうる。乾燥しやすい肌や頭皮で使用感が合わない時は、個々の成分より製品全体の組み方を見直すのが現実的にあたる。
4.3 類似成分
- PEG-20水添ヒマシ油: EOが10少ない兄弟。公表HLB 9 で本成分より油寄り、配合目的は本成分と同じ香料・乳化剤
- PEG-40水添ヒマシ油: EOが10多い兄弟。配合目的に可溶化剤が加わり、使用件数は本成分より桁違いに多い最頻出のグレード
- PEG-60水添ヒマシ油: 公表HLB 14 の可溶化剤寄りのグレード。配合目的に洗浄剤も並ぶ
- PEG-50水添ヒマシ油・PEG-100水添ヒマシ油: さらに親水寄りの兄弟
- PCAイソステアリン酸PEG-40水添ヒマシ油: PEG-40水添ヒマシ油にPCAとイソステアリン酸をエステル結合させた誘導体。表示名称は「(PCA/イソステアリン酸)PEG-40水添ヒマシ油」へ改正されており、改正後の名称の配合目的は皮膚コンディショニング剤(出典: Cosmetic-Info.jp)
- PEG-30フィトステロール: 同じ「30」でも母体が植物ステロールの別成分
- ポリソルベート20: ソルビタン系の非イオン界面活性剤。母体は違うが、PEG鎖で親水性を付ける点で考え方が近い
5. よくある質問
Q1. PEG-30水添ヒマシ油とPEG-40水添ヒマシ油は何が違いますか
違いは、水添ヒマシ油に付けた酸化エチレンの平均数(30か40か)にあたる。数字が大きいほど水寄りになり、製造元の公表HLBは30で11、40で12(日本エマルジョンの値)。化粧品表示名称の配合目的は、30が香料・乳化剤、40は香料・乳化剤・可溶化剤で、可溶化剤の登録があるのは40からになる。どちらが上ということではなく、乳化寄りか可溶化寄りかの違いと捉えるのが正確にあたる。
Q2. 同じ製品にPEG-30とPEG-40の両方が入っているのはなぜですか
一般論として、乳化剤はHLBの違うものを組み合わせ、処方全体の親水性を狙った値に合わせて使われることが多い。EO数違いの兄弟は構造が似ているため、この調整に使いやすい。ただし、特定の製品がどういう意図で両方を入れているかは、成分表からは判定できない。
Q3. 医薬部外品の成分表に「ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油」とあったら、この成分ですか
その可能性はあるが、特定はできない。医薬部外品の表示名称「ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油」は、硬化ヒマシ油に酸化エチレンを付加したものの総称で、EO数を区別しない(出典: 日本化粧品工業連合会 部外品成分表示名称リスト)。本成分の原料2品は部外品名としてこの名称を当てているが、PEG-40など他のEO数の原料も同じ名称になりうる。
Q4. 「PEG」が入ったシャンプーは避けたほうがいいですか
「PEG」という接頭辞だけで避ける根拠は乏しい。本成分はCIRが1997年に名指しで評価し、2014年の群評価でも「非刺激性に処方される場合に安全」の結論リストに入っている。懸念として挙げられる酸化エチレン・1,4-ジオキサンは原料の精製管理の問題で、CIRも精製での除去を求めている。製品の刺激や使用感は、洗浄成分の組み方や香料など処方全体で決まる部分が大きい。
Q5. ヒマシ油と同じように肌をしっとりさせる効果がありますか
本成分はヒマシ油を原料にしているが、水素添加とEOの付加を経た界面活性剤で、植物油としてのヒマシ油と同じ働きをするわけではない。化粧品表示名称の配合目的は香料・乳化剤で、保湿やエモリエントの目的は登録されていない。
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本記事に関する注記
- 本記事は特定商品の効果を保証するものではありません。成分の働きには個人差があり、体質・肌質により合わない場合があります。
- 肌や頭皮に赤み・かゆみ・刺激等の異常が出た場合は使用を中止し、症状が続く・悪化する場合は皮膚科等の医療機関にご相談ください。傷・炎症のある肌への使用は避けてください。
- 本記事が参照するCIRの報告書は、1997年の最終報告書と、2014年に International Journal of Toxicology に掲載された報告書です。2014年の結論は1997年の結論を置き換えています。
- HLBの値は原料製造元の公表値で、製造元・ロットにより異なる場合があります。
- 本記事に含まれる製品数の集計は DappNotes 商品マスター(2026年9月時点)に基づく自社集計であり、市場全体の分布を示すものではありません。
- 本記事は成分の一般的な解説であり、化粧品・医薬部外品の効能効果は配合製品の承認・表示の範囲に従います。
- 外部の安全性指標(CIR等)は出典明記の参考値であり、絶対的な安全性を保証するものではありません。
- 本記事はAIによる下書きを編集部がレビュー・再構成して作成しています。
- 編集部レビュー済み・AI下書き活用